元気な保護犬のトイプー 実年齢はわからないけれど預かり生活で見えてきた老化の気配
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第45回は「老化の気配」をお伝えしていきます。
老犬っていつから?
イチゴは、2019年の10月から預かり始めて4年半になりました。ウチの預かり犬の中でも、預かり期間は最長です。
来た当時は「10歳くらいかな〜」と獣医師に言われてたのですが、それでもウチにいた預かり犬たちの中ではだいぶ若い方でした。
脚は元々曲がっていたものの、目も耳も良く、当然ですが耳が聞こえると反応も良くて、目も見えているためコマンドも効きました。
特に問題行動となる攻撃性や不安行動もないし、要求行動もなかったので、私はイチゴのトイレトレーニングだけして、他のトレーニングはすっかりゆるくなってしまいました。
ところが2年くらい経ったある日から、理由はわかりませんがやたらとほえるようになったのです。
元々イチゴは、28匹の多頭飼育崩壊現場からレスキューされた犬で、この時の犬たちは全頭が声帯が切られており、イチゴも例外ではなく、ほえても小さなかすれた声しか出せません。それでも、どこか不安そうにひんひんと鳴くのです。
獣医師に相談したところ、「耳が遠くなってきているからかもしれません」と。さらに「何かハッキリ聞こえないことが不安材料になっているのかもしれません」という診断でした。
言われてみれば、今まで玄関のチャイムが鳴ったらすぐにお出迎えしていたのに、この頃は時々出ていかないことがあったなぁと思い出しました。イチゴの耳は、聞こえたり、聞こえなかったりがあったようです。
保護犬の実年齢は?
10歳の犬は、人間の年齢に換算すると56歳。イチゴはウチに来たときから2年が経ち12歳になっていたとしたら、64歳です。人間の年齢を通してイチゴを観察してみると、そんな気配がちらほら。おばさんからおばあさんになる途中だなと気づきます。
ピンポンに気づかない時がある。
首の皮のたるみはちょっとおばあさんぽい。
粗相が増えた。
などなど、気になるところがありました。
そろそろそんなお年頃なのかもと思う日もあれば、元気よくお散歩に行ってまわりの犬の飼い主さんに「ずいぶん若く見えますね!」と言われることも。そんな日は、私もうれしくなって「イチゴは本当はもっと若いのかも〜」と思うのです。
そんなわけで、「イチゴが来た時は7〜8歳だったのかも」と思い込んでしまうことも度々ありました。
「まだ若いかも!」「もう歳かも〜」と、いつもその繰り返しで一喜一憂するのです。
私も楽しく元気なおばあちゃんになりたい
今はさらにそこから2年半が経ちました。イチゴが14歳くらいだとしたら、人間ならもう72歳!
ただ、そこからは老化が急激に進んだ感じはありません。急に後ろ脚が弱くなって老化が進むといったこともなく、毎日元気に過ごしています。
トイレトレーニングができているおかげで、雨の日はお散歩へは行かずに、ウチの中で犬用のぬいぐるみを投げて遊んでいます。
イチゴが楽しそうにぬいぐるみを取りに行って、楽しそうに戻ってくる姿を見ていると「いったい何歳なの?」と思ってしまいます。
仮にウチに来た時の年齢が獣医師の言った年齢よりも若かったとしても、それまで食べてきたものや環境でも歳のとり方は変わってくると思うのですよね。
少なくとも今の方が食べ物や毎日の散歩、遊びなどで環境は良くなっていると思うので、「元気になった」ということもあると思います。むしろ、最近の方が楽しそうで元気な気もしています。
まぁ、先の心配をするよりも、今、元気で楽しく暮らせているなら、それが何より大事なことですね。
預かり犬は10匹目でボランティアを始めて11年目を迎えようとしていますが、そんな楽しそうなおあばちゃんイチゴと暮らす人間おばちゃんも、イチゴを参考にしながら元気に年齢を重ねています。
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