猫と上手に遊んで仲良しになろう!(getty images)
猫と上手に遊んで仲良しになろう!(getty images)

ビビりな猫とも仲良くなれる さまざまな「遊び」を取り入れ猫との距離を縮めよう

 猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は、読者から寄せられた「猫との遊び」についての相談に、入交先生が答えます。

すぐに飽きてしまうのは遊び方が悪いから?

 今回、猫との遊び方について、ご質問をいただきました。

Q.興味を持つオモチャがとても限られています。また、最近は遊んで居てもすぐに飽きてしまいます。遊び方が悪いのでしょうか(ゆみねえさん)

Q.わが家の猫は怖がりで人が苦手です。来客時も姿を消して、帰宅後もしばらく出てきません。先日、家を2日留守にしなければならない時があり、その間、猫を飼っている友人にお世話をお願いしました。友達からか送られてきた動画には、猫じゃらしで瞳をらんらんとさせて遊ぶ愛猫の姿が!遊ぶコツがあるのでしょうか。(らんままさん)

猫じゃらしと猫
すぐに飽きてしまうのはなぜ?(getty images)

 多くの猫は、釣り竿のような形で、先に飾りのようなものが付いたようなオモチャが好きです。そうした猫じゃらしのような形のオモチャを動かしもらうのも好きです。

 とはいえ、猫によっては小さいボールを追いかけるのが好きな子もいますし、オモチャで遊ぶのではなく、人と一緒にいてトレーニングをしたり、隠したおやつを探すような遊びを好む子もいます。

 猫とうまく遊ぶ上で“この方法が大正解”というものはなく、また猫によっても好き嫌いがあるのでたくさん遊ばせるのがなかなか難しい時があります。

オモチャや遊び方を毎回変える

 オモチャを使った遊び、オモチャを追いかけさせる遊びは定番ですが、猫が飽きてしまった場合は、「いつも同じオモチャを使っていないか」を見ていただきます。同じオモチャをずっと部屋に置いておき、それを投げたり揺らしたりするだけでは、猫も飽きてしまうためです。

 複数のオモチャをお持ちであれば、3個残して他は隠しておき、毎日オモチャを3個ずつローテーションさせて、常に目新しいオモチャがあるようにすると、猫のノリが違ってくると思います。

かくれんぼや追いかけっこなど、猫との遊びはいろいろ。その子の好みを探っていこう(getty images)

 また、人がおやつを用いてトレーニングする(芸を教える)ことも猫にとって好きな遊びになりますし、知育トイにフードを隠して探させるような遊びも好きな子は多いです。「宝探しゲーム」と称しておやつを隠して探させたり、「かくれんぼゲーム」は猫の視界から隠れて猫を呼び、見つけたらおやつをあげるゲームになります。若い猫は人との追いかけっこも好きです。

 遊び方はいろいろあります。また自動で動くオモチャもありますし、猫の体重がかかると何か飛び出してくるようなオモチャもあります。その子の好きそうなオモチャやゲームをいろいろ試してみると好みがわかっていきます。

日々の遊びをルーチンにする

 夕食の後は必ず遊んであげるなどルーチンがあると、「遊びの時間だ」と猫が理解してくれます。あるいは大好きなオモチャで誘ったり、大好きなおやつで誘ってあげてください。

 高価なオモチャもよいのですが、新聞紙をちぎってボールにして投げたり、コンビニでもらえるようなカサカサ音のするビニール袋を丸めて投げたり、ペットボトルのふたを投げたりするだけでも遊びに乗ってくれることもあります。

グレーの猫
遊びを毎日のルーチンに(getty images)

 注意点としては、猫と遊ぼうとして無理に急に追いかけて鬼ごっこをさせるなど、遊びを無理強いさせないようにしてください。休みたいのに無理に遊ばせようとしても難しいと思います。楽しそうな遊びに誘って様子を見てあげてください。

 普段と違って遊びに乗るはずなのに乗らない場合、体調を崩している場合があります。よく観察し、必要に応じて動物病院に連絡するようにしましょう。特に高齢の猫は関節炎を持っている個体も多く、痛みを抱えている可能性もあります。

 決して無理強いせず、おやつやフードを遊びのきっかけとして用いるのがおすすめです。猫は犬よりも集中して遊ぶ時間が短いように感じます。すぐに飽きてしまってもガッカリせず、少し休んでからまた誘ってあげてください。

人が苦手な猫でも、遊びを通して仲良くなれる

 人が苦手な猫でも、一緒に遊ぶことでその子と仲良くなれるということは、大いにあると思います。

 意味もなく近づいてくる人間はおそらく怖いと思うのですが、「遊びという目的があって近づいてくる」、「一緒に遊ぶのであって無理に抱かれたりするわけではない」と理解すると、猫も混乱しないで済みます。人とのかかわりは遊びであり、怖いと思ったり、何だろうと思うことがなくなり、結果的に仲良しになっていけるのです。

 ぜひ、抱っこできない猫も、触ると怒ってくる猫も、一緒に遊んで、仲良くなるきっかけを作ってみてください。

(次回は7月10日公開予定です)
【前の回】猫が異物を食べてしまうのは胃腸疾患や常同障害の疑いも 動物病院で検査を

入交 眞巳
獣医師。東京農工大学 特任准教授。どうぶつの総合病院・行動診療科主任。旧日本獣医畜産大学卒業後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。

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この連載について
ねことの暮らし相談室
 獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が、どうやって猫と幸せに暮らすかのヒントとともに、猫たちの困った行動への疑問に答えていきます。
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