【雑種犬図鑑.6】民家の軒下で生まれた「ペロ」 飼い主と犬音楽カルチャーを創出!
個性豊かな雑種犬の魅力を犬種図鑑のパロディで紹介する連載企画。第6回は、和犬ミックスらしい体形に、ハチワレ柄の顔が特徴的な「ペロ」。大好きな近所の犬や飼い主たちに助けられながら、散歩やドライブ、音楽イベントのホスト犬と活動の幅を広げています。
【基礎データ】ホワイト&ブラウンの中型犬
- DATA
- 《名前》ペロ
《年齢/性別》9カ月・メス
《役割》音楽イベントホスト犬
《サイズ》体高40cm・体⻑45cm・体重12kg
《特性》
頭のよさ★★★
哀愁度★★☆
クリエイティビティ★★★
【チャームポイント】茶色のブチとよく動く立ち耳
子犬のころは耳が垂れていたため、「父犬はジャック・ラッセル・テリアでは?」と言われたこともあるというペロ。母犬は白く長い被毛のため、日本スピッツの血が入っている可能性もありそうです。
茶色のブチ柄
顔はハチワレ、背中には点々とブチ模様があります。「ペロは野良犬の子として生まれて保護犬になったけれど、誰かいい人が見つけてくれるようにと、神様が筆でチョンチョンと彩色したのかなと想像しています」と、飼い主の団野さん。
よく動く立ち耳
前向きにピンと立ったり、横向きになったり、後ろに寝たりと、表情豊かな立ち耳もチャームポイント。「僕は立ち耳がすごく好きで。ペロは子犬のときは耳が垂れていたんですが、『成犬になったら立つよ』と言われて、毎日『早く立って』と思っていました」と団野さん。
寝姿はS字形
寝るときはなぜか、足と頭の向きを逆にして、体をひねって寝ていることも。S字のようなその寝相も特徴的です。
【性格】微妙に“塩対応”の猫気質
基本的に犬や人は好きですが、超フレンドリーというわけではなく、知らない人に対しては警戒することもあります。飼い主に対しても常にベッタリではないけれど、自分のタイミングで足の上に座ってきたりとくっついてくることも。「母犬は完全に塩対応なんですが、ペロは微妙に塩対応で、まるで猫みたい。そんなところもかわいい」。
知育オモチャをすぐマスター!
ペロは頭がよく、中に食べ物を詰める知育オモチャをあっという間に攻略します。4段階のレベル分けがされているニーナ・オットソンの知育オモチャでは、レベル3でも1時間ほどでマスター!今は最高難度のレベル4で遊んでいるそうです。
ナイーブな一面も
遊ぶことが大好きなペロですが、ナイーブで臆病な一面もあります。自転車や子ども、台車などが苦手で、一時期は散歩に行きたがらなくなったことも。また、人の顔をよく見ていて、飼い主が調子悪そうにしている、ケンカしているといったことにも敏感です。
特技は段ボールでの創作活動!?
段ボール大好き!捨てるために置いてあった段ボールを見つけると、ぐちゃぐちゃに破壊します。「怒るのも嫌なので、『ぺったんの創作活動』と呼んで、完成するまでそのままにしています(笑)」と団野さん。
そんなクリエイティブな一面もあるペロは、ラッキーなことに生まれたばかりのときに保護されて、団野家にやってきました。
【生い立ち】母犬ときょうだいとともに保護され、保護犬カフェで成長
野良犬だったペロの母犬「ペルル」は民家の軒下で出産。ペロは生まれたばかりのところを、ペルルと3匹のきょうだい犬とともに、動物愛護センターに保護されました。その後、保護団体から引き出され、親子そろって一時預かりボランティアである『犬猫食堂 紫陽花』へ。
もともと団野さんは雑種犬好きで、先代犬の「みみ」も元保護犬。2022年春、みみがガンになり、2カ月ほどの壮絶な闘病生活の末に、団野さんの腕の中で亡くなりました。
「すごくショックで、もう当分、いや、もしかしたら二度と犬を迎えられないのではないかと思っていたんです。ところが、ネットでつい飼い主募集中の保護犬を検索してしまっているうちに、紫陽花のインスタグラムでペルルと4匹の子犬たちの写真を見つけて。その日のうちに会いに行きました」。
新しい犬を迎えるつもりはなかったものの、実際に会ってみると「やっぱり迎えたいな」という気持ちになった団野さん。4匹の子犬のうち3匹はぐいぐい寄ってきたけれど、少し離れて様子見をしていた子犬のことが気になって、保護団体に申し込みをしました。
「その後、紫陽花で面談をしたとき、その子犬を抱き上げると顔をペロッとなめてきて。そこからペロと名付けました。自分の趣味とかではなくて、犬から発することで名前を付けたいと思っていたんです」
そうしてペロは、約1カ月のトライアル期間を経て、正式に団野さんの家族になりました。
【暮らし】飼い主と一緒に犬音楽カルチャーを切り開く!
一時期、ビビリのペロは散歩に行くのを嫌がり、ハーネスを着けたり玄関から出たりするのを拒否していました。それでも車は大好きだったため、毎朝車に乗せて5~6分移動し、散歩して帰っていたことも。
そんなペロの散歩嫌いが徐々に改善されていったのは、母犬ペルルや近所の犬と飼い主さんたち、トレーナーさんが心配して、毎朝のように迎えにきてくれたからでした。大好きな犬や人が迎えに来ると、喜んで飛び出していったといいます。
「みみと暮らしていたころは、犬友達っていなかったんですよ。それが、ペロとの暮らしの中でいい出会いがあって、たくさんお世話になって。ペロを迎えていちばんよかったことは、素敵な犬コミュニティに出会えたことかもしれません」
音楽プロデューサーである団野さんは、ペロをきっかけにした犬コミュニティとの出会いから、犬と入れるカフェ『REBIRTHDAY』でイベントを企画。ネットで調べた犬が好きな音楽をレコードやCDで用意し、犬のための音楽イベント「Music for Dogs」を開催しました。
「ジャズや環境音楽などだけでなく、『ミアちゃーん』って呼ぶ飼い主さんの声の録音や、鳥のさえずり、自然音なども交えて流しました。それぞれ反応する音が違っていたし、吠える子もいれば無反応の子もいて、面白かったですね」
今後の夢は、ペロと一緒にもっといろいろなところに散歩に出かけたり、山歩きに行ったりといったことに加えて、ペロをホスト犬とした音楽フェスを開催したいと話す団野さん。犬が主役で飼い主同伴の、犬が喜ぶフェスを開催して、何百匹もの犬を呼んでみたいと考えているそうです。
「ペロも、最初は僕がピアノを弾くのが好きじゃなかったんですが、今では足元で寝ているようになって。この曲をかけると必ず寝るとか、犬にとって心地いい音楽ってあると思うんですよね。音楽を聞いてリラックスして寝ている犬を見て、飼い主も癒やされるっていう、そんなイベントができたらいいなと思っています」
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