添い寝に夜ばい?恋する老犬たち しかし別れはすぐにやってきてしまった
インテリアデザイナーとして活動する傍ら、保護犬の預かりボランティアをする小林マナさん。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。第17回では「預かり犬のチョコの恋とうえしたくんとの別れ」のお話をお伝えしていきます。
チョコとうえしたくんの密会
年末から預かり始めた保護犬のうえしたくん。お正月期間が過ぎてもうちにいることになりました。
どんな犬でも私にだけは反応があることが多いのですが、うえしたくんだけは違いました。尻尾を振ることがなく、馬のように事務所を歩き回っていました。人にも、ご飯にも、散歩にも反応を示さず、何の前触れなくおしっこをするという犬でした。
3匹目の預かり犬であるチョコは、うえしたくんを慕っていて、いつもうえしたくんが寝ているところで添い寝をしていました。2匹とも夜だけ徘徊(はいかい)するので、危なくないように別々のケージに入れていました。
ある日の夜。犬たちをケージに入れ忘れてしまい事務所へ急ぐと、ちょうどうえしたくんがチョコのケージに入って行くところでした。
え!? 一緒に寝ようとしているの?
スクープでした。
パチリと写真を撮りましたが、光の感じも密会場面を見てしまったようでした。人懐っこくて、犬懐っこいチョコは、うえしたくんと一緒にいるのが楽しかったのでしょう。
あっという間にお空へ行ってしまったうえしたくん
重い腎臓病だったうえしたくんは、日に日に食べなくなっていき、私はそれと比例するようにおいしそうなフードを買いあさっては与えていました。
人間だったら人工透析をすればいいのかもしれませんが、犬で、しかも余生の短い老犬にそこまでのことはできません。最後の瞬間までおいしいものを食べさせて、最期を見届けることが使命なのだと言い聞かせて世話をしました。
一口目はガツっといってくれるのですが、二口目はプイッとそっぽを向いて歩き出すうえしたくん……。毎日違うものを出したり、少し時間を空けてあげたり、それはそれは手がかかるようになっていきました。
みるみる衰弱していき、うちに来てから2カ月と半分を少し超えた頃に、とうとう入院となってしまいました。
クリニックから「今夜が峠かもしれない」と呼ばれてお見舞いへ行くと、あんなに無反応だったうえしたくんが、ひーんひーんと鳴き反応してくれたのです。
「うえしたくん!マナだよ!!!わかるの???来たよ!!!」と言うと、またひーんひーんと鳴いてくれたのです。
反応がなくても毎日大きな声で「うえしたくん!散歩行くよ!!!」「うえしたくん!ご飯だよ!!!」っと声を張り上げて体をたたいていたのですが、わかってくれていたのですね。こちらもわんわん泣いてしまいました。
そして次の日、息を引き取ったと連絡が入りました。花を買ってクリニックへ行き弔えました。一緒にいられたのは本当に短い間でしたが、思い出深いのがうえしたくんです。
チョコ!うえしたくんに恋してたの?
うえしたくんが亡くなった数日後、チョコがハアハアしてぐったりしているではありませんか!
「え?チョコも!?」と焦り、救急病院に駆け込んだのに血液検査をしても、レントゲンを撮っても問題なしで、点滴をして帰ってきました。けれども戻ってきてからも元気がないのです。このままうえしたくんを追いかけて逝ってしまうのかと思うようなタイミングでした。
チョコは、急にいなくなってしまったうえしたくんを探していたのかもしれません。まるでいないことがわかって、悲しみにくれているようでした。
結局、4日間も原因がわからないまま。このまま寝たきりになってしまうのかと思われましたが、なんと5日目からは散歩に出られるようになりました。そしてそのまま回復してしまいました。
「不死身のチョコ」
この日からスタッフにそう呼ばれるようになりました。でもあの日は何だったの? うえしたくんに恋してたの?
次回は「おばあちゃんチョコに孫ができた!」です。
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