「亡くなっても心の中に愛犬がいる」 だから自分も前を向いて生きていく
いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。
2019年3月にミニチュアシュナウザ―のハッピーくん(享年14歳)をお見送りした飼い主の睦深さん。家族の一員だったという大切なハッピーくんを亡くし、一時期は体調を崩されたそうです。そんな睦深さんに、ハッピーくんが亡くなった経緯や、現在の思いをお聞きしました。
免疫系の病気を発症、14歳で亡くなった愛犬
――ハッピーくんはなぜ亡くなったのでしょうか?
免疫介在性溶血性貧血(めんえきかいざいせいようけつせいひんけつ)という、免疫上の理由で自身の赤血球を破壊してしまう病気で亡くなりました。
――病気は何歳くらいに発症したのですか?
8歳ごろ、狂犬病のワクチンを受けて少ししてから発症しました。因果関係はわかりませんが、ワクチン接種後に元気がなくなり、表情がさえなくなって、食欲が低下したので病院へ連れて行ったところ、免疫介在性溶血性貧血だと言われました。その後、薬を飲んで、しばらくは普通に元気に過ごしていました。
――亡くなるまでお元気だったのですね。
亡くなる半年前の2018年7月にてんかんを起こして、そこから少しずつ元気がなくなっていきました。亡くなる10日前にもてんかんを起こしました。それまでは薬でコントロールできていたのですが、老齢化による身体機能の低下やてんかんの薬、いろいろな原因があって、14歳で亡くなったのだと思います。セカンドオピニオン、サードオピニオンをとらなかったことや、他にも何かしてあげられることがあったのでは、と今も後悔が残ります。
亡くなって3カ月間は落ち込み、体調不良に…
――ハッピーくんが亡くなった時、どのような気持ちでしたか?
亡くなって3カ月くらいは、普通に生活をしていたけれど何もやる気が出ずにいました。ペットロスなような感じでしょうか。体調不良になりました。
――ハッピーくんはどのような子でしたか?
人見知りで、家族が大好きで、家族の誰かが病気になったり落ち込んだりすると、寄り添ってくれる優しい子で、まさに家族の一員でした。
過去にヨークシャーテリアを飼っていたのですが、当時は家族みんなが忙しく、留守番をさせがちでした。そのことを申し訳ないと思っていたので、次にペットを飼うときは、「留守番をさせない」ということが第一条件でした。
ハッピーは、朝晩の散歩はもちろんのこと、旅行も一緒、さみしい思いをさせないという思いで14年一緒にいました。てんかんを起こしたあとは、少しの外出であってもペットシッターさんに頼んだり、できるだけのことをしてきたつもりです。精いっぱい一緒に過ごしてきました。
前を向いて歩んでいくことがハッピーの供養
――陸深さんにとって、「ペットの死に向きあう」とはどういうことでしょう?
存在はしていないけれど、心の中にいるハッピーと一緒に歩んでいく、明るい未来を開いていくことが、私にとって「死に向き合う」ということです。
亡くなって3カ月くらい経って、「私も家族もハッピーがいた時と同じように元気に過ごすことで、ハッピーも喜ぶのではないのかな」と思うようになりました。そして、新たな仕事と動物保護施設への寄付や、ボランティアなども始めました。
――気持ちを切り替えて前に歩みだしたのですね?
私たち家族にとってハッピーの死は、大切なものの死という意味で人の死と同様です。家族の一員が亡くなったという喪失感や悲しみなども。朝起きても隣にいない、お散歩へ行こうと思ってもそこにはハッピーはいない……。それは今まで味わったことのない絶望感でした。
でもそこにちゃんと向き合いながら、次のステップに進みました。ハッピーのことを周りの人に話したり、家族で話したり、または別の何かをしたりすることで、”これから”を歩んで来ました。
ハッピーを亡くしたのはつらいことでしたけれど、いい経験をさせてもらえました。たくさんのいい思い出を糧に明るく元気に過ごしている私の姿を、ハッピーは上から見て喜んでくれるだろうと思います。
今もハッピーは家族みんなの心の中に生きています。一緒に14年間過ごせたことは、私たち家族にとって何事にも代えがたいことでした。ハッピーに笑われないような生活を、これからもしていかなければと思っています。
取材の間、睦深さんは何回も「ハッピーは心の中にいる」とお話ししてくださいました。ハッピーくんは、睦深さん宅で14年間、家族の一員として大切に愛され、本当に幸せに過ごしてきたのだろうなと感じました。ハッピーくんのご冥福を心よりお祈りしております。
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