まずは見分けることから!? そっくり&ビビリんぼうな2匹の子猫を慣らすまで

2匹の子猫
こうやって、片手でまとめて抱えられるぐらい小さかったのに……。右が女の子、左が男の子です

 今から8年前のお話。知り合いの駐車場で車のボンネットを「バンバン」したら、2日間に猫2匹。そうやって我が家へやってきたキジトラきょうだいがいました。

(末尾に写真特集があります)

とにかく見分けがつかない!

 病院に連れて行ったところ、おそらく生後1~2カ月でしょう、とのこと。血液検査・寄生虫の駆除・ノミとりシャンプー。もちろん猫風邪の治療も必要です。子猫用のカリカリを買って帰って、隔離生活が始まりました。

 それにしても困ったのが、見分けがつかないことと、超絶ビビリだったこと。

 足音がするとササッとどこかに隠れてしまいます。ご飯を置いても出てきません。そのくせ、人が居ない間は部屋からドッタンバッタン、遊びまわっている音がします。

 たまに運よく捕まえられても、どっちがどっちだか…顔も模様もそっくりです。女の子のほうが少しだけ大きいとはいえ、動いてしまえばもうわかりません。

 よくよく観察して、やっと気が付いたのは次の三つ。
・女の子のほうが柄が細かい(特にしっぽ)
・ほおの縞と縞の間に、女の子は点々が二つ、男の子にはない
・男の子はやたらとあくびをする

寝る2匹の猫
わかりますか?この違い。右が女の子で、目の脇の縞と縞の間に濁点のように「゛」があるのです。それがないのが左、男の子です

「仏像になる」作戦で少しずつ慣らす

 さて、この子たちをどうするか?

 里子に出すにしても、2カ月隔離した上で病気の有無を確定しなくてはなりません。それにこんなに怖がりじゃ、人に託すのも至難の業。とにかく人に慣れてもらうために、どうしたら仲良くなれるか考えました。

 まずトライしたのが、遊ぶこと。猫用のおもちゃをカシャカシャと振って見せ、気を引きます。人生、10匹もの猫飼育歴はダテじゃありません(と、思いたい)。猫の気持ちをくすぐる動かし方は心得ています。

 が。逆効果でした。

 確かに果敢に飛びついてきます。ですが、触ろうとすると、興奮しすぎて逃げるばかり。奪われたおもちゃを取り返そうとすると「ううーーーっ」。

 ダメだ。やっぱり穏やかにいかなきゃ。

 次なる作戦は動から静へ。

 私が部屋にいる時間を長くすることにしました。いつもはご飯を置いて、そのままそっと部屋を出ていましたが、居残ることにしたのです。

 床にご飯のお皿を二つ置いて、自分はソファに。脚が見えないようにあぐらをかいて、「仏像になったつもり」で、じっと待ちます。

 時計の音だけが、やけに響きます。

 そのうち、そっと猫が出てきた気配がしました。見たいけど、身じろぎすると逃げちゃうからぐっと我慢。

 小さく「カリポリ、カリ、ポリ…」と、ドライフードを嚙む音がし始めます。やがてそれが2匹分の音になり、食べ終わると、また静寂。たっぷり10分ほど待ってから、お皿を持って退去しました。

 これを繰り返すこと3日間。お皿を置いてから出てくるまでの時間が、少しずつ短くなってきました。食べ終わった後もすぐには隠れず、こっちの様子をうかがうまでになってきたのです。

 

子猫
ようやく、見ている前でご飯を食べるようになったころ(隔離中)。こちらは女の子です

編み出したのは「秘儀:ナチュラル抱っこ」

 私が部屋にとどまることに慣れてきたようなので、思い切ってソファに寝そべることにしました。正直に言うと、そのまま寝落ちすることも(笑)

 ですが、ある日のこと。

 そのまま寝落ちしていた私は、何かごく軽いものがおなかに足を下したのに気づきました。そっと見ると、ソファの背もたれから私のおなかに下りようとしている子猫が1匹。今動いたら絶対逃げてしまう!

 薄目を開けて様子を見ながら、寝たふりを続けます。

 やがておなかの上に完全に乗った子猫は、おへそあたりで香箱を組み、自分もうとうとし始めました。そーっと手を伸ばして頭を撫でます。

 びっくりはしたものの、逃げようとはしません。おなかの上の子は女の子でした。初めてちゃんと、触れ合った瞬間です。

 その日を境に、ソファに座っているとひざに乗ってくるぐらいにはなりました。でもまだ抱っこはさせてくれません。

 そろそろ次のステップに進みたい。そこで思い出したのが、サビがエンマの世話を焼いていた姿です。

 私がこの子たちのお母さんになればいい。ひざやお腹の上で寝ている子猫をなでるときは、母猫が子猫をなめるように。目元から耳へむかって、あるいは後頭部。指を母猫の舌のかわりに、そっとなでてあげるのです。

 気持ちよくて、ごろん、とおなかを見せたときは、ふかふかのおなかに指を置いて、モミモミ。そう、猫のフミフミと同じリズムです。すると子猫も、小さな前脚を一緒にフミフミ、動かして甘えます。

 やった!

 つまりは猫にとって「自然な動き」が一番なんだ!

 そしてついに、抱っこする日がやってきました。がしっとつかんだり、しっかり抱きしめてしまうと、猫にとっては「拘束」になります。胡坐をかいたひざの中で丸くなる猫を見ていて、思いついたのが「ナチュラル抱っこ」。

今でも男の子よりもビビリな女の子を抱っこするときは「ナチュラル抱っこ」が基本。私は腕で器を作って支えているだけ、彼女は座っているだけです

 腕の中にすっぽり猫を入れますが、あくまでも「猫が自分で丸くなっている」状態をキープ。下りたいと思えば下りられる状態にします。顔も対面しないように、猫の好きなほうを向かせます。

 これが大成功。自分を束縛しない、いやなことをしない人だとわかってもらうことに成功したのでした。

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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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