野良猫を保護したいとき、どうすればいい? 動物保護団体にその方法を聞いてみた

家の近くで最近よく見かける猫、もしかしたら行き場のない野良猫? 外で生きていくのは大変だし、保護してあげたい。でもどうすれば?
野良猫を保護する前の心構え、保護してからすべきことを、行き場のない猫たちの保護活動に取り組んでいる「保護猫カフェ ねこかつ」代表の梅田達也さんにうかがいました。
猫を保護したいと思ったら、最初にすべきことは?
・猫の世話をする人がいないのか確認
保護する前に、まずは、世話をする人が本当にいないのか確認してください。首輪をしていなくても、飼い猫の可能性がありますし、地域で世話をする地域猫かもしれません。地域猫を保護したいというのであれば、世話をしてきた地域の人たちに確認しましょう。
猫の生活エリアは広くないので、飼い猫なのか野良猫なのかわからないときには、猫のいるあたりのご近所へ聞いてみるのがよいでしょう。
・保護した後のことも決めておく
自分で飼うのか、譲渡先を探すのか、譲渡先が見つからなかったら自分で世話をし続けるのか、保護した後のことも決めておくべきです。子猫は人慣れしやすく引き取り手も見つかりやすいのですが、ずっと外で生きてきた成猫は、触れるまでに数年かかることも珍しくありません。人慣れしなければ、譲渡が難しくなってしまいます。
・病院代などの負担も考えておく
また、不妊手術やワクチン代、病気が判明したら治療もしなければならず、医療費の負担も覚悟をしておく必要があります。「可哀そうだから保護したい」という気持ちはわかりますが、そのために自分の生活が立ち行かなくなってしまっては元も子もありません。
保護すると決めたら、どのように捕獲すればいい?
・愛護団体に依頼せず、猫の捕獲も世話も「自分でやる」が大原則
愛護団体に「猫を保護してほしい」「保護した猫を引き取ってほしい」と電話1本で依頼してくる人も多いのですが、残念ながらどこの団体も限られた予算、人手で活動をしているので、対応するのは難しいというのが現状です。捕獲も世話も譲渡先探しも、「自分でやる」という前提で保護すべきです。
ご本人が責任を持って世話をするということであれば、愛護団体の側も、捕獲器を貸し出したり、捕獲や飼育のアドバイスをしたりと、できる限りのことを喜んでお手伝いするはずです。
・慣れていて触れる猫の場合
触れる猫ならば、そのまま捕まえてキャリーに入れてください。家の庭によく来る猫なら、玄関の扉を開けて、家に入れることも難しくないと思います。
・人慣れしていない猫の場合
よく現れる場所に捕獲器を設置して捕まえるというやり方になります。自分の家の庭ならよいのですが、他人の土地に捕獲器を設置する場合は、その許可を取る必要もあります。
捕獲器が手元にない場合は、愛護団体やボランティアが貸し出してくれることが多いので問い合わせてみるとよいでしょう。
猫を保護したら、まずやるべきことは?
・ノミ、ダニの駆除
猫を保護したら、まずは動物病院に連れていき、ノミとダニの駆除をしてもらいます。野良猫は風邪をひいていることが多いので、必要なら風邪の治療もしましょう。
・感染症の検査をする
先住猫がいる場合や譲渡先を探す場合には、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス)、猫白血病(猫白血病ウイルス感染症)という猫の感染症の検査もしておきましょう。
なお、確率は非常に低いのですが、野良猫は猫パルボ(猫パルボウイルス感染症)に感染していることがあります。猫パルボが怖いのは、感染力が強く致死率が高いこと。先住猫がいる場合は、保護猫を迎え入れる前に必ずワクチンを接種しておいてください。ワクチンさえ接種しておけば、恐れる病気ではありません。
・不妊手術をする
健康状態がよいのであれば、ノミ・ダニの駆除、ウイルス検査に連れて行くのと同時に不妊手術もするのがよいでしょう。不妊手術を行う目安は一般的に生後6カ月、体重2kg以上といわれています。成猫は不妊手術をすることで、マーキング、発情などを防ぐことができます。
・保護猫を診てもらえる病院か事前に確認
野良猫はノミやダニが付いている上、触ろうとすれば威嚇をし、健康状態や病歴もわからないので、動物病院の中には診察を嫌がるところもあります。動物病院に連れていくときには、あらかじめ、保護猫を診てもらえるか確認しておくと安心です。
地域の愛護団体やボランティアに聞けば、保護猫に理解のある動物病院を教えてくれることもあります。
野良猫を保護するときに必要な費用は?
初期にかかる医療費の目安は、不妊手術が雌3~4万円、雄2~3万円。ウイルス検査は6000円、ワクチン接種は5000円、ノミ・ダニ駆虫は1000円くらいが相場です。
野良猫や保護猫に理解のある病院が安価で診察をしてくれる場合もあるので、そういった病院の情報をあらかじめ探してみるのも大切です。
自治体によっては、不妊手術の助成金が出るところもあるので、住んでいる自治体に確認してみるとよいでしょう。
野良猫を保護して自分の家に入れるということは、最後までその子に対して責任を持つということです。そのことを忘れず、自分にできることを見極めた上で、できることをしていただけると嬉しいです。
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