沖縄の採石場で生まれた雑種犬「KIVI」 雪国信州で社会化トレーニング修行中!
個性豊かな雑種犬の魅力を紹介する連載企画。第24回は、琉球犬ミックスと思われる、テリアのような見た目の「KIVI(キビ)」。沖縄の採石場で保護され、2代にわたってラブラドールと暮らしてきた旅好き夫妻とともに、長野の高原でトレーニングに遊びにと日々を満喫しています。
【基礎データ】琉球犬ミックスのテリア系中型雑種犬
- DATA
- 《名前》KIVI(キビ)
《年齢/性別》約1歳/オス
《役割》アウトドアも観光も楽しむ旅犬修行中!
《サイズ》体高50cm・体⻑59cm・体重14.6kg
《チャームポイント》もしゃもしゃした耳と、チューバッカみたいな足
《特性》
人慣れ度★★☆
犬好き度★★★
食いしん坊度★★★
運動量★★☆
トレーニングしやすさ★★☆
ケアのしやすさ★★☆
最後の犬として迎えた保護犬
2代続けてラブラドール・レトリーバーと暮らしてきた大浦さん夫妻。以前から保護犬のことはずっと頭にあり、ラブラドールがいたころから飼い主募集情報を見ることはあったものの、ピンとくる子が見つかっていませんでした。
昨年10月に先代犬の「ぐるん」が亡くなり、雅子さんはペットロス状態に。
「生きている気力がわかなくて、これ以上犬がいない生活を続けるのは無理だと思いました」と雅子さんは当時を振り返ります。
自分たちの年齢を考えると、次に迎える子が最後の犬になるだろう。しかし、15年後に大型犬の介護をするのは体力的に厳しい。そして、子どものころから犬にたくさんの幸せをもらってきて、ほんの少しでも恩返しをしたい気持ちもある。そんな思いから、中型ぐらいのサイズになりそうな保護犬を探すことにしたそうです。
一方、「KIVI(キビ)」は生後1カ月半くらいの頃、沖縄県名護市にある野犬の群れのいる採石場を一人で歩いていたところ、たまたま来ていた方に保護されました。沖縄県内の一時預かりボランティアさん宅で過ごした後、琉球犬の保存と琉球犬系の犬の保護活動を行う大阪の「YCDなんくる倶楽部」へ。大阪の一時預かりボランティアさん宅でラブラドールやゴールデン、猫、子どもたちを含めた家族と1カ月半ほど生活しつつ、新しい飼い主候補が現れるのを待っていました。
雅子さんは、子どもの頃から『オズの魔法使い』のドロシーの愛犬・トトや、アメリカの映画『ベンジー』に憧れていたこと、チェコの作家カレル・チャペックの愛犬『ダーシェンカ』などのイメージがあり、何となくテリア系がいいなと思って探していたそう。そんな中で、飼い主募集掲示板で見かけたのが、子犬のKIVIの写真でした。
「やんちゃそうな顔が可愛くて、忘れられなくて。私たちの住んでいる長野県は譲渡の対象地域外だったのですが、今までラブラドールと暮らしてきたことや我が家の環境などについて熱意をもって伝えたところ、KIVIと対面できることになったんです」
保護団体のある大阪まで車で面談に行き、連れて帰ってトライアル期間を過ごした後、問題なく正式譲渡となりました。当時、KIVIは推定生後4カ月ほどでしたが、「ラブラドールの子犬のやんちゃさや体力と比べれば、全然楽でした」と、雅子さんは笑います。
社会化のため、あえて観光地へ
夫妻はアウトドアも観光もする、大の旅好き。先代の2匹それぞれと、全国あちこち観光に出かけ、夜はキャンプ場にテントで泊まるという旅スタイルを主に楽しんでいました。
雑種犬のKIVIがどれくらい旅に適しているかは未知数で、極度に怖がったり嫌がったりするようなら無理はさせないつもりでした。とはいえ、人間社会の中で暮らすことに慣れさせるトレーニングは、どんな犬にも必須。大浦さんの自宅は長野の高原にあって人に会う機会が少ないため、KIVIを迎えて2週間ほどで、社会化のためにあえて観光客などの多い軽井沢へと出かけたそう。
「地元のホームセンターでカートに乗せると最初は少し怖がっていたけど、すぐに慣れて周りをキョロキョロ観察するようになりました。その後、軽井沢でランチして、人の多いショッピングモールへ行き、抱っこで入店したりしましたが、ほえたり怖がったり興奮したりもなく。初めてのお出かけは大成功で、意外と大丈夫な子なんだなとわかりました」
とはいえ、犬のトレーニングの勉強もし直しているそう。久しぶりにしつけ教室に通ったり、YouTubeを見て参考にしたりと、KIVIに合ったトレーニングの方法を模索しています。
しつけはどこでも暮らせる犬になるため
2週間に1度はどこかに出かける大浦家。最初はKIVIが車酔いしやすかったことも、一緒に旅をするうえでは懸念点でした。静かな運転を心がけたり、ミントスプレーを吹きかけたり、一緒に後部座席に乗せたりなど、いろいろと試した結果、クレートの上部を開けた状態なら酔わないことが判明。近場に遊びに行くところから始めて、少しずつ距離をのばし、今はドライブ好きになって、片道3時間ぐらいは乗っていられます。
また、大浦さん夫妻にとって定番の旅スタイルであるキャンプも、今夏デビュー。外でもリラックスして過ごし、テント内で落ち着いて寝られたため、来年はテント泊の旅の機会も増えそうです。
水遊びは現在慣れさせ中。スイスイと上手に泳ぐことはでき、水のきれいな場所では自分から積極的に水に入っていくようになりました。
「もう少し水遊びに慣れたら、SUPやカヌーに乗せてみたいです。ラブラドールのぐるんは、一緒にSUPに乗っていても途中で飛び込んで泳いでしまって、こちらもボードから落とされることもあったけど、KIVIなら大丈夫かなって」と飼い主の雅子さん。
大浦さん夫妻がKIVIのトレーニングや社会化に熱心になるのは、一緒に旅をしたいということもあるけれど、何より、KIVIがどんな状況でも幸せに暮らせるように。雑種犬でも多少ビビりでも、人間社会の中でどこでも暮らしていけるように、今日も旅犬の修行を続けています。
(次回は12月27日公開予定です)
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