少年になった猫のエンマ 『栄町ビリビリ団』を結成する

こんなに大きくなっても、まだ「お母ちゃん」のそばから離れないエンマ(右)

 庭に住み着いていた野良猫母さんから帝王切開で誕生したエンマ。人工授乳の時期も過ぎ、無事に離乳。みるみる成長していきました。

(末尾に写真特集があります)

まるでゴムまり! とにかくじっとしていない!

 目が開いたとたん、エンマはみるみる成長のスピードを上げてゆきました。まず行動範囲が各段にアップ。自宅で「育児室」にしていたボート(空気でふくらませるやつ)など、とうに乗り越えられるようになりました。

 ソファに飛び乗ったり、出たままの爪(子猫は爪が引っ込みません)がカーテンにひっかかって中ぶらりんになったり。いっときも目が離せない状況が続きました。おかげで家の中は、私史上あり得ないほど整理整頓が進み(笑)、カーテンをはずしてひっかかりにくいロールスクリーンに。

 もう育児室に隔離しておくこともありません。目もしっかり見えているし、何かあれば逃げることもできます。先住猫たちと合流させるときがきました。その時点で、我が家のリーダー猫は5歳になる梵天丸でした。エンマはよちよちと寄って行って「遊んで~」とちょっかいを出しますが、梵天丸の回答は……

「シャーッ!!!」

 しかしエンマはへこたれません。母猫・サビのほうを見て(世知辛い……)とでも言いたげ。さっさと何か楽しいことを見つけて、拒否されたことなんて意に介していません。

一生懸命、梵兄ちゃんに甘えに行くものの、相手してもらえないエンマ。それでめげるようなオトコではありません!

周囲の猫たちにも変化が

 エンマが合流したことで、まず影響を受けたのは梵天丸でした。その頃はまだユーリというアメショ系雑種の女の子がいましたが、ユーリはとにかく孤高の猫。めったに甘えませんし、自分から誰かにすり寄っていくこともしない子でした。

 エンマとサビは母と息子ですし、ボビはサビの妹(姉?)。やはり家族なのか、この3匹は仲良しこよし。一人っ子の梵天丸は、前にも増して私にべったりになりました。

 こちらもつい、子猫が心配で世話を焼きがちですが、それが梵にはおもしろくありません。寒い季節でもないのに、布団に入ってきます。毎朝、毎晩、抱っこをせがみます。エンマを抱いてあやしていると、部屋の隅からじっ……とみつめていたりします。

「あー、悪かった悪かった! 梵ちゃん、おいで!」

 抱っこは必ず梵が先。ご飯をあげるのも。いつしかそれがルールになっていきました。エンマやボビを抱っこしたとき、梵と目が合うと、ふぃっ、と目線をそらします。いじけているのです。

「ねえ、なんで私が浮気したみたいになってんのよ!?」

 理不尽だとは思うものの、猫心は複雑なようです。

『栄町ビリビリ団』参上!

 少年・エンマはとにかく暴れん坊です。まだ体重が軽いので足音も軽やか。一体何に興奮してるんだか、1階から2階へ、2階から1階へ。時には勢い余ってテーブルの上に飛び乗ることも!

「エェェェンマァァァッ!」

 叱って収まるものではありません。だだだだだっ……という足音が近づくと、夫婦でテーブルの上のお茶を持ち上げて避難する日々。さらに、この運動会に母猫・サビと叔母猫・ボビが参戦するように!

 考えてみれば、彼女たちも生後1年かそこらの若猫です。遊びたくてうずうずしていたのでしょう。そうなると騒がしさも倍増です。だだだだだっ……は、ドドドドドッ……に変わりました。

 そして。

 床に放置している私が悪いのですが、まず段ボール箱や古新聞がズタズタにされるようになりました。朝起きたら、床が見えないほど紙クズだらけになっていたことも! 破かれたくないものを片付けると、今度は洗濯物のタオルやら、かけてあるジャケットやら、手あたり次第、狙いを定めるように。

「しょうがない。遊び用の段ボールを用意しよう!」

 あれこれ出しておかないこと。遊んでいい段ボールは常にひとつだけ! 包装紙や古新聞は、遊びたいだけ遊ばせて、終わったらすぐ片付ける! また我が家のルールが増えました。

 暴れん坊で、何もかもをビリビリにすることから、ボビ・サビ・エンマの家族を『栄町ビリビリ団』と名付けました(栄町に住んでいたのです)。そんなある日。

「あれ?エンマ、あんたそんな顔だったっけ?」

不思議なもので、こうやって勢ぞろいすると「あ、家族だ」と思える『栄町ビリビリ団』。おとなしいときは天使なのに……。

 丸顔だとばかり思っていたエンマが、なにやらシュッと細い、三角顔に。耳が大きいせいか、より際立ちます。

「エンマとボビとサビ。1匹ずつ見ると全然似てないんだよね」と夫。

 しかし、運動会が終わって、3匹そろって猫ベッドでくつろいでいる顔を見ると、やっぱり家族、どこか似ています。

「不思議なもんだねえ」

 さて、エンマのお父さんは、どんな猫だったのでしょう。


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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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