愛猫がついに19歳に! 長生きの秘訣は、本人に合ったケアと「彼氏」の存在?

2匹の猫
19歳になったイヌオ(左)と彼氏のはっぴー

 愛猫の黒猫イヌオが19歳を迎えました。持病がありながらここまでよくがんばってくれました。鳴き声が大きくなったり、トイレの失敗も増えたりしていますが、治療やフード、環境など、どんなことがイヌオの健康維持や生きる張り合いにつながっているか、考えてみました。

(末尾に写真特集があります)

ちょっとだけ先に目標を定める

「19歳、おめでとう!」
「素晴らしいニャン生、目指せ20歳!」
「これからも年下彼氏とイチャイチャして、可愛いイヌオちゃんでいてね……」

 先日、インスタでイヌオの「19回目のうちの子記念日」と誕生日知らせると、猫友さんたちから温かな言葉をかけてもらいました。「イヌオさんの長生きの秘訣(ひけつ)は何でしょう」という質問もいただいたので、どんなことがあるか振り返ってみました。

黒猫
あごに白い毛!でも若々しい感じ

 決してスムーズにここまで来たわけではありません。幼い時はケガもしたし、10歳で糖尿病にかかってインスリン投与がスタート。その後、歯肉に腫瘍(しゅよう)ができて手術、14歳で膵炎(すいえん)、その後、口が痛くて抜歯、17歳から腎臓病に関節炎、ひきつけを起こしたことも……。

 そのため「いつ何が起きてもおかしくない」という覚悟も持っていました。そんななかで、目指した目標が「まずはこの夏を超えて、19歳を迎える」ということでした。以前、長寿の猫を飼う猫友さんに、「目標をうんと先でなく、ちょっとだけ先に設定すると達成できた時にうれしいよ」と教えてもらい、私もそうしていたのです。

 今は猫も長寿化して、19歳は驚くほどの年齢ではないにしても、いろいろ抱えながらも元気に過ごせている。それはやはりうれしいことでした。

黒猫
「振り返ればいろいろあるわよ」

“おおらかな方針”が合っていたのかも

 健康維持に大切なのは、大きく分けて、病気の治療と、家での過ごし方(環境面)だと思います。

 イヌオの糖尿が発覚してすぐの頃は、遠方の大きな病院に通っていたのですが、キャリーバッグに入るだけで絶叫するので、ここ数年は家から最も近い動物病院で診てもらっています。

 主治医はイヌオの糖尿病に関し、インスリンを私が日に2度打ち、2カ月おきくらいに病院で検査(過去2~3週の平均血糖値)をして、体重の変動とあわせて診る方針でした。自宅で飼い主が猫の耳などから採血し、血糖値を細かく測定する方法もありますが、検査法と薬は替えずに続けました。おおらかなケアですが、本人に合っていたのかもしれません。

 高齢になって慢性腎臓病を併発した時は、フードに迷いました。それまで食べていた「糖尿病療法食」は高たんぱく(低炭水化物)ですが、「腎臓病用療法食」は低たんぱくなのです。

 主治医は「糖尿の管理上は食事を替えないことが大事」とおっしゃったので、この時は他の獣医さんにも意見を求めました。すると「腎臓病フードに替えてインスリン量を調整する方法もある」とのこと。直感的に「それいいな」と思ったので、自分の希望を主治医に話し、「フードを替えた上でインスリン量を調整し、今まで通りの血糖値検査を」ということにしました。

黒猫
今は投薬時などに特製スカートを着ます

 腎臓病になると食欲が減るといわれますが、イヌオは糖尿病のせいで食欲があり、体重の変動は1年間ありませんでした。歯周病で時々お口も痛くなるのですが、先生に勧められた「eFace-V」というサプリが効果てきめん。サプリの中身を私の指につけてイヌオの口内に塗ると痛みが治まるようです。薬タイムの時は、イヌオにスカートをかぶせます。(実家の片付け中に見つけた私のスカートを改良)。これがぴったり、投薬が楽でした!

 じつは、イヌオは療法食だけでは食べず、好物の焼きカツオ(トッピングや匂いつけ)が欠かせません。主治医は「おやつはよくはない。でもその年齢で好きなものをあげたい心理もわかる」と黙認です(笑)。もちろん私の自己責任ですけど、猫の“気持ちがアガる”好物は生きる気力にもつながる、なんて思って、焼きカツオは常に家にストックしています。

2匹の猫
長寿の最たる秘訣ははっぴー(左)の愛?

大きかった仲間の存在

 次に環境面ですが、よかったのは「気の合う仲間がいたこと」かもしれません。

 イヌオが14歳の時に、子猫だったはっぴー(愛称ふまたん)を迎えました。イヌオが2003年に家に来た時にはルナという猫がいて、ルナと12年も一緒にいました。メス同士でべたべたではなかったものの、ルナが17歳で亡くなり1匹になった後、イヌオは寝ていることが多くなりました。

 このまま老けていくのかな、と気になっていた時にはっぴーと出会い、獣医師と保護主に相談した上で、迎えたのです

 その存在は大きなものでした。

 子猫のはっぴーが、抱きついたりおんぶしたりすると、イヌオは「ウザい」という顔を見せたこともありますが、やがて、「しょうがない坊やだね」というようになめてあげて。はっぴーを迎えた後の血糖値は、前とほとんど変わりませんでした。

 母猫と息子猫みたいな関係は、月日とともに変わりました。おとなになったはっぴーが、イヌオに寄り添うようになったのです。仲良く並ぶ2匹は、まるで恋人同士みたい。

「めっちゃ年下の彼氏できちゃった」

 イヌオは、前にルナにはしてもらえなかった“猫になめてもらう”という体験をして、活性化したように見えました。はっぴーと私がオモチャで遊んでいると、寝床からとことこやってきて、「私も混ぜてよ~」といわんばかりに、仲間に加わることも。

 イヌオがはっぴーを受け入れたことも大きいですが、2匹の相性も合ったのでしょう。仲良くしている姿を見るにつけ、いくつになってもトキメキは大事!なんて思いました。

2匹の猫
これからもみんなで仲良くいこうね

次の目標は……

 イヌオは、ルナより前にいた“最初の黒猫”クロが亡くなって、私自身、どうにもさみしくて迎えた子です。人生で初めて飼ったクロは、闘病の揚げ句、9歳半で命を落としました。

 初めて猫を飼った私は、クロに対して神経質にフードを一粒ずつ数えるように計って与え、そのくせ、当時の主治医に気を使いすぎ、「あれ?」と思うことがあってもセカンドオピニオンをなかなかとりにいけず。結局、誤診のような感じで亡くしてしまいました……。

 その時の教訓として、自分の「勘」も大事にして、問題にぶつかった時は、他の先生にも意見を求め、同じ病を抱える猫の飼い主さんの話も聞くようにしています。

 今、イヌオに対して何か悔いることがあるとすれば……猫なのに、そして女の子なのに、「イヌオという名にしてごめんね」ということ。

 私が幼い頃に、「ねこのいぬお」という童話を書いたことや、子猫の頃にくるくると動き回って「わんちゃんみたい」と思ったのが名前の由来ですが、でもそれも案外、合っていたのかな。とある猫の占いで、名字とあわせて調べると「家庭運が最良」と出たのです(笑)。

 19歳を超え、これからの目標は「目指せ20歳」といいたいところですが……まずは一日一日を大事にして、クリスマスを、そして無事に年を越していきたいと思っています!

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は19歳の黒猫イヌオと、5歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この連載について
ねこ飼い日記
古い魚屋の天井が崩れ、落ちてきた子猫「はっぴー」。その成長と、引き取った筆者との生活ぶりを同時進行でつづっています。
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