預かりボランティア宅に来た新顔は猟犬 マシンガンのように鳴き続ける理由は分離不満
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第25回は「新しくやってきたのは猟犬!?」をお伝えしていきます。
新たな預かりボランティア、大変な犬がやってきた!
ドーちゃんが譲渡されてしばらくしてブラックタンの推定10歳超えのおじさん犬「ベリオ」が、新たな預かり犬としてやってきました。元猟犬だったそうで、猟犬としての役目が終わって捨てられたそうです。
性格良好、甘えん坊、そしてベリオは会ったその場で私に恋したらしく、引き取りに行った日からべったり! くっついて離れませんでした。
仕事の打ち合わせ中にベリオをケージに入れようものなら「ウォンウォン!!!」(ここから出して!マナと一緒にいたい!!!)と。中型犬とはいえ体重約20キロ以上あってもおかしくない体格なので、鳴き声の大きさは半端ではありません。さらに時間が経つと、どんどん鳴き方が早くなっていくのです。
私の気配が感じない別室にいても、夜中でも、ご飯を食べても……寝ないでほえているのです。ほえ続けるせいでベリオは食べても食べてもガリガリ、全く太ることができませんでした。家に来た当時は11キロしかありませんでした。
しつけのセオリーとしては、「鳴きやむまでケージの外に出さない」が鉄則なので、私はその通りにベリオが鳴きやむまで待っていましたが、一向にやむ気配はありません。
これは完全に分離不安では……。
ドッグトレーナーに助けを求めて
とんでもない犬を預かってしまった……と後悔先にたたず。ベリオは私の仕事中でもおかまいなし、ものすごい声で鳴き続けていました。そんな中、以前から預かっていた老犬のチョコの認知症が進み、チョコまで雄たけびを上げるようになっていました。
「仕事になりません……」。当然、事務所のスタッフから苦情が出始めました。そりゃそうだとわかりつつも、預かり犬たちは攻撃性も危険性もないから、どうにかならないだろうかと考えました。シェルターに戻しても、改善することはないだろうと思ったからです。
またしても、ドッグトレーナーに相談するしかない! 困った時に相談できるドッグトレーナーがいると安心です。
ここまでに私が預かってきた犬の数は7匹になっていました。ドッグトレーナー養成講座を最後まで受け、7匹も預かってきたのに、セオリーが通じないことが多く驚きました。
分離“不安”ではなく分離“不満”
ベリオにはいわゆる分離不安の傾向があるとトレーナーに説明すると、まず、私にこの部屋から出るように言い、1~2分、外に出てみました。
そして部屋に呼び戻されると、トレーナーは「小林さん、この子は分離不安ではなく分離不満ですよ」と笑いながら教えてくれたのです。
「え!? 分離不満? 分離不安なら聞いたことがありますが……」と言うと、トレーナーからこう説明がありました。
「ベリオくんは、小林さんが外に出た時にちょっと不安そうにしていましたが、おやつを僕からしっかり食べました。分離不安だと食べられないんですよ。確かに小林さんに依存はしていますが、分離不安だと離れるだけで卒倒してしまう子もいますから、離れることに不満なだけです」
驚きました。続けて、分離不満のベリオへの対処法についてはこうです。
「こうしましょう。小林さんはご飯、散歩、おやつなど一切あげないでください。逆に旦那さんやスタッフからはいつも楽しいことが起こるようにしてください。少しずつ不満を解消していきましょう。
それと、ケージに入れるのはやめてください。楽しいことは起こらないけれど、大好きな小林さんのそばにいさせてあげてください。事務所での打ち合わせも相手に断って一緒に出るようにしてください」
えええ!?打ち合わせも一緒ですか? 今まで仕事の打合せに犬を同席させたことがなかったので、あぜんとしてしまいました。けれども、その後は毎回断って同席させていましたが、犬が嫌いというお客様は皆無ということも反対に驚いたことでもありました。
次回は「この犬本当に静かになるの?」の話をしたいと思います。
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