初心者でも簡単にいつでもどこでもできる ドッグパルクールで愛犬との絆を深めよう
サーフィンやスケボーが得意な愛犬コーダと保護猫たちと暮らすドッグトレーナーの浅野さんから見た、犬や猫たちとの暮らしをつづります。
愛犬の若さの秘訣はドッグパルクール
パルクールって知っていますか? フランス生まれのスポーツで、走る・跳ぶ・登るなどの移動動作で心身を鍛えます。人が忍者のように次々と、建物や木々を移動する様子を見たことないでしょうか。スタートとゴールを自由に決めて、障害物を越えることで体を鍛えていきます。
スケボーやサーフィンなどをする愛犬のコーダとの散歩では、近所を1周歩いて帰ってくるだけでは、アスリート犬としての運動になりません。さらに近所には、毎日コーダを走らせられるような広場などはありません。
しかし犬の健康を維持するためには、人間以上に運動が必要です。筋肉が衰えたり、体力が落ちたりすると早い老化に繋がってしまうから。そこで私は、積極的に「ドッグパルクール」を取り入れるようにしました。
コーダは12歳ですが、年齢よりも若く見られることが多く、実際の年齢を知ると驚かれることがよくあります。それは、やはり継続して運動していることに関係がありそうです。
最初は「忍者修行」から始まった
私が動物のトレーナーの勉強を本格的に始めたのは、コーダが2歳の頃ですが、その前から運動神経のいい犬になって欲しかったので、「忍者修行」と言って岩から岩をジャンプさせたり、木に登らせたりしていました。ボール投げも無限にやっていましたが、近所で目立っていたので中学生に「あ!達人がいる」と密かにあだ名をつけられていました。10年前の恥ずかしい思い出です。
その型が人間のパルクールに似ていると思い、「ドッグパルクールなる犬のスポーツを作ろうかな」と思い調べてみたら、すでに日本ドッグパルクール協会があることを発見。すぐに連絡して初級コースに入門、コーダと一緒にドッグパルクールを習うことにしました。
ドッグパルクール協会で教えてくれる犬の動作は、すでにコーダは出来ていたものがほとんどでした。でも、動作の「基本基準」を知ることで、「できた」か「できていない」かの理解がより深まりました。
ドッグパルクール師匠の吉見瑠美さんは私が英語が話せないために勉強しに行くことを躊躇していたアメリカのカレンプライアアカデミーで勉強されてきた方。倫理と科学でトレーニングをしているトレーナーということがわかり、安心して受講することができました。
ドッグパルクールの基本動作
ドッグパルクールの基礎の動作は全部で11つあります。
1, 二足配置/2Feet On(ツーフィート オン)
障害物まで歩き障害物に二本の前脚を置き、少なくとも5秒間障害物にとどまる。
2, 四足配置/4Feet On(フォーフィート オン)
安全に配慮して障害物に近づき、四本全ての脚を障害物の上に乗せる。脚を置く順序は決まっていないが、少なくとも5秒間障害物の上にとどまる。
3, 動く障害物の上に乗る/Moving Obstacle(ムービング オブステークル)
犬の体重がかかったとき、障害物が動かなければならない。犬は少なくとも二本の脚を障害物において、障害物から離れることなく障害物の動きに適切に反応(調整)すること。
4, 下方通過/Under(アンダー)
頭の高さよりも低い障害物の下を通り抜ける。
5, 間を通過/Through(スルー)
犬の体の長さより幅の狭い2つの障害物の間を、自信を持って通過する。
6, 中に入る/IN(イン)
安全に四側面を持つ障害物(箱状のもの)に歩いて入るか、障害物に飛び込む。四本の脚すべてが障害物の内に5秒以上入っていること。
7, 飛び越える/Over(オーバー)・またはJump(ジャンプ)
犬の肘の高さよりも高い障害物を、脚を触れさせずに飛び越える。
8, 行って戻ってくる/Around(アラウンド)
ハンドラーの近くを起点とし、少なくとも1メートル離れた障害物の周りを回り、ハンドラーのもとに戻る。右回りも左回りもできること。
9, バランスをとりながら進む/Balance(バランス)
犬の肩幅の2倍以下の幅、長さは犬の体の長さの3倍以上の障害物の上で、四本脚すべて乗せて、バランスをとり安全に歩く。
10, 障害物の上で静止する/Wait On obstacle(ウエイト オン オブステークル)
犬は四本の脚を障害物の上において、少なくとも10秒の間待機する。これは伏せでも座ったままでも、または立ったままでもその姿勢は問わない。
11, 後退する/Back(バック)
平面で3ステップ以上バックする。
毎日の散歩をもっと楽しく!
普段の散歩コースにある公園の切り株でもいいし、車止めでもいいし、ちょっとした垣根や段差や階段でもいいので、人間が土足で上がっても構わないようなところであれば積極的にこの基礎動作を取り入れていきます。
達成できたら愛犬にご褒美をあげるという散歩になると、犬も飼い主側もとても楽しく、普段の散歩コースの見え方が変わってきます。
実際に私は、スクールの生徒さんたちにドッグパルクールをレクチャーしていますが、今まで名前を呼んでも注目してくれなかった子が飼い主に注目するようになったり、パルクールに集中するため苦手な犬が通っても無視できたり、筋肉がついてバランスがよくなったり。犬にも人にもとても役に立っています。
ドッグパルクールは小型犬から大型犬までどんな犬でもできる上、年齢などを考慮して障害物の難易度を決めるのは飼い主です。だから“うちの子に合った障害物”を用意して、成功を分かち合ってみてほしいと思っています。
スクールに通ってくれているボルゾイの飼い主さんには、「ツーフィートが得意になり、合図ひとつで様々なところに前脚を置くことが楽しくなった。動物病院の診察台でも合図をすると前脚をかけてくれるので、台に乗せるのがとても簡単になった」と喜んでいただきました。
愛犬にいろいろな体の動かし方を教えておくと、いざというときに役に立ちます。ぜひみなさんもやってみてください。
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