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猫が異物を食べてしまうのは胃腸疾患や常同障害の疑いも 動物病院で検査を

 猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は、読者から寄せられた「猫が異物を食べてしまう」という相談に、入交先生が答えます。

読者からの相談「愛猫が異物を食べてしまう」

「以前嘔吐が続き、病院へ連れて行くとレントゲンで腸に異物が映り、開腹手術となりました。出てきたのは、ヘアゴムです。しかも2つ。以前からひもが好きで気を付けていたのですが、それ以降もひも好きは変わらず心配です。癖になってしまうとやめさせるのは難しいと聞きますが、何か方法はないでしょうか」(こみさん)

「誤食をするのですが、どうすればやめてくれますか」(みりんさん)

「ひもや布、衣服等を食べてしまうことがあり、困っています」(ねねまろさん)

なぜ猫は誤飲をしてしまうのか

 猫によっては楽しそうなおもちゃがあって、遊んでいるうちに興奮して誤って飲んでしまう、ということもあるかもしれません。でもそのような事故は、しょっちゅう起こるものではないように思います。ご質問者の3名の方の場合は、以下に記載するように、病気である可能性を疑った方がいいかもしれません。

胃腸疾患の疑い

 胃腸疾患があって、なんとなく気持ち悪い、胃腸の調子が悪くて、変なものを食べているという可能性もあります。まずは動物病院で血液検査や、必要に応じて他の検査を含むしっかりした「健康診断」はやっていただく方がいいでしょう。

猫じゃらし
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 さらに食事の内容によっては栄養成分の不足などで異食(変なものを食べる)をすることもあるので、動物病院には普段何を食べさせているかお話ししてください。例えば生食をさせている猫さんは、生魚にチアミナーゼという酵素が含まれていて、チアミン欠乏の問題を引き起こす場合もあります。

常同障害の疑い

 さらに、食事や胃腸障害以外では多くの誤食をする猫さんの場合は、その飲んでしまう物質に対して執着をしていたり、「常同障害」という人の「強迫性障害」に似た病気の症状として、「ロックオン」するかのようにその物質に集中して、むしゃむしゃ食べてしまうことが多いと思います。

猫と毛糸
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 人の強迫性障害という病気ですが、例えば「手を洗わなくてはばい菌で大変なことになる」という強迫観念があり、この強迫観念を消すために手を洗い続けるという繰り返し行動が出てしまう。

 動物の場合は、強迫観念があるのかどうかはわかっていないですが、何らかの葛藤やストレス、興奮させるような状況になると強く決まった行動が発現されて止まらなくなります。「ひも」の存在が刺激になって、「食べねばならぬ」という気持ちになり、食べる行為をやめられない形です。

アクセスできない環境作り

 もし病気が見つかったら、まずはそれの治療ですが、常同障害の可能性が高い場合、「癖」ではなく「病気」と考えていただいた方がいいかと思います。

遊ぶ猫
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 気になる「ひも」「タオル」「布」などその子によって執着を見せる素材は違うかもしれませんが、気になって気になって仕方がなくなって、食べてしまう状態ですので、食べてしまうものにアクセスできないようにするのが先決です。

 癖ではないため「しつけ」で止められるものではなく、常同障害の場合はおそらく脳の機能障害があると考えていただいた方がいいかもしれません。

心因性の場合は専門の獣医師に相談を

 その子が気にする、食べてしまうものは、まず猫のいる環境に置いておかないようにすることが大切です。そして、まずはきちんと動物病院に相談して、専門家のご意見を聞くようにしてください。

 心因性の原因が疑われた場合は、日本獣医動物行動学研究会という、動物の精神科、心療内科を得意として勉強している獣医師がいます。ホームドクターの方に近隣の先生をご紹介いただいてもいいかもしれないです。

誤飲を防ぐためには

 食べてしまいそうなものは出しっぱなしにしておかず、見ていられるときは猫を監視していることが重要です。もし目を離すようであれば、ケージに入れておくなど工夫するといいでしょう。

 もし常同障害であれば、治療には、薬物療法と行動療法という2種類のアプローチをしていくことになります。行動修正の中で、「知育トイ」を用いてストレスにならないように、また叱らずに気持ちを切り替える方法などを学んでいただけるといいと思います。

(次回は6月12日公開予定です)

【前の回】猫が成長と共になつかなくなってしまった 考えられる理由と仲良くなるための秘訣

入交 眞巳
獣医師。どうぶつの総合病院・行動診療科主任。旧日本獣医畜産大学卒業後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。

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この連載について
ねことの暮らし相談室
 獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が、どうやって猫と幸せに暮らすかのヒントとともに、猫たちの困った行動への疑問に答えていきます。
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