実家の猫が再びお泊まり おとなの猫同士の「お見合い」で気をつけることは?
私の実家には2匹のおとなの猫がいます。事情があり、先日8歳の「ちび」を私のマンションで預かったのですが、ちびは終始、緊張していました。その後、10歳の「ルビィ」を預かると、驚くほどくつろいだのです。でもうちの猫に異変が?「猫同士のお見合い」について、あらためて考えてみました。
今度は積極的な「ルビィ」がやって来た
先日、実家の猫「ちび」が私の部屋に来た話を記しました。
実家で高齢の母と暮らす私の弟が病気になり、一時的に預かったのです。「この先、何かあったら猫たちを託したい」と弟に頼まれたこともあり、うちの猫、はっぴー(5歳、オス)とイヌオ(18歳、メス)との“お見合い”を兼ねたお泊まりでした。
内気なちびは、うちに滞在している間、緊張して水も飲みませんでした。ケージをのぞくと、小さくシャー!私の手からおやつをなめてくれたので、その点は安心したのですが。
ちびが実家に戻った1週間後、もう1匹の猫。ルビィを私の部屋に連れてきました。
ルビィはちびよりも積極的なキャラ。実家で食卓を囲んでいると、「私も!」というようにいつも家族のだんらんに入ってきます。お客さんが来ても、ほとんど隠れません。
そんなルビィでも、場所が変わったらビビッてしまうだろうと、覚悟はしていました。
ところが……想像していた以上に早く、ルビィは私の部屋になじんだのです。
来てすぐに、ケージ越しに顔合わせ
キャリーのバッグのままケージに入れたので、はじめはバッグの中から、「ここはどこだ?」と様子をうかがっていました。でも、おびえていたちびと違い、シャーもしません。
うちの猫はといえば、まずははっぴーが「え?また誰か来たのか?」とルビィに反応しました。この前はすぐにケージから離れたのに、今回は自ら近づいて、伸びをしてケージ越しに顔をのぞこうとしました。
イヌオのほうは、「別にいいよ」とルビィの存在を気にしていないようです。(ちびが来た時と同じ対応です)
ちびが来た時よりも、部屋の中の緊張度合いが低い気がしました。私自身、猫を預かるのが2度目なので、気持ちに少し余裕があったのかもしれませんが。
ルビィちゃん、2日目の探検
ルビィは3日間、うちで預かることになっていました。
滞在中は居間のケージで過ごさせるつもりでしたが、食事をもりもり食べて、水も飲み、排泄(はいせつ)もちゃんとして、うちの猫にもとくに威嚇をしなかったので、翌日、少しだけケージの扉を開けてみました。
するとイヌオがケージに入っていくではありませんか。そして、「こっちにおいでよ」と誘導するようにルビィを見て……イヌオの後に続いてルビィがケージから出てきたのです。
それを見て、頼もしい!と思ってしまいました。よし、そのまま出してしまおう……。
ルビィは、椅子に乗ったり机に乗ったり、興味深そうに部屋の探検をしました。
寝る時はケージに入れましたが、3日目には、はっぴーとも直接あいさつ。
心配になって私のマンションまで様子を見に来た弟にも、機嫌よくすりすりしたので、「ルビィちゃんはハートが強いのかな」と弟も驚いていました。
実家のちびとルビィは、もともと消極的と積極的という正反対のキャラでしたが、私の家での態度も、まったく違ったわけです。
こんなにスムーズならいいな、と思ったのですが、ずばぬけた順応性があったルビィが帰ったあと、はっぴーに変化が起きました。ちょっとの物音にびっくりしたり、私のひざに乗って離れなかったり、うんちも便秘気味に……。
猫のお見合いは慎重に
いつも猫に関するアドバイスをいただく苅谷動物病院グループ総院長の白井活光先生に、今回のうちの例を話し、「おとなの猫同士の見合い」について、あらためて伺ってみました。
「どれくらい時間がかかるかわかりませんが、ケージ越しにシャーをしあわなくなったり、鼻を合わせたりして、お互いに興味を持ってからケージの扉を開けるといいと思います。
ルビィちゃんはおそらくフレンドリーなので大丈夫かもしれませんが、ケージから出すとやはり先住の方はストレスになるので、自由にするなら別の部屋がよいですね」
一見大丈夫な気がしましたが、やはり、ルビィとはっぴーを直接合わせるのが早かったのかもしれません。
どのくらいの期間ケージで過ごさせていいのか、また、(前回のちびがそうだったように)水を飲まない時はどうすべきかも、先生に聞いてみました。
「まず、慣れなければ1カ月でもケージで過ごさせてもいいと思います。その方が猫自身は安心だと思いますので。ご飯は食べても、緊張から水を飲まないこともあるので、できれば慣れた器にして、ウェットフードにするといいと思います。ちゅーるが好きなら、(定期的に)ちゅーるをあげることでも水分はとれます」
私の見切り発車ではっぴーを驚かせてしまいましたが、白井先生によれば、こんなふうに何度かお見合いを重ねることで、「慣れていくだろう」とのことでした。
「お互いの距離感や居住スペースの認識ができれば、大丈夫だと思いますよ」
その言葉にほっと胸をなでおろしました。
そういえば、あの猫たちはどうしただろうか……。オジサン猫同士が(途中から)同居した知人の家の例を思い出したので、その話も少し記したいと思います。
オス同士、同居をした例
昨春、Nさん夫妻と暮らしていた推定14歳のモンジのもとに、Nさんの実家にいた同世代のトラがきました。
Nさんのご両親が病気で倒れたため、実家からトラを引き取ったのです。Nさんは前から「トラが来たらよろしくね」とモンジに話していたそうですが、シニアのオス同士、顔をあわせるのは初めて。2匹の居住空間をまず分けたそう。
「扉を閉めて、部屋の行き来ができないようにしました。トラははじめケージにいれましたが、(実家でケージに入ったことがないので)昼間は解放して、1週間くらいして2匹を会わせるようになりました」
トラはフレンドリー、モンジは我が道をいくタイプなので、「相性が気になった」とNさんはいいます。
「意外に早く“鼻チュー”しましたが、モンジが急にトラに威嚇するので、トラが面食らうことがたびたびありました。それでも、だんだんと距離を縮めていきました」
2匹が共に暮らしはじめて、この夏で1年半。今では猫1匹分のスペースを空けて、一緒に寝ることがあるとのこと。
「とはいえ、前脚で殴り合ったり追いかけ合うこともあります。トラは親分肌なので服従させたい、でもモンジは1匹オオカミでそれを拒む感じ……。多頭飼いの友人やボランティアさんによれば、メス同士の方が収集がつかないくらい仲が悪いことがあるようです。うちはオス同士、これ以上はくっつかないかもしれませんが、彼らなりに歩み寄ったと思います」
2匹の健康状態は良好。トラは両親に会えなくなってさみしいだろうに、たくましく生活してきたのです。
……Nさんの例も参考にしながら、私も慌てることなく、いつか来るかもしれない実家の猫との同居に向き合いたいと思います。
もちろん、母と弟が元気で、1日でも長くちびとルビィと過ごしてくれることがいちばんよいので、まずは家族に元気でいてほしいと願っています。
猫が増えるということは、責任が増えるということ。私も体力をつけておかないといけませんね!
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