これが子犬の甘がみ? ポメプーに血だらけにされた夫婦、どうしたらいい

舌チロの破壊力! こんなにかわいいのにかみまくり(お母さん提供)

 おとなしく手のかからないポメラニアンと長年暮らしてきた。結婚した家庭でも犬をと迎えたポメプーの子犬は、実家の愛犬とは似ても似つかないモンスター級のハイパーパピーだった! めったがみされて手が血だらけになったお母さんは、悩みを深め、やがて自分を責めるように。UG DOGSアトラスタワー中目黒店(以下UG)で高橋信行店長のカウンセリングを受けたいと思ったが……。

 激アツ店長、中目黒の駅前で叫ぶ。

「自分を責める前にやれることはある。後悔しないために」

おとなしくて育てやすい子犬?

「新しい家では犬と一緒に暮らしたいね」

 結婚後、いつかは犬を迎えたいとペットショップをときどき訪れていた。新居が完成したある日、のぞいたショップにコロッコロでふわっふわで、小さいシッポをブンブン振るとびきりかわいい子犬に出会う。

 いったん考えようとショップを後にするが、「店の中でもひときわ光っていました」とお父さんが一目ぼれ。接客した店員から「かわいくて人気があるので、すぐに売れてしまうかも」と急かされたこともあり、翌日にはお迎えに向かった。

 ポメラニアンとトイプードルのミックス犬の女の子は「ルル」と名付けられた。ショップのスタッフから「1週間はケージから出さないように」と言われ、それを守った。するとルルちゃんはケージの中でクッションをひっくり返すなど大暴れ! お母さんはこう振り返る。

「店員さんは『今いる中で一番おとなしいから育てやすいですよ』と言っていたので、あれ? と(笑)。ただ、子犬だから元気があるぐらいの方がいいかなと、夫も私も思っていました」

はじめまして、ポメプーのルルでちゅ!(お母さん提供)

 ケージから出すようになると、ルルちゃんは本領発揮! というか本性発揮!? 「ものすごく動きが早くて、顔が見えないほど」とお母さんは苦笑い。遊んでいると手にかみついてくる。お父さんは「甘がみ」と言うが、「甘がみというにはかなり痛かった」とお母さん。「犬を育てたことがある周りのひとから『子犬はそんなものだから』と言われ、そうなのかな……と」

夫婦ともに血だらけ、これが甘がみ?

 実はお母さんが疑問に思うには理由があった。実家で長い間一緒に暮らしたポメラニアンが、ほえない、かまない、困ったことが何ひとつないほどおとなしく、温厚な子だったのだ。13歳になった今も元気だが、「子犬のころ、犬の社会化なんて知りませんでした。ルルにはその経験をさせたいし、社会化をすれば少しは落ち着くのかなという期待もありました」

 動物病院のパピー教室に参加すると、1回目は緊張していたのか静かに過ごしたルルちゃんだったが、2回目になると、ほかの子犬たちが飼い主さんにおとなしく抱っこされているのに、ルルちゃんは下ろせ下ろせ!とうなり、下ろすとウロウロ落ち着かない。

「あまりにもわちゃわちゃしすぎて、トレーナーさんはルルを抱えたまま他の子の相手をしていました」とお母さん。お父さんは「ルルは場所でも人でも最初はおとなしい。でも、一度経験すると状況を理解するのか、興味の赴くまま、自分の好きなように動くのです」と分析する。

 家の中では、通称「運動会」が始まった。ノンストップで家の中を爆走し、5分ほど経つと水をがぶ飲み。おもちゃをブンブン振り回したかと思うと、また爆走。そのエンドレスループ。「ものすごい速くて止められないんです」とお母さん。

 かみもエスカレート。「夫はあまり気にしていませんでしたが、私は子犬の甘がみとは違うような……。二人とも手が血だらけになっていましたから」と振り返る。周りからは「無視すればいい」「教えれば直る」と言われ、色々やってみるものの効果なし。ネットなどで見られる「指をのどの奥に突っ込む」という過激なしつけを思い切って試してはみたものの、ルルちゃんはまったくめげずに、むしろかみ返してきたという。

ケージの中でも暴れまくった(お母さん提供)

思い詰めて心は限界だった

 夫婦共働きだが、家ではお母さんの方がルルちゃんと過ごす時間が長かった。「一人と一匹のときに暴れてかまれると、なんで? と心が折れそうに。ルルは本当にかわいい。愛したい。だからこそどうしたらいいのかわからなくなりました」

 ネットで「かむ犬」で検索している中で、UGの高橋店長のブログ、そしてsippoの連載記事を見つける。「柴犬のすずらんちゃん、楓くんきょうだいの『飼い主を血祭りに』という記事に、そんなこともあるんだと驚きながら、飼い主さんの思いに共感しました」とお母さん。店長のブログも読破し、「ルルを連れていきたい」と、思い切ってカウンセリングを予約。しかし、お父さんに相談すると反対されてしまう。その理由をこう語る。

「1週間の社会化お泊まりの間にルルが変わったとしても、家に帰ってきたら環境が元に戻るので結局ルルも戻ってしまうんじゃないか、と。だったら近所の幼稚園や自宅に来てくれる出張トレーニングの方がいいのではと思ったのです」

 ちょうど5月のゴールデンウイークに入るタイミングだったこともあり、自分たちでできることをやってみようということに。まとまった休みをルルちゃんと楽しみたいという思いもあった。お母さんが予約をキャンセルしようとUGに連絡すると、たまたま電話口に高橋店長が出た。

「どんな感じなんですか?」。店長の言葉に少し事情を話した。「本当に少しだけだったのですが話を聞いてもらえたことがうれしくて」。心の臨界点ギリギリまで耐えていた分、ふっと気持ちがゆるんだ瞬間、お母さんの目から涙がどっとあふれた。そして、泣きながらお父さんに電話した。「やっぱりUGにルルを連れていきたい!」

「妻がそこまで思い詰めていたとは気づきませんでした。だったら行こう、と」とお父さん。再び予約をしようとUGに電話をすると、お母さんから送ってもらった動画を見た店長は間髪入れずこう言ったという。

「すぐに連れてきて! 後悔しないために」

一度かみついたら離さない! すっぽんルルちゃん(お母さん提供)

 後編へつづく(3月27日公開予定)

(この連載の他の記事を読む)

高橋信行店長 プロフィール
物心がつく頃から動物関係の仕事に就きたいと考え、動物系の専門学校を卒業後、ペットショップに就職。いくつかの転職を経て、現在はUG DOGSアトラスタワー中目黒店店長。これまでカウンセリングは1300件以上、お泊まりで預かった犬は1000匹を超える。愛犬は、ジャック・ラッセル・テリア「ロイス」。
UG DOGS アトラスタワー中目黒店
住所:東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー106
TEL:03-5708-5592
営業時間:11:00~20:00(年中無休)
公式サイト:https://anm.ugpet.jp/
店長ブログ:https://www.ugpet.com/blog/anm/
※カウンセリングは電話、対面とも要予約。HPや高橋さんのブログをチェックした上で問い合わせを。UGでは基本的に保護犬を預かる活動はしていません。

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中津海麻子
フリーライター。「酒とワンコと男と女」をテーマに、ワインや日本酒や食、ペット事情、人物インタビューなど幅広く取材、執筆。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、「ワイン王国」「朝日新聞デジタル &w」「好書好日」などに寄稿。

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この連載について
だから犬って最高だ!
「育犬ノイローゼ」に陥った飼い主が藁をもつかむ思いで全国からやってくる「駆け込み寺」=UG DOGSアトラスタワー中目黒店。ハイパーな子犬たちと悩める飼い主を相手に日々奮闘する店長・高橋信行さんの実録ルポ。
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