野犬2匹の預かりボランティア、同じ環境下でも真逆の性格に 子犬期の社会化は大切
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。第20回は「子犬期の社会化の大切さを」をお伝えしていきます。
家では震え、外ではほえまくる
預かり犬として生後2カ月で我が家に来た元野犬の「ドー」と「シャー」はすくすく育っていきました。2匹とも人が大好きで、抱っこするとぐにゃぐにゃになるような子犬だったのですが、ある時から変わってきました。
よく観察してみると、ドーがシャーを怖がるようになっていたのです。ケージに入れるといつものようにじゃれ合いがはじまるのですが、シャーがドーの首あたりにかみついてブルブルと顔を振るのです。遊びかと思っていたらドーは「キャーン」と鳴くので痛かったのでしょう。
体のサイズも差が出てきて、明らかにシャーの方が大きく強くなってきました。シャーは遊びたくても、ドーには強すぎるのです。ケージをすぐに購入して1匹ずつ入れることにしました。
ケージから出すと、シャーが激しくじゃれてくるので、ドーは怖くなってケージにいる方が好きになってしまったのです。
そして散歩に行けるようになったドーは、たとえ遠くにいたとしても犬を見つけると怖がってワンワンとほえるように。犬仲間には臆病で有名な犬になってしまいました。
「姉妹2匹だから」という悩み
友人たちは大きくなった2匹を見たいと来てくれましたが、ぐにゃぐにゃの人懐っこいシャーに対して、呼んでも来ない、無理やり連れ出されて迷惑そうでシャイなドーという、姉妹になってしまいました。
ドーは食も細いのでトリーツでのトレーニングも難しく、姉妹とはいえ「2匹」という難しさもあるなあと悩みました。
ところが外に出ると、ドーは心細そうにシャーの後をくっついて歩くのです。そうなると2匹一緒に譲渡した方がいいのか、1匹ずつ譲渡した方がいいのかも悩んだことのひとつでした。
子犬だしすぐに譲渡されると思っていたのですが、この時、半年が過ぎてしまいました。
子犬期の社会化の大切さを実感
子犬を飼い始めたときにいちばん大切なことは、ワクチン接種前に抱っこして犬や人、環境に慣れさせる「社会化」です。
私はそれを、自宅には人が大勢出入りするし、他の犬もいるし……という理由で、ワクチン接種後からお散歩を始めてしまいました。
後から人に聞いたところ、メス同士はライバルなのでどちらかがイジメられてしまうというのです。聞くのが遅すぎました。
メス同士の方が落ち着いていて飼いやすそうだと思い、ドーとシャーを連れて帰ったことも、ワクチン前の抱っこ散歩はにぎやかな家だからしなくても大丈夫だろうという勝手な思い込みも、両方が裏目に出てしまったのです。
慎重に育てたつもりでしたが、「ごめんね。子犬期の社会化が足りなかった……」と毎日、反省していました。
次回は、とうとう譲渡!?預かりボランティアの複雑な気持ち、についてお伝えしたいと思います。
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