理想の家族構成は「大人1人に動物1匹」 ライフステージともしもの時を考える
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第44回は「犬猫と暮らす理想の家族構成」をお伝えしていきます。
犬や猫のいる理想の家族構成
預かりボランティアをしていた老犬のニハチが亡くなってからというもの、我が家にいる預かり犬はイチゴだけになりました。
今までだったら「またもう1匹預かろうかな」とか、動物愛護団体からも「もう一匹どう?」と打診があったものですが、今回は今までとは気持ちが違います。
その理由のひとつに、私はニハチの介護中に手首を傷めてしまい腱鞘(けんしょう)炎になってしまったことが挙げられます。もうひとつは私の年齢です。保護された老犬の預かりボランティアを始めてから、気づいたら10年が経っていて、当たり前ですが、私も10歳、歳を重ねました。
以前は大型犬の預かりボランティアをしていましたが、7キロのニハチを抱っこしたり、寝ている体の向きを変えたり、歩行器に乗せたりしているうちに「もう中型犬でも無理かなぁ……」と痛い手首をさすりながら、弱音を吐くようになってきたのです。
飼い猫のギルが亡くなり、翌年にニハチも亡くなり、そうこうして我が家にいる動物は預かり犬1匹と飼い猫1匹になりました。
私は、犬や猫を飼う時には、「大人1人に動物1匹」というのが理想的だと思うのですが、うちは夫婦2人なので、今、理想の家族構成となりました。
寂しさや喪失感はあるものの、目の前にいる犬や猫にベタベタして気を紛らわせて、腱鞘炎のこともあるので、しばらくこれでやってみようと思うのです。
天災はいつ来るかわからない
なぜ「大人1人に動物1匹」が理想的なのかというと、もしものときに、大人1人がかかえて逃げるのは1匹までとしたほうが、容易で安全に行動ができるからです。
当時は何事もなく過ごせたのでよかったのですが、少し前まで預かり犬2匹と飼い猫1匹がいたので、万が一非難するような自体になっていたら、大変なことになっていたと思います。
まず、私は自分の荷物を背負って、自力で歩けない老犬のニハチを入れたバギーを押す。夫は猫をペットキャリーに入れて背負い、犬のイチゴにはリードを付けて歩かせて行く? そうなると、夫の荷物はイチゴのリードを持つ手とは逆側で持つか、肩がけのバッグ、またはスーツケースを転がすことになり、なかなかの歩きにくさがあります。
さらに50代後半になってくると、自分のちょっとゆるまった体と思う通りにサッと動けない自分に驚かされることが多々あります。
動物の頭数が大人の人数を超えると、動物も自分たちも守るのが難しくなってしまうと思うのです。
多頭飼育では見えないことがあった
自分に体力があるうちは気持ち的にも余裕があったので、飼い猫が2匹いるのに預かり犬を3匹も預かっていた時期がありました。今思うと、5匹の犬猫たちは、寂しい思いをずっとしていたと思います。
当時、預かっていた老犬はそれほど手がかからなかったこともあり、会社のスタッフたちにお世話を託して、私は出張へ行っていました。抱っこが大好きな老犬で、目が見えないのに人を追いかけてきたりして、もっと時間をかけて可愛がってあげればよかったなと今になってわかりました。
飼い猫も、もともと甘えてくるような子ではなかったけれど、先住猫たちが亡くなってからは、どんどん甘えてくるようになったのです。
犬1匹と猫1匹になった今、イチゴは可愛がってもらえるとわかったのか、ものすごく甘えん坊になって、私たち夫婦もつい甘やかしてしまうようになりました。
犬や猫が寂しくならないようにと多頭飼いをしていたとしても、彼らが一番欲しいのは、飼い主とのスキンシップだったりするんですよね。
1匹1匹に目を向けてあげることや、安心安全に避難できるようにすることも大事だなぁと思う、今日このごろです。
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