道で放浪していたシュナウザーの老犬の預かりボラ てんかん持ちだが元気いっぱい
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第29回は、新たな預かり犬のお話しをお伝えしていきます。
放浪していたミニチュアシュナウザー
預かり犬のチョコが推定18歳で亡くなり、しばらくしてまた新しい預かり犬がやってきました。
美しい毛並みの、7キロのミニチュアシュナウザーの老犬「ニハチ」です。こんなに美しい犬を預かる日が来るとはと思うほど。ところがニハチは、道で保護された保護犬でした。毛は伸びて、汚れていたので、長い間1匹で放浪していたのではないかと愛護センターの方は思われたそうです。
ニハチの耳はほとんど聞こえない状態で、目は白濁していて見えいないようでしたが、私にべったりついて歩くのです。シェルターへ迎えにいく人がいつも私だからなのか、どの犬も私にべったりになってしまいます。
目が見えない動物の空間把握能力の高さには、いつも驚かされます。最初こそあちこちぶつかりながら歩いていても、数日もするとぶつからずに家の中を自由自在に動き回れるようになるのです。
ぱっと見ではどこかが悪そうには見えないし、老犬と言っても大きくて、だいぶしっかりしているように見えました。ただ、うちに来る直前に、てんかん発作を何度か起こしていて脳に障害があり、「もう長くはない」と獣医さんから言われていました。
ところがニハチは、お散歩大好き、よく食べ、よく寝る。とてもすぐに死ぬような犬には見えませんでした。
寂しがりやの老犬たち
同じく預かり中の中型犬のベリオとの初対面は、まったく問題ありませんでした。
ニハチとベリオたちは仲良く、とてもほほ笑ましいものでした。ふたりとも極度の寂しがり屋。分離不満のベリオと私がいないと追いかけてくるニハチのおじさんコンビは、私がいなければ、ふたりで協力し合って一緒に寝るのでした。だいたいニハチが先に諦めて寝てしまうのですが、そこにベリオが行って一緒に寝ていました。
一度捨てられた犬というのは、また捨てられてしまうという気持ちがあるからなのか、寂しがり屋の子が多いと聞いたことがあります。実際、本当にそんな感じで、2匹はいつも私を探していました。
私のそばで寝ていても、私が移動してそばからいなくなっていることに気づくと、慌ててあちこち探し回ります。なので、別室で仕事の打ち合わせをしている時は、ニハチとベリオが私を探してドカドカと音を立ててやって来て、扉をガンガンたたき「入れろ」と催促するのです。
少々困った行動でしたが、ベリオの分離不満の一件から、犬と一緒に打ち合わせすることに慣れてきていたので、お客さまに断って打ち合わせ室に入れていました。
毛のお手入れは大切だと気づく
ベリオは短毛種でトリミングは必要なかったのですが、定期的に洗ってあげないとベタベタする脂っこい肌質でした。ニハチはこれぞミニチュアシュナウザーといった毛並みでどんどん伸びるので、トリミングが定期的に必要でした。
でも私は、子どもの頃に見た映画『ベンジー』の主人公の犬が大好きで、毛が伸びて汚れている雰囲気も可愛いとずっと思っていました。ニハチはテリア系でベンジーをほうふつとさせる犬だったので、ちょっとくらい毛が伸びても気にしていなかったのです。
ニハチに会うと友人から「ひとりで放浪してたなんて可哀想だったね~、もう大丈夫だよ~」と仕切りに同情されることが多かったのですが、あれはニハチの毛が伸び放題だったからかもしれません。ある時、以前の写真を見返していたら、飼い犬とは思えない毛が伸び放題のニハチが写っていたのです。
当時はそれが可愛いと思っていたのですが……。友人たちには、ちょっと前に保護されたと思ったのだろうなぁと反省。「ニハチ!トリミングいっぱい行かなくてごめん」と謝りたくなりました。
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