トリミングサロン後、リボンをつけてもらってキラッキラのくま(髙山奈津美さん提供)
トリミングサロン後、リボンをつけてもらってキラッキラのくま(髙山奈津美さん提供)

田畑を泥んこになって駆け回る! 家族に愛され田舎暮らしを満喫する雑種犬「くま」

目次
  1. 大きな垂れ耳が特徴的な、和犬ベースの中型雑種犬
  2. くまのぬいぐるみにそっくりの子犬がやってきた!
  3. 軽トラ大好き! 農作業についていって田畑を疾走
  4. トリミングサロン通いと甘酒でケアもバッチリ

 個性豊かな雑種犬の魅力を紹介する連載企画。今回からは、各地で生き生きと暮らす雑種犬のストーリーを中心に紹介していきます。第7回は、家族と一緒に田畑を駆け回り、月1回はトリミングサロンでプロのケアを受けるという、何ともうらやましい日々を送る「くま」を紹介します!

(末尾に写真特集があります)

DATA
《名前》くま
《年齢/性別》2歳・オス
《役割》軽トラで農作業のお供してます!
《サイズ》体高45cm・体⻑45cm・体重10kg
《チャームポイント》短いマズルと大きな垂れ耳がキュートなベビーフェイス
《特性》
人慣れ度★★☆
犬好き度★★☆
食いしん坊度★☆☆
運動量★★★
トレーニングしやすさ★★★
ケアのしやすさ★★☆

 最近は地方で野犬や野良犬が動物愛護センターに保護されて、保護団体を経て都会の家庭に引き取られたという雑種犬を多く見かけますが、今回紹介する「くま」は、家の庭で生まれて、知り合いを経由して髙山奈津美さんの家に来たという、昔ながらのパターン。

 4匹きょうだいの1匹として生まれたくまが髙山家に来ることになったのは、夫の晃浩さんが「もらい手のいない子犬がいるらしいから、引き取ってもいい?」と言い出したことから。同居する晃浩さんの両親も代々犬と暮らしていて、このところラブラドール・レトリーバー2匹を亡くし、シニアのボストン・テリア1匹だけになっていたときでした。

絵に描いたようなかわいさ!(髙山奈津美さん提供)

「男の子のほうが甘えん坊そうだから」とオスを希望したところ、車での引き渡しに連れてこられたのが、くまでした。特に大喜びしたのは、奈津美さんと、娘のりおさん。

「それまで写真も見ていなかったので、家の玄関で迎えたとき、ひと目見て『めちゃくちゃかわいい〜!』って。りおも大興奮だったのですが、『初日はストレスになったらいけないから、あんまり触らないようにね』って、触ったり遊んだりしたくてたまらないのを必死に我慢してました(笑)」と、飼い主の奈津美さんは話します。

逆S字の尻尾がなんともキュート!(髙山奈津美さん提供)

 家に迎えた生後3カ月当時、くまは体が小さくやせていて、500mlのペットボトルぐらいのサイズしかなかったそう。

「あまりのかわいさにドキドキしたのもつかの間、家に着いた直後にウンチをしたので見たら、虫だらけで……。母犬は外で出産して、くまもそのまま3カ月間外で過ごしていたようなんです。迎えた翌日、動物病院に連れて行って駆虫薬を処方してもらい、けっきょく駆除が完了するまで1カ月半ぐらいかかりました」と、奈津美さんは当時を振り返ります。

娘のりおさんに背負われ、バッグからひょっこり(髙山奈津美さん提供)

 寄生虫がおなかにいる間は体重がなかなか増えず、心配する毎日。また、寄生虫を駆除するまでは混合ワクチンが打てないため、生後3カ月ごろまでは“抱っこ散歩”のみ。くまとの散歩を楽しみにしていたりおさんにとっても、我慢の日々が続きました。

 さらに、皮膚の調子がよくないので病院に行ったところ、肉類の食物アレルギーが判明。そんなこんなで、子犬時代は病院通いの毎日だったそうです。

 家族の看病のかいあって、ようやく散歩に出られるようになったのは、生後5カ月になったころでした。くまを迎える以前からずっと犬の散歩をしたがっていたりおさんのために、子ども一人でも散歩できるようにトレーニングを頑張ったそう。

くまの世話をよくするりおさん。学校でも面倒見がいいと言われているそう(髙山奈津美さん提供)

 それと同時に、晃浩さんとそのご両親に同行しての農作業通いも始まりました。髙山さん一家は兼業農家をしていて、晃浩さんの仕事が休みの日は、軽トラックに乗って家のすぐ近くにある田畑へ農作業に出かけます。散歩も兼ねて犬たちを農作業に連れていくのは、代々の犬たちからの習慣。

「先住犬のボストン・テリアの『かい』は、荷台が嫌いで助手席にしか乗らないんですが、くまは軽トラの荷台に乗るのが大好き(笑)。子犬のころは、荷台で農作業が終わるのを待っていましたが、1歳をすぎて呼び戻しができるようになってからは、ノーリードで田んぼやぶどう畑を走り回っています。『中に入って』と言えば、戻ってきて自分から荷台に飛び乗っています」

軽トラに乗ってうれしそうなくま(髙山奈津美さん提供)

 自宅周辺にはドッグランがないため、田畑が犬や子どもたちの格好の遊び場になっているそう。のびのびとした、自由な暮らしを送っています。

 いかにも田舎の雑種犬といったワイルドなくまの生活ですが、実は月1回トリミングサロンでプロのケアを受けているという、お坊ちゃんな一面もあります。

「愛犬をトリミングサロンでケアしてもらうのは、私の憧れで(笑)。皮膚が弱いので、病院で『こまめにシャンプーしてあげてくださいね』と言われていることもあって、月に1回サロンにお願いしています。シャンプーやドライヤーは苦手なのですが、前後にいっぱい遊んでもらえるので、喜んで通ってます。終わった後は、すべすべつるつるで帰ってきます(笑)」

トリミングサロンでは、シャンプーだけでなくハーブパックも!(髙山奈津美さん提供)

 せっかくサロンできれいになって帰ってきても、特に雨上がりに農作業についていくとすぐドロドロになってしまうので、「サロンに行った直後はやめて~!」と晃浩さんに伝えているのだとか。

 また、くまにとってもう一つのスペシャルケアが、甘酒。肉類のアレルギーがあるくまには、ジャーキーや牛皮ガムなどのオヤツをあげられないため、特別なごほうびになるものを探していたという奈津美さん。そんなときに、インスタグラムで冷凍キューブのペット用甘酒を見つけたそう。

「くまはもともと食べ物にあまり興味がなくて、好き嫌いも多いし、食べるのもゆっくり。でも、『甘酒』と聞くと興奮して、甘酒の入っている冷凍庫を開けると喜んで飛んできます。甘酒をあげるようになって、臭くないバナナ型の健康的なウンチになったし、毛づやもよくなりました」

生麹と岡山県産の米、天然水のみを使って発酵させたペット用甘酒。夏の冷たいオヤツにも!(髙山奈津美さん提供)

 今は、シャンプー後のごほうびや、長い散歩の後のケアに、週1回程度甘酒を与えています。夏は冷凍キューブのまま、冬はお湯で溶かしてあげることもあるそう。

 晴れた日は奈津美さんの義祖母にあたるおばあちゃんと外でひなたぼっこ、家族が休みの日にはのどかな田畑を駆け回り、月1回のトリミングサロンと週1回の甘酒のスペシャルケア。家族みんなに愛されて、最高の田舎暮らしを満喫している、くまでした。

(次回は7月28日公開予定です)

【前の回】【雑種犬図鑑.6】民家の軒下で生まれた「ペロ」 飼い主と犬音楽カルチャーを創出!

山賀沙耶
フリーランス編集ライター。北海道大学文学部卒業後、編集プロダクション、出版社勤務を経て、独立。現在は雑誌や書籍、ウェブメディアを中心に、犬やアウトドアなど幅広い分野で活動中。犬メディアとのかかわりは、約20年前の編集プロダクション時代から。プライベートでは、2頭の雑種犬と外遊びを楽しむのが至福の時。

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この連載について
雑種犬図鑑
見た目も性格も個性豊かな雑種犬の魅力を、犬種図鑑のパロディで紹介。毎回1匹の雑種犬にフォーカスし、チャームポイントから生い立ち、暮らしのエピソードまで情報や魅力をふんだんに伝えていきます。
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