5歳の愛猫がぽっちゃり7.5キロに 健康のためにダイエットを決意

キジトラ猫
5歳になって増量したはっぴー

 5歳の愛猫はっぴーは見た目ぽっちゃり。前々から少し減量したいと思っていたのですが、じわじわ増量。肥満によるリスクなどを考え、あらためて体重、体形の目標を定めることにしました。健康のため、今度こそダイエットをがんばりたいところです。わかりやすい指標(図)も載せたので、自分の猫が肥満かどうかぜひ振り返ってみてください。

(末尾に写真特集があります)

フードの量を決めてあげたはずが……

 愛猫のはっぴーが時々吐くので気になり、先日、かかりつけの動物病院に連れていきました。リュック型キャリーに入れて背負おうとした時、自分の腰がずーん、と痛みました。何とか無事でしたが、“猫が重たすぎて飼い主がぎっくり腰”なんて、しゃれになりません。

 病院に着いて、まずは、はっぴーの体重を測定……7.55㎏でした。

2匹の猫
おなかぽよぽよ

 先生がカルテをさかのぼり確認します。

「2年前の3歳の時に6.5㎏、4歳で7㎏、5歳で7.5㎏……着実に増えてますねえ」

 ちなみに今年の春に健康診断をした時に、レントゲンで「うんちが腸にすごくつまっている」とわかり、以降、腸内環境の改善を目的としたフードあげていました。

「体重に合わせた量を計って、はっぴーにあげていたんですけど」

「それ以外に何かあげていたのでは?」

「少しおやつを」私は口ごもりました。実際は「少し」ではなく「たびたび」です。

 おやつを喜んで食べる姿が可愛く、新しいおやつを見かけると、すぐに試したくなりました。19歳の同居猫イヌオのフード(現在は腎臓ケア食)の残りを、はっぴーがつまみ食いするのをうっかり見過ごしたこともありました。

 この日、気になる嘔吐(おうと)については、血液検査で特に原因となることがわかりませんでしたが、「うんちをしようとして力んだ後」や「高所から飛び降りた後」に吐いているようだと先生に言うと、肥満も関与しているだろうということでした。

キジトラ猫
「体が重たいと僕も思っていたんだ」

肥満のリスクと体形の評価

 主治医の先生に、肥満の原因とリスクについてあらためて伺ってみました。

「避妊去勢の後は、体内の代謝が変わって太りやすくなりますが、それに加え、運動不足だったり、はっぴーのようにおやつをもらいすぎたりフードを食べすぎたりして、摂取カロリーが消費カロリーより過度に多くなると肥満が起こるのです。肥満すると、糖尿病や便秘、関節炎などにかかりやすくなりますから、注意が必要なのです」

 はっぴーはすでに便秘気味ですし、糖尿病も避けたいところです。じつは、イヌオは10歳で糖尿病にかかりました。イヌオも若い頃にかなりふくよかで、7㎏近くあったのです。

 はっぴーまで糖尿病になっては大変。そもそも猫は何㎏くらいが理想なのでしょう。

「品種や個体差もありますが、雑種のメスの平均体重は3~4㎏、オスの平均体重は5㎏くらい。体重だけをみて、やせている、太りすぎだということではないですが、はっぴーちゃんは見た目からしても、立派なおでぶちゃん。脂肪がついて肋骨(ろっこつ)に触れられませんし」

 この「肋骨に触れられるかどうか」も、肥満かどうかのひとつのポイントだそう。

 今回、先生にボディーコンディションスコア(BCS)という指標を教えてもらいました。
見た目と触れた状態から、体形(特に脂肪の付き具合)を段階に分けて評価するものです。

 環境省が発行する「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」(2018年第3版)にも掲載されているので、ここで少しご紹介します。

犬と猫のボディインデックス
環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」2018年第3版より

 この指標によると、猫の「理想体重」はBCS 3で、「肋骨は触れるが、見ることはできない。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれがわずかに見られる。横から見て腹部の吊り上がり、脇腹にひだがある」と説明があります。

 BCS4が「やや肥満」、BSC5が「肥満」。はっぴーはすでにBCS5でした。

「肥満」は「肋骨や背骨は厚い脂肪におおわれて容易に触れない。横から見て腹部の吊り上がりは丸く、上から見て腰のくびれはほとんど見られない。脇腹のひだが目立ち、歩くと盛んに揺れる」という状態です。

 確かにはっぴーは腰にくびれがなく、歩くと、ゆらゆらとおなかも揺れます!

 先生によれば、座った後ろ姿がころんと丸くみえたり、おなかがパンパンに張っている(脂肪がつまめるような状態)も「肥満」のサインだそう。

 気楽に考えていましたが、意を決して減量しないとなりません。といっても、はっぴーのように太った猫は、一気にやせるのもまたリスクになるようです。

「肥満猫の場合、急にエネルギー不足になると脂肪肝を誘発する可能性があり、そうなると命に関わるので、絶食などはNG。ゆっくり半年で500gくらいおとすようにしましょう」そんなふうに、先生からアドバイスをもらいました。

2匹の猫
5年前のはっぴー(右)は細いくらいでした

あせらず目標を目指していこう

 そんなわけで、はっぴーはあせらず、1年かけて、1㎏おとすことにしました。

 まず1週間かけて、今まで食べていたものから代謝をサポートするローカロリーフード(療法食のドライ)に替えます。体重7㎏を目標にする場合(そのフードの)1日量の給与量は69g(241kcal分)。タッパーに1日分をいれて、数回に分けてあげることにしました。

 おやつをあげる時は、タッパーのフードを減らします。

 いつもコラムで猫のアドバイスをもらう苅谷動物病院グループ総院長の白井活光先生にも、はっぴーが7.5㎏を超えたので「今度こそちゃんとダイエットをする」ことを報告しました。すると、こんな話をしてくださいました。

「体重を落としながら、血液検査を1年に2回するといいと思います。やせた時に病気が隠れていないかをみるのも必要です。あと、はっぴーがいくら食べたがっても、イヌオちゃんの(腎臓用の)療法食をつまみ食いさせないように」

 腎臓用フードは(腎臓が悪く代謝がうまくいかない猫のために)たんぱく質の制限、リンの制限、ナトリウムの制限などがされているとのこと。腎臓が問題なければその代謝は正常なので、制限されていると代謝が不均衡になる可能性があるそうです。

 はっぴーのように便秘がちな子は、ドライの1割をウェットにするのもよいようです。

 食事の管理のほか、「運動も大切」だ、と白井先生。

「じっと動かずにいると、インスリンの感受性が低下するので糖尿病になりやくなる。腸の動きが悪くなるので、便秘になる。筋肉が落ちるので関節炎になるやすくなる……などよろしくないことが徐々に起きてきます。一緒に遊んであげたりして、ぜひ、はっぴーの体を動かすようにしてくださいね。階段の上り下りなんかもいいですよ」

周囲の猫はどう努力している?

 みんな、どうやって体重コントロールの努力をしているのでしょうか。はっぴーの兄弟ハヤテ君の様子をパパさんに聞いてみました。ハヤテ君は骨格が大きく、はっぴーよりも体重が多めです。

「現在7.8㎏で、おなかはややぽっこり。うちの場合ダイエットフードはおなかの調子が悪くなるので、今はグレインフリーのドライを(1日分を決めて)5〜6回に分けています。でも夜中におなかがすくと起こしにくるので、寝る前、決めた分を超えてお皿に入れることも……これがいけないのかな(笑)。自分の寝不足防止とフードの兼ね合いが難しいです」

 これ以上は太らないよう、いっぱい遊んであげて運動させることも意識しているそう。

「全力で遊んであげるのは人間にもダイエットになりそうだし、一緒に走るとぜぇぜぇ息切れします(笑)。これからも遊びながら、体形チェックしたいと思います」

白黒猫
はっぴーの兄弟ハヤテ君もおなかぽっこり?(ハヤテ君のパパ提供)

 また、「約4㎏の(本人の)理想の体形を保っている」という、知り合いのさい君(14歳)の飼い主さんにも、フードについて、聞いてみました。

「市販の総合栄養食のドライを子猫、成猫と成長段階ごとにあげてきましたが、去勢後に袋に印刷された量を与えていたら太ったので、以来ライト(ローカロリー)に替えて規定量より減らし、7歳からはシニア用ライトに。軟便傾向だったので、それをケアできるフードも探し、今は2種のドライフードを朝、昼、夕、夜、就寝前に計ってあげています」

 さい君の場合、体重が4キロを少し超えた時に獣医さんが適正体重のためのカロリーを計算してくれたので、それを目安に量を決めているそうです(体重も毎日計るそう)

「おやつはペーストタイプをあげたことがなくて、夫婦どちらかの外出前にライトを1粒。それから、就寝前の食事ではシニア用ライトを1粒、2メートルほど先に向かって左右に飛ばしとりにいかせます。運動とストレス解消が目的ですが、さいもけっこう楽しんでいます」

 猫の体質などにもよるでしょうが、このくらい徹底してはじめて、理想体重を維持できるのかもしれません。「ちゅー」と口にしたとたんに、ちゅーる欲しさに(おなかを揺らして)来るはっぴーを見るにつけ、甘やかした~と思います。ダイエットのためには、私自身が「おやつをあげたい誘惑」に勝たないといけないですね。

 これまで私は、家で体重を計る時は一緒に測って後から自分の分を引いていましたが、より正確に測るため、ペット用スケールを購入しました。毎日記録したいと思います。

 さて、はっぴーの保護時から約5年間、この「ねこ飼い日記」を記してきましたが、今回がラストの回となります。今まで読んでいただきありがとうございました。はっぴーとイヌオを、これからもずっと大事にしていきたいと思います。

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は19歳の黒猫イヌオと、5歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この連載について
ねこ飼い日記
古い魚屋の天井が崩れ、落ちてきた子猫「はっぴー」。その成長と、引き取った筆者との生活ぶりを同時進行でつづっています。
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