3歳の愛猫が原因不明の死 「その子にとってのベスト」を考えてあげることが大切
いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。
2022年12月30日、わずか3歳という若さで虹の橋を渡った猫のあずきくん。亡くなった経緯やみとってからの後悔、今のお気持ちなどを飼い主の紗紀さんにお伺いしました。
気づいたら体重が減っていた
――紗紀さんがあずきくんを飼うことになったきっかけは?
市の動物愛護センターが保護した子猫を譲り受けました。生後3カ月の時です。
――あずきくんはどのような性格の子でしたか?
やさしい子で、悪いこともしないし、全然鳴かずわがままも言わない、本当にいい子でした。
――あずきくんはいつ、何歳で亡くなったのでしょうか?
2022年12月30日、3歳で旅立ちました……。
――なぜ亡くなったのでしょうか?
それが、結局原因がわからないまま亡くなったんです。亡くなる2カ月くらい前に、「食欲旺盛なあずきが最近ご飯をあまり食べてないね」と夫と話し、体重を量ったところ3,7キロくらいまで体重が減っていました。それまで毎月体重を量っていて、4キロ以上あった子が、突然そんなに体重が減るのはおかしいと動物病院へ連れて行ったんです。
――何か病気が発覚したのでしょうか?
いいえ。でも「すぐに点滴しましょう」ということになり、その日は静脈点滴をしました。病院からは毎日点滴に来てほしいと言われたのですが、あずきは病院をとても嫌がり点滴中にも家に帰りたくてキャリーバッグに入ろうとするので、週2回だけ病院へ行くことにして点滴をしていました。
その間に血液検査、エコーなどもしたのですが、あずきの不調の原因がわからず、高度医療の病院を紹介されました。そちらではCTを撮ってもらったのですが、原因はわからずじまいでした。クレアチニンの値が悪かったのですが、まだ3歳でしたし、病院からは腎臓病とも言われず、対処方法として点滴の継続ということになりました。
――その後、食事はとれるようになりましたか?
亡くなるまでの2カ月間は、大好きだったちゅーるすらも食べられなくなり、強制給餌(きゅうじ)をしていました。自宅ではベッドの下などでずっと寝ていて、どんどん弱っていく姿を見ていることしかできませんでした。日々体力がなくなっていき、トイレも間に合わなくなり、歩くのも大変そうでした。
夫婦に見守られ静かに旅立った
――亡くなったときのことを教えていただけますか?
12月30日から夫婦ともにお正月休みに入ったので、朝からあずきを病院に連れて行ったのですが、聴診器をあてた先生が「危篤状態です」と……。点滴をしていくか聞かれたのですが、断りました。1,5時間かかる静脈点滴の間になくなる可能性もあると言われ、嫌いな病院で逝かせたくなかったので、すぐに家に連れて帰りました。
――自宅でみとられたのですね?
ベッドに寝かせて、夫婦でずっとなでながら見守っていました。静かに横たわっているあずきを見ながら「この状態が続いてほしい」と思いましたが、夕方ごろに目をパッと開いて、亡くなったのがわかりました。呼吸は乱れず、静かに。私たち夫婦の休みを待って、タイミングを見計らって逝ったように思いました。
――あずきくんが亡くなって、どのようなお気持ちでしたか?
まだ3歳という若さだったので、絶対に回復すると信じていました。それが裏目に出てしまったのかもしれません。また、嫌がる病院に連れて行き、長い時間点滴をさせていたことも後悔しています。苦しませてしまったなと……。
――紗紀さんにとって「ペットの死に向き合う」とはどういうことだと思いますか?
ペットのみとりは初めてで、いろいろ経験できていい勉強をさせてもらいました。動物は人間の言葉を発しませんので、どうしたらいいのかは人間が決めなければいけないと思うのですが、「その子にとってのベストなこと」をしてあげることが大切だと学びました。
毎日一緒に暮らしているペットの性格は、飼い主がよくわかっていると思うので、人間の思いだけでなく、その子の思いを大切にするということ。今、うちには3匹の猫がいるので、その子たちのためにこの経験をいかしたいです。
そして、もしあの10月に戻れるなら、あずきの点滴は2、3回でやめ、嫌がることはしないで、あずきの思いを大切にする選択をすると思います。
<取材を終えて>
死は誰にとっても避けられないものです。ペットの死に向き合う時、飼い主として何を優先するのか、同じペットオーナーとして筆者も考えさせられる取材となりました。
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