目の不自由な子猫 代わりに鋭い嗅覚、元気に走り回って暮らす

 保護された子猫は瞬膜が下りて、目があまり見えていなかった。その猫を引き取ったのは、それ以前に下半身が不自由だった猫を飼っていた愛猫家だった。子猫は成長し、障害をものともせず、元気に走り回って暮らしている。

(末尾に写真特集があります)

子猫の目はあまり見えていなかった

 大阪府内の道路。自転車でコンビニに行こうとしていた人の前を、1匹の子猫が横切った。子猫は駐車場の車の下に入って隠れた。保護主は急いでコンビニでフードの缶詰を買い、それを使って子猫をおびき寄せて保護した。サバ白の子猫だった。

 保護したものの、すでに家には別の猫がいた。そこで相談したのが、大阪府内に住む愛猫家の奥内さんだった。

 子猫は瞳が真っ黒だったので、具合が悪いのかと思い、動物病院に連れて行くと、瞬膜が下りていて、すりガラス状にしかものが見えていないとのことだった。ものの動きを追うことはでき、走ることもできたが、視野が狭かった。「ゆきちゃん」という名前は、その動物病院の獣医師がつけてくれた。その後、不妊手術をする際、瞬膜を少し切除してもらった。

 「障害のある猫でももらってくれる人はいると思いますが、さらに障害が出てきた時に返されるのが心配なんです。近所の人に譲渡できたら、普段の様子が分かるし、相談にのることもできますが、遠方だとそうもいかないので、譲渡せず、うちで育てることにしたんです」

 ゆきちゃんを引き取る少し前、奥内さんは下半身不随だった猫アメリちゃんを腎不全で失っていた。その猫が「生まれ変わって、うちに来たのかな」とも思ったという。

狭いところにもぐるの大好き
狭いところにもぐるの大好き

目の代わりに嗅覚が鋭く

 ゆきちゃんは家の中で生活するようになると、あまり見えない目の代わりに、感覚で家具や物の配置を覚えたようだ。

 「家の中を走り回るし、ものにぶつかることはありませんが、自分の視野の外から手が伸びてくるとびっくりしてしまう。他の子は、めったにびっくりすることはないのですが……」

 奥内さんは、ゆきちゃんを混乱させないように、以来、部屋の模様替えはしないようにしているという。

ここはわたしの場所なのさ
ここはわたしの場所なのさ

 身体に何らかの障害があると、それを補う機能が発達することがある。

 「ゆきは目が悪い分、嗅覚がとても発達しているんです。冷蔵庫からお刺身を出した途端、ニャンニャンニャンと鳴いて、誰よりも早く走って寄ってくる。少しあげると気がすみます」

 アイスクリームも好きで、冷凍庫から出した瞬間に飛んで来る。バニラが好きで、ひとなめ、ふたなめしたら満足するのだという。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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