臆病な元保護犬「福」の留守番トレーニング シッターさんを目の前に初日は硬直
月刊誌『天然生活』『ESSE』等で編集長を務め、著書「妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした」が話題の小林孝延さんこと「とーさん」は、困り顔の元保護犬の「福」と、元保護猫の「とも」「もえ」、そして今年保護した元野良猫の「ヤン」と「イン」とともに、賑やかな日々を過ごしています。動物たちとの暮らしを、とーさんの日常を通してお伝えしていきます。
初日の顔合わせと福の反応
前回からの続きです。
とーさんの長期出張に備えて、シッターさんによる留守番トレーニングがはじまった寂しがりやの元保護犬「福」のおはなしです。
初日。まずはシッターさんと顔合わせ。2人体制でローテーションを組んで対応いただくというので、ふたりの女性シッターさんが初来宅。案の定、玄関までの足音が聞こえた瞬間、福も猫たちも全員雲隠れして様子見です。シーンとしている室内に、初めてきた来たシッターさんはほんとうにどうぶつ5匹も飼ってるの??って思ったでしょうね。
まず、わが家の犬猫たちの性格をそれぞれ伝え、さらに顔写真や動画などでそれぞれの個体識別(猫4匹がぜんぶ白黒でそっくりなので)。さらに水、ごはん、おやつ、そのほか日々のルーティンも確認。ヒアリングが一通りおわったら、隠れていた福を寝室から連れてきてシッターさんと対面してもらいました。
硬直……好きあらば逃げ出そうとしています。
そんな福にシッターさんはおいしそうなおやつをとっかえひっかえ。やさしく、やさしく語りかけますが、もうね、いっさい拒否。断固拒否。完全否定。
これには百戦錬磨のシッターさんも苦笑い。
「福ちゃん、これは相当ですね(笑)。でも大丈夫、ゆっくり私たちに慣れてもらいましょう」
ということで作戦変更。おふたりは以前、福にそっくりな元保護犬で人慣れしないわんこと気長に向き合って関係性をつくった経験があるそうで。これも想定内でした。
そこで今度は福と離れて距離を取り、福の方を全然見ることなく、遠くからおやつを投げて様子見することに。するとほんの少しずつですが、目のまえのおやつにじり、じりっと近づきくんくん。でも食べません。警戒心のかたまりの福なのでした。
こうして初日は終了しました。この様子を見て、これは練習の回数を倍増させる必要があると判断。その後、毎日シッターさんが顔を出して、福との関係性をつくることになりました。
お散歩とごはんのルーティンにトライ
2回目以降は、ひとりずつが本番のイメージで来宅しリード装着、お散歩、ごはんの流れをとーさんが横につきながら一緒にこなしていきました。
あきらかな違和感に警戒心むきだしの福。おやつもすぐに食べないし、シッターさんには及び腰。それでもなんとかとーさんがつきっきりで、いつものルーティンをこなすことにまずは成功。
ごはんも途中まで食べたらすぐに奥の部屋に隠れてしまうような状況からはじまって、徐々に完食へ。毎日、毎回、福の好みを探るために様々な種類のおやつを山のように持参して、手を変え品を変え福に向き合ってくれました。そのうち野菜のピュレがお好みなのを探り当て、後々これが功を奏することに。
とーさん、これまでこんな熱心に福の好みを探ってこなかったなあ。やっぱり彼女たちプロは心を開かせる引き出しがたくさんあるなあと感心しました。
また、毎日のルーティンで最も重要なお散歩問題。この連載でも何度も書いているように福はお散歩が大の苦手。とーさんと一緒でも少しでも不安が募ると、お散歩の途中で踵(きびす)を返して逃げ出すくらい。シッターさんにはまず福のこの臆病ぷりと、行動パターンを覚えてもらうことに。そして「シッターさん」=「嫌がることをする人」にならないよう、福が嫌な時は無理強いしないを徹底し、歩けなくても決してしかったり、引っ張ったりせず、根気強く向き合う訓練となりました。
とーさんが横にいればなんとか歩くお散歩ですが、シッターさんだけで歩いてみる訓練をすると、案の定、玄関先から一歩も動けません。とほほ。
そんなお散歩の苦手な福のためにシッターさんが持ってきたのは、ノーズワークという遊びができるおもちゃでした!! 隠したおやつを匂いで嗅ぎ当てるノーズワーク、はたして福はできるのか? 次回をどうぞお楽しみに!!
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。