生後2カ月の野犬の預かりボランティア 3時間ごとのご飯に夜鳴きは楽じゃなかった
インテリアデザイナーとして活動する傍ら、保護犬の預かりボランティアをする小林マナさん。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。第18回では、子犬の野犬の預かりがスタートしたお話をお伝えしていきます。
新しい預かり犬が来た!
うえしたくんが亡くなると、動物愛護団体ミグノンの友森さんから、「熊本県の野犬の子犬を預からないか」と打診がありました。「もう、離乳しているので楽ですよ!」と。
楽ならばと、ふたつ返事で快諾。するとさらに「兄弟で持っていくといいですよ。楽なんで!」と言われ、3日後から2匹の野犬の子犬を預かることになったのです。
当時ミグノンに来た4匹の子犬たちには、「カン」「ボー」「ドー」「シャー」という名前がついていたのですが、熊本にはまだ残りの4匹の兄弟がいて、総勢8匹は中華料理の名前からつけられたのだそうです。「マー」「ボー」「ドー」「フー」(麻婆豆腐)と、「カン」「シャオ」「シャー」「レン」(エビチリ)の中華兄弟。熊本は野犬が多く、つける名前がなくなってそんなグループ名になったのだと思います。
うちに来たのは「ドー」と「シャー」。女の子2匹でした。体が小さくて、やんちゃもほどほどかなと高を括っていました。
老犬ばかり3匹も預かってきて、子犬は初めての預かり体験。かつて私が高校生の頃に友人からもらって以来です。離乳したばかりの2カ月のよちよちの子犬たちの可愛さに、私はすっかり浮かれていました。うちにいる預かり中の老犬チョコに、急に孫ができたような感覚です。
子犬を飼うということ
うえしたくんへの悲しみは、ドーとシャーがあっという間に癒やしてくれました。というか、忙しすぎて大変なことになってしまったのです。
子犬というのは、生後2カ月のときは3時間ごと、生後3カ月では4時間ごとにご飯をあげないといけなかったのです。「えーーー!?こんなの楽じゃないじゃん!」。
もちろんトイレトレーニングができているわけがないし、それもイチからのスタートでした。ワクチンもまだだったので2匹はしばらくチョコと接触しないように暮らし始めました。
ドーとシャーは夜中にキューキュー鳴いたりしていましたが、我が家の老猫「ギル」が神経質なため、自宅になっている2階には犬を連れて行けなかったので、これもまた大変でした。
とはいえ、可愛いからどんなに困ったことになっても頑張るしかないのですよね。そして、事務所兼自宅の我が家は、24時間体制で子犬を見られるので、預かり宅としてピッタリだったのだと思います。スタッフたちもドーとシャーを可愛がって、面倒をみてくれました。これが子犬を飼うということなんだとあらためて思いました。
震災と保護犬
2016年の熊本地震以来、熊本の動物保護施設の人手が足りなくなると、ミグノンに保護犬や保護猫が移送されていました。野犬の母親犬は人馴れしないため殺処分されることが多いそうですが、子犬だけでも助けたいと他県の団体が連携して保護しているそうです。
私が預かりボランティアをしようと決めたのも、東日本大震災がきっかけでした。当時はまだペットの同行避難が一般化されておらず、取り残された動物たちに何かできないかと思い、ボランティアをスタートしました。
熊本で起こった大きな地震でも動物たちの問題はまだまだ改善されてはいませんでした。それと共に、野犬の問題もあって、ミグノンに熊本出身の動物たちが来ることになっていたのです。
野犬の子犬は、成犬になったときの大きさがわからないため、引き取り手が少ないのです。実際にうちにきたドーとシャーもどのくらいの大きさになるかわかりませんでしたが、手足が大きかったので、10キロは超えるだろうと言われていました。
ミグノンの保護犬のなかでも飼いやすい小型犬が人気で、小型犬の預かりボランティアさんたちは、どんどん預かり、どんどん譲渡を繰り返していました。
私はといえば、老犬専門となっていたのでタケが7カ月、ココが1年半、チョコは2年を更新中という感じで、1匹ずつがとても長くなっていました。でも子犬たちはこんなに可愛いのだから、きっとすぐもらわれるとだろうと思い込んでいました。が、まさかの半年過ぎても譲渡先が決まらなかったのです。
次回は「野犬と買ってきた犬はどう違うの?」という話をしたいと思います。
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。