便秘騒ぎで目が開いた? 赤ちゃん猫エンマすくすく成長

目が開いたばかりのころのエンマ。つぶらな瞳で何を見てるの? 見るもの聞くもの、好奇心の塊です。

 目も開かない人工授乳の子猫を会社に同伴出勤することになったのは、今から9年ほど前のこと。初めてのことだらけで、手探りの日々でした。

(末尾に写真特集があります)

え? これが子猫ののどの音?

 東日本大震災の1カ月後、猫のエンマは帝王切開で生まれてきました。うまく母猫のお乳が飲めず人工授乳になった子猫を連れて、会社通勤する日々がはじまりました。

 猫連れ通勤だし、なるべく残業せずに帰りたいと思うものの仕事がそれを許してくれません。その日も時計は10時を回ろうとしていました。本来ならそろそろ次のミルクを用意する時間なのですが、あいにく会社のミルクが在庫切れ。

 明日、家から持ってこようと思っていたのに、このタイミングで残業とは……。

 そこに夫から携帯メール。彼も仕事が終わり、車で帰る途中とのこと。タイミングが合いそうなら拾ってあげようか? というありがたい申し出でした。

 お迎えに間に合うように残業にケリをつけ、車に乗り込みます。冬に逆戻りしたかのような、しんしんと冷える夜でした。
「急いで帰ろう。エンマのミルクがもう終わっちゃって。お腹すかせてるはずなんだ」

 それは大変、と夫はさっそく車を発進させます。膝の上のエンマを入れた昆虫ケースがごそごそ動きました。

「よしよし。寒いよね。お腹すいたね。ちょっと待っててね」

 子猫を抱きしめると、エンマは服に爪を立てて(子猫の爪は引っ込まないので痛いです!)、思いのほか力強く、がしがしと顔のほうに向かって上ってきます。首筋までのぼってきたので手で支えながらほおずりしていると、

「クツクツクツクツクツ……」

 小さくて規則正しい音。時計か何か、機械の音のようです。一体何だろう?

「あ!」

 それが初めて聞いた、エンマがのどを鳴らす音でした。感激に浸っていると、さらに顔のほうへとよじ登ろうとします。細い爪でがりがり引っ掻くから痛い痛い!

「こら、エンマ、なにしてんの?」「ちゅっ」

 エンマが私の唇に吸い付きました。何ごとかと思っていると、一生懸命手でまさぐって、下唇に吸い付いているのです。お腹がすいて、おっぱいを探していたんでしょう。

 いつもは下道で帰るところを、夫は高速を使って車を飛ばしてくれました。

まんまる頭から少しずつ、耳が三角に大きくなっていきます。でもまだ、耳の位置が低いうちはほんの子猫です。

静かだったエンマが地下鉄の中で叫んだ

 エンマは基本的には静かな子でしたが、一度だけ、大騒ぎをしたことがあります。それもなんと地下鉄の中で。

 大きなトートバッグに昆虫ケースを入れて通勤していましたが、その日は突然、ごそごそとケースの中で暴れ始めました。そして「みゃーっ! みぃぃーっ!」

 あとひと駅で会社なのに! どうした?(ごめんエンマ、お願いだから静かにして)。トートバッグに必死に小声で話しかける変なおばさんがひとり。お構いなしに騒ぐエンマ。車内の人たちは「猫?」「どこで鳴いてる?」「え、子猫?」とざわざわ。穴があったら入りたい、と思っているうちに駅に到着。ダッシュで降りましたとも。

 万一何か異常だったらどうしよう。人の流れを避けて隅に寄り、そっとケースをのぞくと、なんとエンマがうんちまみれになってのたうっているではありませんか!

 普段は母猫が舐めて排便させているのですが、その日に限ってなぜだか、通勤のタイミングで、しかも量から察するに、ちょっと便秘気味だった模様。

 離乳前でさほど臭くなかったのが幸いでした。走るように会社へ。始業時間よりかなり早いので、まだ誰もいません。トイレに駆け込み汚れ物を片付け、モップ洗い用の洗面台でエンマの体を洗います。

「ぴゃーっ! きゃーっ!」

 怖がって鳴きますが、汚れたままにしておくわけにいきません。

「はいはいはい。大丈夫だから!」

 席に戻ってびしょびしょの子猫を拭いていると、副社長が。

「あ……す、すみません!」

 謝ろうと立ち上がってみると、手には電気ストーブが。

「風邪、引かせちゃまずいだろ」

 本当にありがたい職場でした。

エンマ、最後の出勤日に撮影した写真です。すっかり耳が高い位置になって、猫らしくなってきました!

便秘治療で目が開いた!

 その後、再びエンマが便秘を発症。連休中で私もずっと観察していましたが、している気配がありません。動物病院に相談したところ、すぐ連れてきてください、とのこと。

 結局、先生がワセリンをつかって肛門をゆるめ、摘便。最初は手ごわくててこずりましたが、エンマにしてみたらお尻をごしょごしょ触られて、嫌なことこの上なかった様子。

「み゛ゃぁぁぁっ! んぎゃぁぁぁっ!」

 少しずつ体が大きくなってきて、声も太くなってきました。

「はいはいはい。イヤなのはわかってるけど、うんち出さなきゃ大変でしょ?」

先生の処置のおかげで、はい、すっきり。すると……
私 「あれ?」
先生「どうしました?」
私 「先生、目が開きました!」

どうやらあまりにイヤで、それ以上目を閉じてはいられなかったみたいです(笑)

エンマ近影(笑) なにやら長い猫になりました。今年9歳の、りっぱな「おっさん」です。

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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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