要求吠えが始まった預かり中の老犬 コングでケージトレーニングができた
インテリアデザイナーとして活動する傍ら、保護犬の預かりボランティアをする小林マナさん。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫2匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。第15回では「3匹目の預かり犬チョコのコングトレーニング」のお話をお伝えしていきます。
老犬チョコとコングトレーニング
「オスワリ」「フセ」はできるようになってきたチョコですが、ソファまで来て要求吠(ほ)えをするようになったり、出かける気配を感じると吠えるようになってしまいました。それとケージに入れても吠えてしまうので、ケージトレーニングをスタートさせることにしました。
そこで取り入れたのは、コングを使ったトレーニングです。コングとは、ねじったチョコパンのチョコがないような形をしたゴム性のグッズで、チョコの場所にフードやオヤツなどペースト状にして詰めてなめさせるものです。
ケージにいるときはおいしいものと一緒にという風に覚えさせることができ、爪切りやブラッシングが嫌いな子達にもコングをなめさせながらトレーニングすることができます。
実際にコングを試してみると食い意地が張っていたチョコは、教科書通りに執拗(しつよう)になめてなめて、疲れてケージの中で眠ってしまい、起きてもまたコングをなめて、いつの間にかケージの中にいることに慣れていきました。
その後もコングはいろんな子に使いましたが、元気で食欲旺盛な子はトレーニングにならないくらいあっという間に中身を食べてしまいました。チョコくらいの弱々しい老犬だとなめてもなかなか中身が出てこないので、時間稼ぎにはぴったりでした。
それともうひとつ試したのは、オヤツをパラパラとケージに置いておき、ケージに入るとおいしいものがあると教えるポジティブトレーニングです。これも結構効果がありました。
コングの作り方
コングの選び方と簡単な作り方を紹介します。
- まず、犬に合った大きさや硬さのコングを選びます。小さすぎると誤飲の可能性があるので、口の中にすっぽり入らない、少し大きめを選びます。硬さは犬のあごの力に合わせて選びます。チョコの場合は歯がほとんどなかったので、手で触ってもちょっと弾力があるいちばん柔らかいものを選びました。
- コングの中にいれる食べ物は特別なものでなくても、いつものフードで大丈夫です。先にフードの2/3の量のお湯をフードにかけて、ペースト状になるまでふやかしておきます。
最初にドライのフードをパラパラっとコングに入れます。次にペースト状のフードを入れてドライフードが出てこないようにします。再度ドライフードを入れて、交互に同じ手順で詰めていきます。ペースト状のフードがなくなったら、パラっとフードが出てくる仕掛けです。飽きっぽい子には、大好きなおいしいオヤツやフードなどを間に入れていきます。
これで出来上がりです。
コングでなくても長時間かけてごはんを食べさせるグッズがたくさん売られているので、トレーニングに取り入れてみてください。
まずはケージに慣れさせるためにケージでごはんを食べる練習から。そして、コングなどのグッズを使って時間を増やしていきます。
え!? 前庭疾患って?
オスワリ、フセ、そしてケージにも入っていられるなんて、もうそろそろ譲渡されるかもしれないなんて淡い期待を寄せていました。
ところがある朝突然、発作がやってきました。
チョコは立ち上がろうとしても転んでしまうではありませんか。目が左右に小刻みに動いています。びっくりしてクリニックに駆け込みました。
診察結果は「前庭疾患」という老犬によくある疾患で、治るのをただ待つのみという病気でした。簡単に言うと、めまいが止まらず首がかしげてしまい、真っ直ぐ前に歩けないのです。
治る子もいるし、治らない子もいるというあいまいな診察を受けて、本当にがっかりしました。チョコのぼんやりとしていた瞳が、どんどん輝き出してしっかりこちらを見るようになっていたところだったから。
そんな私の落胆など気にせず、ふらふらのチョコはそれでも必死に立ち上がろうとして、よろけて倒れるということを繰り返していました。
もうちょっと早く会えてたらよかったなと思わずにはいられません。愛嬌(あいきょう)があってかわいいチョコが元気を取り戻した矢先に前庭疾患になってしまうなんて、とても残念でなりませんでした。
ただ、チョコの回復力はとても強かった。
次回は、チョコの回復と新しい預かり犬のお話です。
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