禁断のラインを超えた? 老猫の爪切りで、まさかの流血事件
爪切りが好きな猫はあまりいないと思います。年をとると、爪の出し入れもうまくいかないようだし、切らないと痛そう。でも、なかなか切らしてくれない……。そんな老猫の爪切りで、流血事件が起きました。
愛猫のイヌオ(16歳、メス)は、このところ歩くのが遅くなりました。高い所にも乗れないし、ベッドから降りる時はペット用の階段をよっこらしょ。若い時は得意気にバリバリやっていた爪研ぎも、あまり見かけません。床に置いた段ボール製の爪研ぎはほぼスルー、たまに縦型の麻製爪研ぎに前足をかけて、研ぐのではなく、なでる感じ……。
老猫は巻き爪になって、ケガすることも
爪の形も、以前は細くシュッとしていたのに変わってきました。とくに後ろ足の爪のほとんどが分厚く半円形のようになって……。猫は高齢になると、爪が厚くなり、放置すると、円を描くような巻き爪になって、肉球に刺さってケガすることもあるそうです。それでイヌオの爪が心配でした。
そんなころ、sippo猫塾(セミナー)で「猫の爪のケア」について、獣医師に教わりました。先生は爪の切り方について「カットするラインは先端。血管がある所より外、絶対に血管のところを切ってはいけませんよ、絶対」と念押ししていました。
イヌオは3匹目の猫。ベテラン飼い主の私も、爪切りには十分注意していたつもりでした。
いざ、老猫の爪切り
ところが、先日のこと。
イヌオの爪を見ると、また厚くなっていて、気になりました。歩きづらそうなのは、厚い爪のせいじゃないか。歩くとカチカチいうし……。イヌオは足を触るだけでも嫌がるのだけど、なんとか切ってあげたい。
そう思い立ち、イヌオを抱いて爪切りを開始しました。ただ、後ろ足の爪は黒ずんでいて、とても見づらいんです。
「先だけ、切るからね。ほら、動いちゃダメ」
肉球をぎゅっと押して、出てきた爪の先をパチン、パチン!
なんとか切り終えました。
そしてイヌオを解放し、他のことをした後、振り向いたときでした。なんと、ベッドの白いシーツに真っ赤なバラの花びらを散らしたような染み……。
えっ?!
気をつけていたのに、禁断のラインを超えてしまっていたのです。
爪を切ったときは、ニャーと鳴いていたけれど、とくに変化はありませんでした。イヌオが動いてシーツですれた拍子に、出血したようです。
「老猫の爪切りは少しずつ」
「ごめん、ごめーん」
謝りながら、慌てて動物病院に向かいました。
「先生、大丈夫ですか? けっこう血が出ていました」
焦る私に「これなら止血剤をつけるだけで大丈夫ですよ」と先生。
「けっこう多いんですよ、深爪をしてしまう飼い主さん。厚くなった爪に関しては、全部を切るというより、少しずつやるといいですよ」
薬をつけるとイヌオが落ちついたので、翌週の予定だった糖尿病の検査もしてもらいました。その結果が良かったので、ほっとしました。
家に帰ると、若い猫はっぴー(オス)が、心配そうにイヌオに寄りそいました。
「とんだ災難だったね、イヌオばあちゃん」
「でもまあ、わざとやったわけじゃないしねぇ」
そんな会話が聞こえてきそうでした。
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