まだ7歳頃のあんず(左)とモモ
まだ7歳頃のあんず(左)とモモ

老化の現れ方は全然違う 子猫のときに一緒に迎えた同じ年齢のシニア猫2匹

 この連載には、sippoにて2015年から約9年続いた「猫アレルギーですけど」という連載でおなじみのサビ猫「あんず」とキジトラ猫「モモ」が登場します。今年で13歳を迎えた猫らは立派な「シニア猫」に育ち、最近では健康や動物病院の話が多くなってきました。

 そこで、2匹がシニアであることに焦点を絞り、これから愛猫がシニアになっていく猫飼いの皆さまに少しでもお役に立つ情報を届けることができたら……という思いで、リニューアルをいたしました。引き続き、あんずとモモの何気ない日々をチラ見していただければ幸いです。

 第1回は、同じ年の猫でも、老化の現れ方が全然違う、というお話です。

1匹はハツラツ、1匹はしおしお…?

 元保護猫のサビ猫あんずとキジトラ猫モモは、2011年の秋、まだ生後半年ほどの頃に、猫アレルギー(迎えて数年後に気づく)を持つ飼い主が暮らす、都内の賃貸住宅にやってきました。

 そんな猫らも、立派なシニア猫に成長。いまの2匹は、あんずはいまだに排泄(はいせつ)のあとに子猫のように部屋を駆けずり回ることもある一方で、モモは以前に増してほぼじっとしていて、顔もしおしお……すっかりおばあちゃんのたたずまいです。

 元気で若々しいあんずから老化を感じることは少ないですが、モモを見ると、高齢になったんだなぁ……と感じます。

最近のあんず。ペロリ顔も若々しい

 高齢になるほど2匹の老化の違いは顕著になり、モモの老化をより実感するところとなりましたが、思い返せば、何かしらの体の不調が見つかるのも、いつもモモのほうでした。

子猫のころからあった2匹の違い

 2匹はきょうだいではないものの、誕生日も近く、ゴールデンウィーク産まれです。

 モモは路上でひとりぼっちのところを、あんずは見ず知らずのお宅の物置から母猫ときょうだいごと保護され、2匹は同じ保護施設で暮らしていました。

4歳頃のあんずとモモ。まだ首輪(脱走したときのための電話番号入り)をつけていました

 我が家に来た当初は、2匹とも耳にカビが生えているような状態になる皮膚病(皮膚糸状菌症)を持っていました。免疫力の低い子猫たちが10匹以上一緒に暮らしていたので、誰かの耳カビがみんなにうつってしまったのでしょう。

 家に来てから、保護主さんからもらっていた外用薬を2匹の耳に毎日塗っていると、1週間も経たないうちにあんずはキレイに治ってしまいました。

 一方でモモはというと、グズグズとなかなか治らず、さらに動物病院で出してもらった外用薬を塗り続けて、完治に1か月くらいかかったと記憶しています。まったく同じ頻度、同じ量の薬を塗っていたのに。思えばこの頃から、2匹の免疫力は違っていたように思います。

最近のあんずとモモ。無防備なあんずと暗い場所が好きなモモ

 2匹の免疫力の差は、生まれもったものかもしれません。

 でも、モモは保護された生後1か月に満たない頃、雨の中でひどい風邪を引いている状態でみつかりました。一方のあんずは、野良の母猫と物置小屋で暮らし、乳離れする頃に保護施設に引き取られたので、すくすく元気な子猫に育っていたのだと思います。

 そこにも何かあるのかもしれませんが、2匹とも外で暮らす母猫から産まれたので、仕方がないところですね。

病気になるのはいつもモモ

 耳カビのあとは、モモは早くも2~3歳頃から、過剰グルーミング(体をなめすぎて、傷になってしまう)が出始めました。

 治療法を変えても動物病院を変えても一進一退の状態が続き、免疫抑制剤の投薬で一旦は良くなったこともありました。でも完治までは難しく、うまく付き合っていくことを決めたのでした。

健康なあんずと病弱なモモの図

 またモモは、7歳頃に歯周病で歯が1本抜けてしまったこともありました。オシッコ検査で腎臓病がわかったり、血液検査で肝臓が良くないことがわかったりしたのもモモでした。

 内臓の状態は今のところ悪化していませんが、皮膚病や口内環境は相変わらずで、昨年頃から顔がおばあちゃんになってきたと感じます。

にらみをきかせた顔はまだ若々しいモモです

 今は、近所の信頼できる動物病院にお世話になりながら、投薬でつらい症状を緩和しつつ、様子を見ながら過ごしています。

 最近はあんずも口を気にする様子もありますが、獣医師さんによると、歯根に問題がある歯がありそうではあるものの、それほど気にしなくても良いということでした。それ以外は食欲も旺盛で、あんずは健康そのものです。

 同じ家庭で同じように育てても老い方には違いが出る。でも、生い立ちや健康の違いまで含めて、それが生き物と暮らすということ、猫と家族になるということなのではないかな……と思っています。 それにまだまだこの先もわかりません。どんなに健康に気をつけていても病気になることもあるし、病院のお世話になりながら、それでも長く幸せに暮らしていけることだってありますから。

 あんずとモモ、どちらの様子もしっかり見ながら、末永く暮らしていきたいものです。

(次回は9月19日公開予定です)

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安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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この連載について
猫がシニアになりまして
安田有希子
2015年にスタートした連載「猫アレルギーですけど」がリニューアル。子猫のときに2匹一緒に迎えたキジトラ猫「モモ」とサビ猫「あんず」も、気がつけば13歳と立派なシニア猫に。体調や2匹の関係にも少しずつ変化があらわれてきて、“猫アレルギー”の飼い主も奔走させられること度々。シニアになった猫の変化に焦点をあてながら、慌ただしくもいとおしい日常をつづります。
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