かみぐせがひどいトイプーの子犬に育犬ノイローゼ 笑顔で暮らすために今、頑張る!
何年も探し続け、ようやく出会ったトイプードルの子犬。シルバーにホワイトが混ざるパーティーカラーがキュートな女の子だったが、かみぐせがひどく、家族を襲いまくった。そのハイパーぶりに食事ものどを通らなくなったお母さんは、育犬ノイローゼに悩む人の「駆け込み寺」、UG DOGSアトラスタワー中目黒店(以下UG)の高橋信行店長のもとへ。
激アツ店長、中目黒の駅前で問いかける。
「人と犬が家族になり、ともに笑顔で暮らすためには……?」
1年後に笑えるように
トイプードルのポーちゃんを連れ、お父さん、お母さんはUGへやってきた。お母さんは、ポーちゃんが家族を襲ってかみまくること、ストレスからトイレトレーやケージをかんでボロボロにしていること、落ち着きがなくしつけができないことなど、日々のポーちゃんのことを細かく記録していた。そのメモを見ながら店長に説明しようとしたが、混乱していたのかうまく話せない。
「それ、見せてください」とメモを受け取った高橋店長はざっと目を通し、ひとこと。「全部『強い子あるある』です」。
ポーちゃんはクレートの中ではおとなしくしており、外に出してもほえることはなかった。しかし「『あんた誰!?』みたいに僕にガンを飛ばしてきた(笑)。お母さんのメモに書かれていた日ごろの様子といい、この目ヂカラといい、強い。うちに来るトイプードルの中でもトップクラスに強い子犬だと感じました」と店長は振り返る。そして、社会化お泊まりを勧めた。「ポーちゃんはまもなく月齢5カ月になろうとしていた。早いほうがいい」
食事がのどを通らない、眠れないほど悩んでいたお母さんだったが、「正直、『たいしたことない』『お泊まりするほどではない』と言われるものと思っていたので、驚いてしまって」と戸惑ったという。対してお父さんは、「ポーよりも心配だったのは、むしろ妻の方でした。このままでは深刻なノイローゼに陥ってしまうかもしれない。プロに任せるべきだろう、と」。さらに、お父さんにお泊まりを決意させたのが、店長の言葉だった。
「人が犬に合わせるのではなく、犬が人に合わせるようする。1年後に笑えるよう、今頑張りましょう。そうすれば、これから続く十数年はご家族にとって素晴らしい時間になります」
愛犬の楽しそうな笑顔にびっくり
こうしてポーちゃんの社会化お泊まりの1週間が始まった。「体力が尋常じゃない上に落ち着きがなく、まったく目が合わない。意思の疎通ができないし、初めての子犬育てだったお母さんが傷つき、ノイローゼになるのも仕方ないと思いました」と店長。強い子ポーちゃんは、群れの中に放たれても怖がることも物おじすることもなく、ど真ん中を陣取っていたという。「根っからのお嬢さま気質」と店長は笑う。
お父さんとお母さんはUGから送られてくる写真や動画に驚くばかりだった。「楽しそうに笑顔で遊んでいて、こんな顔するんだ! と。表情が豊かで、そんなポーは初めて見ました」。
とはいえ不安も。UGでは食事の前には群れのメンバー全員でフセ、マテをしてから「いただきます」をするのがルールだが、ポーちゃんはみんなと一緒にできない。お散歩の練習でも、歩かずに座り込んでしまう様子が送られてきた。「家に帰ってきてからも大変だろうなと覚悟を決めました」とお母さん。
1週間後。お迎えに行くと、さすがにポーちゃんは疲れ果てた様子だった。店長とお父さん、お母さんがこれからのことを話していると、ポーちゃんはその場でウトウトと寝始めた。「こんなふうに人前で寝られるんだとびっくり!」とお母さん。
自宅に帰るとかみぐせは格段に減っていた。しかし、お散歩に連れ出すと歩かない。店長は「怖くて歩けないわけではない。だってポーちゃんは激強なんだから」。お母さんにはこうアドバイスしたという。
「周りの音を聞かせ、人や物をじっくり観察させて、理解し納得すればポーちゃんは必ず歩けるようになります。それを信じて待ってあげて」
トレーニングと家族の力で激変
お父さんとお母さんはその言葉を胸に、平日は自宅周辺でお散歩の練習をし、週末はUGのアフターケアにマメに通い続けた。すると、お泊まりから1カ月ほど経ったころ、ポーちゃんは突然歩き始めたという。と同時に、どんどん落ち着いていった。「こんなに変わるの!? と目を見張るほど、ポーちゃんは激変しました」と店長も驚きを隠さない。
以前はエンドレスで暴れまくり、犬同士で遊んでいても突然何かのスイッチが入っては店長の手にガブっとかみつき、また遊びの輪に戻っていく……というナゾの行動が見られたというが、今では「店長のおひざは私の特等席よ」とばかりに甘え、後輩犬たちの相手も上手にこなしているという。
「ポーちゃんほどの激強で、そこそこの月齢になった子は、1週間で変わることは正直難しい。その現実とアフターケアの重要さを理解していただき、しっかりと通ってもらったことで、ポーちゃんの中に渦巻いていた『たぎり』を燃焼し切ったのでは? 思う存分遊び、体力を使い、とことん疲れて満足すればスッと落ち着く。それをポーちゃんが証明してくれたように思います」
もう一つ、店長が改めて感じたのが「家族の力」だという。
「繊細なお母さんは、はちゃめちゃなポーちゃんに振り回されボロボロになっていて、正直、カウンセリングのときは飼い切れるのか? と心配になるほどでした。でも、このおうちならきっと大丈夫だと思えた。それは、お父さんの存在があったから」
子犬、特にUGに来るような強い子犬は、手に負えないほどのかみやほえで飼い主を悩ませ、イライラピリピリし、ともすれば家族関係をギクシャクさせてしまう。「ポーちゃんのご家族は、マジメゆえにポーちゃんに翻弄(ほんろう)されてしまったお母さんを、物事を俯瞰(ふかん)で見ていて、かつ、いい意味で力みのないお父さんが支え、バランスが取れていると感じました」と店長。
「困ったことがないかと聞くと、お父さんはいつも笑顔で『大丈夫です』と答えてくれた。お父さんがポーちゃんをうたぐっていなかったので、お母さんもポーちゃんを信じて乗り越えられたのだと思います」
今では「悩みはほとんどありません」とお母さんは笑顔を見せる。犬と暮らすことを毎年七夕さまにお願いしてきた娘さんとは、まるで姉妹のように仲良しだ。「犬も人も大好きで、娘のお友達がくると、ポーは『アタシとも遊んでー』とおねだりしています」とうれしそうに目尻を下げた。
「嵐とともにやってきた爆風娘は、1歳を迎え、家族を穏やかな笑顔にする穏やかな凪(なぎ)の海のような存在に。ね? だから犬って最高なんです」と店長もニッコリ!
- UG DOGS アトラスタワー中目黒店
- 住所:東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー106
TEL:03-5708-5592
営業時間:11:00~20:00(年中無休)
公式サイト:https://anm.ugpet.jp/ - 店長ブログ:https://www.ugpet.com/blog/anm/
※カウンセリングは電話、対面とも要予約。HPや高橋さんのブログをチェックした上で問い合わせを。UGでは基本的に保護犬を預かる活動はしていません。
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