16歳を超えた愛猫 覚悟は必要、でも出来る限り明るくいたい

 うちには16歳10カ月の高齢猫イヌオと、3歳になったばかりの若猫はっぴーがいます。はっぴーを迎えてからの3年間、若返ってみえたイヌオですが、少し前に体調を崩しました。いつまでも元気でいてほしい、でも老いは確実に忍び寄る。やってあげたいことがいっぱいですが、心構えも必要になりそうです…。

(末尾に写真特集があります)

 この春はコロナの影響で、猫たちと過ごす時間が多くありました。イヌオの様子がおかしいのに気づいたのは2カ月前、自宅で原稿を書きはじめたときでした。

窓辺でくつろぐイヌオ(左)とはっぴー。こんな瞬間が長く続いてほしい
窓辺でくつろぐイヌオ(左)とはっぴー。こんな瞬間が長く続いてほしい

突然、意識が遠のいて…

 仕事机の下で寝ていたイヌオが急にせきき込み、吐くのかな?と思ったら“きゅ~ん”と鳴き、もがくように前脚をのばしたかと思うと、そのまま倒れて動かなくなってしまいました。

 「どうしたの?」と抱き上げながら色々なことが浮かびました。イヌオは6年前に糖尿病を患って以来、インスリンを打っています。慢性膵炎のための投薬もしています。これは何の症状?てんかん?心臓発作?

 昔、実家の猫は突然飛び上がって倒れたまま逝き、知人の猫はのどにフードを詰まらせ旅立っています。イヌオも意識がないようです。

「ちょっといやだよ…待って、イヌオ戻ってきて」

 急なことに慌てた私。鼻に息をかけたり、胸をもんだり。抱きながら砂糖水を作って(低血糖の対応で)口を開けて飲ませたり…おたおたしていると、ふうっと息を吹き返しました。

 そのあと普通に歩き、水も飲んでいましたが、こちらがぼうぜんとしてしまいました。

病院に私だけがいく

 イヌオはいつも病院に行くときに興奮するため、私ひとりで主治医に相談に行きました。

「はじめて見る症状だったのですが…てんかんでしょうか?低血糖でしょうか?」

 先生は話を聞き、「16歳を超えて急にてんかんが起きることは考えにくいし、低血糖の症状でもないようですね」と首をかしげ、可能性のひとつとして、「脳の問題」をあげました

「血栓が脳に飛ぶ(脳梗塞になる)ようなことが猫にもたまにあります。全身麻酔でMRIを撮らないと判断はしにくいですが」

 高齢での全身麻酔はリスクがあるし、悩みました。その時に診断はつきませんでしたが、先生は、よく様子を見て次に同じ症状が出たら「来る前に動画を撮って」と言い、(予防の意味で)血液をさらさらにするサプリなどを教えてくれました。それから、「意識をなくしたときに口に指をいれないように」とアドバイスをくれました。

病院で採血をするイヌオ
病院で採血をするイヌオ

血液検査をしてみると…

 その後、発作のような症状は起きませんでしたが、ちょうど5月がはっぴーの誕生日だったので、2匹一緒に健康診断(血液検査)をしました。イヌオは血糖値をよく調べていますが、全身の血液検査は半年ぶり。

 検査の結果、若いはっぴーはすべて基準値でしたが、イヌオは腎臓の数値に変化がありました。尿素窒素は42(参考基準値15~33)、クレアチニンは2.5(参考基準値0.8~2.1)と、以前より少し上がっていたのです。

 尿素窒素は血液中の尿素に含まれる窒素(たんぱく質が利用されたあとにできる残りかす)で、腎臓の働きが低下すると、濾過できない分が血液に残るので、尿素窒素の数値が上昇します。高齢猫は腎臓病になりやすいといわれますが(とくに糖尿があると腎臓が悪くなりやすいようですが)今までは正常範囲を保っていました。

 しかしここへきてついにか、という感じ。体重も減ってきて、腰のあたりがぐっと細くなりました。他にも変化があり、食べたことを忘れたように、夜中に何度も鳴きます。以前よりひざに乗ることも増えたし、イヌオもなにか不安なのかもしれません。

まるたさんに作ってもらった木彫りの爪研ぎと猫の天使
まるたさんに作ってもらった木彫りの爪研ぎと猫の天使

老い支度と覚悟

 若い猫と暮らしていると、歩く速さや食べる量、爪研ぎの力具合…と、すべてにおいて差が見えるものですが、日に日にはっぴーとの差が広がっています。3年前にはっぴーが来た時はイヌオが母親のようでしたが、今は体の大きさが逆転して、はっぴーが父親のよう。

 私が16歳以上の猫と暮らすのは2度目ですが、年を取ると可愛さがより募り、目の前の一挙手一投足、すべてが気になります。

 前の猫は17歳で口内のがんの治療をして、毎食の介助をしたものでした。これからイヌオも、腎臓の悪化や高齢に伴う様々な症状がでてくるのかもしれないので、覚悟や心構えは必要…。でも追い詰められないように、「できる限り明るくいたい」と思うのです。

 愛猫の具合が悪いと自分が落ち込んでしまう、でもそんな時こそ前を向かないと…。

 そういえば、イヌオに異変が起きる前、猫好きな木工作家まるたさん(@maruta_35)に、木の爪研ぎを注文して、イヌオの名を彫ってもらいました。その時、木の切れ端で作った小さな“猫の天使”をプレゼントしてくれました。

 イヌオが倒れた後、「木彫りの天使をお守りにしている」とまるたさんに伝えると、こんな威勢のよい、有り難いメッセージが届いたのでした。

〈イヌオまじかよー!そのまま天使(になる)とかやめてくれよ!イヌオがんばって〉

 そうだよイヌオ、もうちょっといっしょにいようよ。はっぴーと一緒に側にいるから。

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は16歳の黒猫イヌオと、2歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この特集について
ねこ飼い日記
古い魚屋の天井が崩れ、落ちてきた子猫「はっぴー」。その成長と、引き取った筆者との生活ぶりを同時進行でつづっています。
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