ピラニアのごとく嚙みまくっていた愛犬 家族の愛でジェントルワンに
寝ないで暴れ、ピラニアのごとく嚙みまくり、お母さんを育犬ノイローゼにしたウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの男の子。UG DOGSアトラスタワー中目黒店(以下UG)の社会化お泊まりへ。高橋信行店長のアドバイスを聞きながら、お父さん、お母さんは、愛犬の苦手を克服するため自分たちで考え、行動するようになる。
激アツ店長、中目黒の駅前で叫ぶ!
「本気で向き合えば家族の絆はもっと深まる。だから犬って最高だ!」
愛犬と離れてみたら…ホッとした
小さな暴れん坊、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア(通称ウェスティ)のシロくんに振り回され、疲れ切って心がズタズタになっていたお母さん。当時をこう振り返る。
「正直、シロのことをかわいいとは思えなかった。育てる自信もありませんでした」
最初はUGに預けることをちゅうちょしていたが、離れてみると心からホッとすることができたという。
シロくんは、これまでたまりにたまった体力とエネルギーを解放するかのように、同じ子犬や先輩ワンコを相手にひたすら遊びまくった。ごはんの前のフセなどはなかなかできないなど、ガンコな一面も。店長やスタッフがごはんのたびに根気よく教え込み、シロくんはガマンと人の指示を聞くことを覚えた。
「シロくんは月齢も浅くまだまだ幼かったけれど、たとえば遊びに夢中になっているときでも何か物音がするとそちらに注意が向くなど、賢く冷静なところも垣間見られた。もちろんテリア気質ゆえの強さがあり自分をしっかりと持っていて、ウェスティは10キロ前後とそこそこ体も大きくなります。もし自分流のルールで動くようになると、手に負えなくなる可能性もある」
また、店長はあることに気づく。シロくんはごはんが足りていないかも、と。これも、UGに来る子犬ではときどきあることだ。
「おなかが空いていると人間だってイライラしたり、寝られなかったりしますよね? ましてや急激に成長している子犬の栄養が足りなかったら、飢餓感から荒れることだってあります」
店長は規定の給餌(きゅうじ)量にとらわれず、食べられる子犬には、おなかの調子やウンチの状態をみながら、満足できる量を与える。食欲が満たされることで落ち着いたり、ちゃんと眠れたり、その上でお散歩や遊びをすることで体格がグンとよくなる。わずか1週間だが、子犬の体と心はものすごいスピードで成長するのだ。成長すべき時期にきちんと成長できれば、自然と食べる量が減っていく子もいるという。
そうして、刺激と解放と満腹で心身ともに満たされたシロくんの社会化お泊まりは終了。
「お泊まり中に寝ている写真が送られてきて驚きましたが、お迎えに行ったとき、妻の腕の中でウトウト寝始めたのです。初めて生で見たシロの寝顔でした(笑)」。おうちに戻ってきたシロくんは格段に落ち着いた。「ちゃんと会話ができるようになりました」とお父さん。
その後も頻繁にアフターケアに通った。しばらくすると、高橋店長の愛犬、ジャックラッセル・テリアのロイスが群れにデビュー。同じテリア種で、生まれながらに強さを持ったロイスにシロくんは同じ匂いを感じたのか、すぐに意気投合。兄貴分としてパピー時代のロイスの相手を買って出て、ともに成長した。
新たな悩みが勃発、シロのために向き合う
順調に見えたシロくんだったが、1歳を迎えるころ、お父さんとお母さんを再び悩ませるように。インターホンや家の外の音に爆吠え、さらに困ったのがお散歩だ。「バイクやハトなど動くものに飛び掛かろうとして、まともにお散歩ができなくなってしまったのです」とお母さん。成長して周りが見えるようになったのと同時に、警戒心も出てきたのだろう。また、シロくんは小さな子どもに慣れていないため、怖さからかやはり飛び掛かろうとしてしまう。子どもが驚いた拍子にもし嚙み付いてしまったら……。
実はこのころ、お母さんはまだシロくんを自分の手で育てられるのか、確たる自信を持てずにいた。UGに通うと同時に、店長から紹介された別のトレーナーのもとにも行ってみたが、頭のいいシロくんは問題行動を見せずきちんと指示を聞き「いい顔」をする。そんなシロくんの姿に、お母さんのスイッチが入った。
「トレーナーさんは犬のプロ。でも、シロのプロになれるのは、シロの本当の姿を知っている私たちしかいない。正直、それまでは困ったら店長を頼ればいいとどこか依存していたかもしれません。でも、シロのためにも私たちがきちんと向き合わなきゃいけない――。夫と二人、そう心を決めたのです」
それからお母さんは、シロくんを外に連れ出し、さまざまなもの、特に苦手なものをあえて見せて慣れさせた。「小さい子どもたちがたくさん遊んでいる公園にシロと一緒に行って、3時間ぐらい声を聞かせ姿を見せ続けていました」。自宅でも子どもが遊ぶ動画を2時間、3時間と流し続けた。
お母さんの頑張りもあり、シロくんは普通にお散歩ができるように。さらにシロくんにさまざまな体験をさせようと、車を手に入れ、あらゆる場所に家族で出かけた。「ドッグランは40カ所ぐらいまわりました。渓谷や山、ドッグプールへも。毎日ヘトヘトになるまで遊ばせて発散させました」とお父さん。
1歳半を迎えたころ、シロくんは突然落ち着いたという。
「お散歩していても、『もう疲れたよー』みたいな顔をするように。こちらが拍子抜けしてしまうほど」とお父さん。お母さんはシロくんをいとおしそうに見つめ、こうつぶやいた。
「今はシロがかわいくてかわいくて仕方ありません」
家族の愛でジェントルワンに
シロくんのように頭がよく強い犬は、成長とともに荒れることもあるという。同じくテリア種で今ではUG最強のリーダーとして活躍する店長の愛犬ロイスも、月齢6カ月のころオスとして強くなり始めたという。店長はこんな本音を吐露する。
「ロイスは僕にとって初めて飼うテリア種。僕が常に一緒にいてトレーニングできたので乗り越えられましたが、本当に心と心が通じ合うようになるまでは正直大変な部分もあった。プロである僕ですらそう感じるのです。でも、だからこそシロくんのお父さんやお母さんのように飼い主さんの悩みを深く理解し、共感することができた」
シロくんのお父さん、お母さんには「感動、そして脱帽!」と店長。
「シロくんのために何をすべきか、僕のアドバイス以上のことをお父さん、お母さん自身が考え、行動した。3時間も公園に居続けるなんて、愛がなければ絶対にできない」
今年、シロくんは2歳を迎えた。アウトドアを楽しんでいるだけあり、がっしりとした立派な体格のりりしいウェスティに。「ようやく店長が言うゴールデンタイムを迎えられたかな、って」とお父さん。ドッグランなどでは他の犬と遊ぶことは少なくなったが、「先輩後輩の関係を重んじる硬派なところがあって、UGに行くと後輩犬の相手をしています。それが自分の『仕事』と思ってるみたい」とお母さんは誇らしげに目を細めた。
店長もシロ先輩に感謝しているという。
「ぶっちゃけ、あんなにいい子に育つなんて思ってもいませんでした(笑)。たくさんの犬を見てきましたが、シロくんほどのジェントルワンはいません。お父さんとお母さんの揺るぎない愛の結晶です!」
- UG DOGS アトラスタワー中目黒店
- 住所:東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー106
TEL:03-5708-5592
営業時間:11:00~20:00(年中無休)
公式サイト:https://anm.ugpet.jp/ - 店長ブログ:https://www.ugpet.com/blog/anm/
※カウンセリングは電話、対面とも要予約。HPや高橋さんのブログをチェックした上で問い合わせを。UGでは基本的に保護犬を預かる活動はしていません。
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