茨城県出身、栃木県育ち、現在は富山県在住の自然が大好きな雑種犬「リキ」(南秀和さん提供)
茨城県出身、栃木県育ち、現在は富山県在住の自然が大好きな雑種犬「リキ」(南秀和さん提供)

迎えた初日で一変! 本当は人が大好きな犬専門古書店の看板犬「リキ」、夢は全国行脚

目次
  1. 【基礎データ】ウシ柄の日本犬系中型雑種犬
  2. 警戒された初対面から、初日で一変
  3. 初めての自己主張
  4. たまに威勢がよくなる看板犬

 個性豊かな雑種犬の魅力を紹介する連載企画。第11回は、黒い顔と白い体に黒ブチが特徴的な「リキ」。初めて会う人に対しては警戒するものの、好きになるとシッポを振って走っていく、そのギャップにやられる人が続出。犬専門古書店の看板犬として、各地のイベントにも参加しています。

(末尾に写真特集があります)

DATA
《名前》リキ
《年齢/性別》5歳・オス
《役割》犬専門の古書&セレクトショップの看板犬してます!
《サイズ》体高50cm・体⻑55cm・体重12kg
《チャームポイント》顔とおしりの黒ブチと、超マイペースな性格
《特性》
人慣れ度★★☆
犬好き度★★☆
食いしん坊度★★★
運動量★★☆
トレーニングしやすさ★★☆
ケアのしやすさ★★☆

「ビビッときた」「運命を感じた」などと表現する人も多い、愛犬との出会い。ところが、リキと飼い主の南秀和さんとの初対面は、少し違っていたそう。保護団体のシェルターの事務所で顔を合わせたとき、リキにものすごい勢いで吠えられたことが、南さんとの関係の始まりでした。

朝寝坊で、家ではぐうたらした生活を送っている(南秀和さん提供)

 茨城県の多頭飼育崩壊の現場から子犬のころにレスキューされて、千葉県の動物保護団体のシェルターにいた、リキ。一方、次の転勤のときに犬を迎えようと考えていた南さんは、栃木県勤務になったとき、ペット可物件を選択。犬種にはこだわりがなかったので、保護犬の中で条件に合う子を探していました。

「シェルターへ面会に行ったら、あまりにたくさんの犬がいたので、自分では選べないと思ったんです。そこで、成犬で、(賃貸住宅の規約の都合で)体重何キロ以下で、男の子がいいと、自分のライフスタイルや希望を伝えて。その結果、スタッフさんが『この子はどうですか?』と連れてきてくれたのが、生後11カ月のリキでした」と南さん。

千葉県の大型シェルターで育った(南秀和さん提供)

 シェルター内の事務所のような場所で対面すると、リキは南さんに向かって激しく吠えたてました。それでも、保護団体のスタッフいわく、「この子は1週間もすればなつきます」とのこと。子どものころ犬と暮らしていた経験のある南さんも、リキが怒っているわけではないことはわかったと言います。

「初日はめちゃくちゃ吠えられたし、触ることもできなくて。それでも、リキを見たとき、この子と一緒に暮らしている自分が想像できたんです。これも縁だなと思って、すんなりと迎えることを決めました」

南さんの一人暮らしのアパートに迎えたばかりのころ(南秀和さん提供)

 シェルターでの初対面から1週間後、準備を整えてリキを迎えに行き、家に連れて帰ったその日のこと。夕方、南さんがゴロンと横になっていると、なんとリキが足元にくっついてきたのです。

今でも体をくっつけてベッタリするのが好き(南秀和さん提供)

「本当は、リキは人が好きで、人間と1対1の暮らしが合う子なんだろうなと感じました。それと同時に、長い間人間との暮らしとは無縁なシェルターにいたことを思うと、キュンと切なくなりましたね」

 こうしてあっさりと南さんに慣れたリキですが、生活環境がガラッと変わったことで、社会化の苦労は続きました。

 人間との暮らしを知らないまま、生後11カ月まで育ったリキは、人間社会のあらゆることに慣れていませんでした。例えば、迎えたばかりのころ、南さんがテレビを付けると、リキは大パニックに……。「けっきょくリキが来て1年ぐらいは、テレビを見ませんでしたね」と南さんは笑います。

 散歩もほとんどしたことがなく、怖がって外をまともに歩けなくて、数十メートル進むのに10分かかるほど。近所に公園があったため、横断歩道は抱っこして毎日通っていたところ、少しずつ犬や人間の友達ができていきました。そうして公園へスムーズに行けるようになったころから、少しずつ外にも慣れていって、今は問題なく散歩を楽しんでいます。

最初のころは、外に出るたびにシッポを股の間に格納していた(南秀和さん提供)

 いちばん困ったのは、リキの分離不安。南さんが成犬を希望していたのは、日中仕事で家を空けることが理由の一つでしたが、甘えん坊のリキは南さんが出かけると、血が出るほど前脚を噛んでしまったり、ケージから脱走したり……。職場から自宅まで500mぐらいの距離だったため、休憩時間になると急いでリキのようすを見に帰り、職場には「いっさい残業はしません」と伝えて終業時刻に飛んで帰っていたと言います。

リキを迎えてから、南さんは仕事を終えると一目散にリキの待つ家に帰るように(南秀和さん提供)

「留守中すごく吠えたりもしていたと思いますが、アパートの住人はみんなペットを飼っていたので、頭を下げに行くとみんな『大丈夫ですよ』と言ってくれました。謝りに行くのは僕にとって何でもないことでしたが、それよりリキに寂しい思いをさせているのでは、と心が痛かったです」

 分離不安を解消する方法をインターネットで検索し、家を出ては短時間で戻ったり、出かけるときにかじるおやつを与えたりと、考えられることはすべて実践。その結果、幸いリキの分離不安は3カ月ほどで改善していきました。

道端に寝転んで駄々をこねる姿はもはや定番(南秀和さん提供)

 さまざまな変化や成長を遂げてきたリキですが、南さんにとっていちばん嬉しかったのは、リキが初めて駄々をこねた瞬間。

「迎えて半年も経っていないころだったと思いますが、散歩中に帰りたくないからと、道にゴロンとひっくり返ったんです。初めてリキの自己主張を聞いた気がして、うれしくて。そのとき僕がすごく喜んだからか、外でひっくり返るのはいまだによくやります(笑)」

 リキを迎えたことで、南さんの生活にも大きな変化が訪れました。「リキとの穏やかな暮らしを生活の中心にしたい」という気持ちが高まり、迎えて2カ月後には、ずっと働き続けるつもりだった大好きな会社をやめると決意。秋には地元の富山に戻って、古書を中心とした、犬との暮らしに関するセレクトショップ『イヌグラシ』を始めました。もちろん、看板犬はリキ。

イベント出展時にリキがいないと、お客さんにがっかりされることも多々(南秀和さん提供)

 オンラインショップが中心なので、仕事中もプライベートも、基本は自宅でリキとずっと一緒。イベント出展の機会が徐々に増えてきて、途中からはリキもできるだけ連れて行くように。人の多い場所に慣れておらず、最初は戸惑っていたリキも、少しずつ看板犬業務に慣れてきました。インスタグラムなどを見て、リキ目当てに県外から会いに来てくれる人もいます。

「今でも、店舗のテント内に他の犬が入ってきたりすると、たまに威勢がよくなっちゃうことはありますけど(笑)。人も犬も、だいたい大丈夫になりました」

山に行くとハイテンションになるリキ(南秀和さん提供)

 休みの日には、地元の仲間4人+リキで「ファミリー会」を結成。リキもメンバーとして認識されているので、集まってすることは毎回、リキと一緒にできる遊びのみ。

「いい大人が公園で集まって、ピクニックしながら過ごしています(笑)。メンバーの1人が特にリキのことを大好きで。『リキと出会わなかったら、公園でのんびり過ごすとか、そういう時間の過ごし方を知らないところだった』ってよく話しています」

助手席はリキの特等席。他の人が座ってもリキが助手席に来てしまうので、人を乗せるときは後部座席がお決まりになった(南秀和さん提供)

 南さんの今の夢は、旅する古書店として各地でイベントなどを開催しながら、リキと一緒に全国行脚をすること。仕事をしながら、山が好きなリキと一緒に全国の山を歩くこともしたいそう。南さんと一緒に過ごす時間がいちばんのリキにとっても、最高の思い出になるに違いありません。

(次回は11月24日公開です)

【前の回】散歩の耐久は2秒だった 寛容に根気よく、山中を放浪していた雑種犬「ロビン」の成長

山賀沙耶
フリーランス編集ライター。北海道大学文学部卒業後、編集プロダクション、出版社勤務を経て、独立。現在は雑誌や書籍、ウェブメディアを中心に、犬やアウトドアなど幅広い分野で活動中。犬メディアとのかかわりは、約20年前の編集プロダクション時代から。プライベートでは、2頭の雑種犬と外遊びを楽しむのが至福の時。

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この連載について
雑種犬図鑑
見た目も性格も個性豊かな雑種犬の魅力を、犬種図鑑のパロディで紹介。毎回1匹の雑種犬にフォーカスし、チャームポイントから生い立ち、暮らしのエピソードまで情報や魅力をふんだんに伝えていきます。
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