ゴミの量、鳴き声、散歩… 老犬の預かりボランティアで困ったこと

預かりボランティアをはじめて最初に来た「タケ」

 保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第30回は「老犬の預かりボランティアで困ったこと」をお伝えしていきます。

(末尾に写真特集があります)

老犬の預かりボランティアで困ること

 預かりボランティアをしていて困ったことのひとつが、大量のオムツやペットシートを使うことでした。とても便利なのですが、老犬が2匹となるとゴミの量が普段の倍以上なってしまいます。

 また、以前はマンション暮らしだったので犬の鳴き声にも困っていました。ある日、外出したところ、  どこからともなく犬の遠ぼえのような声が聞こえてきたのですが、それはうちの預かり犬でした。最初に預かった大型犬のタケが、お留守番が寂しくて遠ぼえのように鳴いていたのです。タケは体重30キロくらいある犬でしたから、その鳴き声は結構な迫力のある声。

 そして一軒家に移ってからは、マシンガンのように鳴き続ける中型犬のベリオにも困らせられました。

分離不満の「ベリオ」

 毎日の散歩も大変なことのひとつですよね。犬を預かり始めてすっかり早起き生活ができるようになったのですが、夜の食事会や打ち合せなどで夜の散歩が遅くなってしまったり、途中で抜け出してお散歩に行ったりしていました。

 また、老犬2匹の歩行速度が違うと一度に散歩に行けないので、二回に分けて行ったり、夫にも手伝ってもらいました。

解決できなかったこともあるが新たな発見も

 結局、ゴミの量はあまり解決できないままですが、オムツは犬用から人間の赤ちゃん用に変えたことで、犬の快適さを高められる発見がありました。

 最初はその簡単さから、尻尾の穴が開いた犬用のオムツを使っていたのですが、赤ちゃん用のオムツに変えてみたところペットシートよりもはるかに吸水性があり、サラサラ感も抜群。寝たきりになった老犬には、赤ちゃん用のほうが快適に過ごせることがわかりました。

 尻尾のためにオムツのおしりの部分に穴を開けて、切り口からポリマーが出ないようにテープで止めなければいけないのですが、さすがに赤ちゃん用のオムツは一切かぶれることがなく驚きました。

 鳴き声については、実際のところ、タケはさほど鳴くことがなかったのか、苦情は来ませんでした。ベリオのマシンガン吠えも同様です。家が新築で断熱性能が高かったことも幸いしてか、外への音漏れが心配するほどではなく、ベリオに加えて認知症の柴犬チョコの雄たけびハーモニーでも、苦情はありませんでした。

ひょうきんな「チョコ」

 散歩問題は、職場と住居を一緒にしたことで、夜はスタッフに任せることができ、かなり気持ちが楽になりました。

老犬のお世話は日々の改善が大切

 老犬たちは、体調もできることも日々変わるので、毎日ちょっとずつ改善しながらお世話をしています。

 大型犬でも痩せている犬は、オムツのサイズが合わなくて苦労しました。犬用の男の子のマナーベルトに人間の赤ちゃん用のオムツを組み合わせてみたり、工夫しなければなりません。

 また、初老の犬だったら歩ける床材でも、さらに筋力が衰えてくるとツルツル滑ってしまうようになります。その時は、滑り止めが付いている靴下を履かせたり、カーペットなどを敷いたりとケアが必要になってきます。

おっとり「ニハチ」

 老犬のお世話には「これが正解」というのがなく、その子に合ったケアを考えながら試行錯誤して対応するのが大切です。

 それでも老犬を預かり続けているのは、どの子も個性があり、愛敬のあるおもしろい子たちで、毎日クスッと笑えることがあるからです。私の体力が保つ限り、見てあげたいなと思ってしまいます。

【前の回】道で放浪していたシュナウザーの老犬の預かりボラ てんかん持ちだが元気いっぱい

小林マナ
設計事務所イマ/インテリアデザイナー。内装設計やインテリアデザインをメインに活動。東日本大震災をきっかけに保護犬や老犬の預かりボランティアを始める。2019年に<SLOW>のイベントを開催。猫2匹、預かり中の保護犬2匹と暮らす。犬や猫たちのために自宅と事務所を併設、家族と事務所のスタッフたちと保護犬の預かりボランティアをしている。インスタグラム @imanimaltokyo

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この連載について
預かりマナの老犬日記
保護犬の預かりボランティアをしているインテリアデザイナーの小林マナさんが、預かり犬の魅力や老犬との快適な暮らし方をお伝えします。
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