野良猫「くろ」「しろ」ぬくぬく作戦 とーさんのひそかな決意

食いしん坊のしろは、福の残ったご飯をムシャムシャ

 月刊誌『天然生活』『ESSE』で編集長をつとめ、数多くのヒット書籍をつくり続けている編集者の小林孝延さんこと「とーさん」は、困り顔の元保護犬「福」と暮らしています。そんな小林家のベランダにある日、2匹の野良の子猫がやってきました。さて、とーさんはどうするのでしょう。

(末尾に写真特集があります)

もんもんと悩むとーさん

「野良猫にごはんを与えるからには中途半端な気持ちではだめだよ」

 犬と猫を長年飼っている友達からの忠告を受けて、とーさんはしばらくもんもんと悩み続けました。このまま2匹の野良を受け入れるのか?あるいは地域猫として育てていくのか?

 前者を選択する場合、いちばん問題になるのは保護犬福が果たしてにゃんたちとうまくやれるのか。そして後者の場合は、わが家の近隣から理解を得ることができるのか、そしてこの小さな野良たちの生命の安全を確保できるのか、ということでした。

もうこれは「縁」だよ

 ネットを中心にいろいろ調べると、去勢や避妊を施したあとの猫たちは地域に住む他の強い猫たちにいじめられたり、コミュニティーから追い出されたりすることもあるということも知りました。もちろん交通事故も心配です。

椅子の下でひと休み

 じゃあ、飼うしかないのか?というと、これまた連載で何度も書いてきたように、閉ざされた心をようやく開いて、やっとのびのびと暮らせるようになった福にストレスを与えてしまうことがとても心苦しかったのです。

 そして、ある日ひそかにとーさんは決意しました。「受け入れよう。受け入れるしかない!」と。何の因果かわが家のベランダにひょっこり現れたのが妻が亡くなって1年、一周忌行った秋の日でした。もうこれは「縁」だよ。そう思い込むことにしました。

はちわれ子猫の「くろ」と「しろ」

 その日から、ひそかな決意を家族に隠したまま、徐々に家の中に猫たちを引き込む作戦がはじまりました。

 いつの間にか2匹に増えたはちわれの子猫たちは、耳が黒い「くろ」と耳が白い「しろ」と呼ぶことにしました。

 まずは手始めにベランダの窓を開けた状態で手からちゅーるを与えることに。すると、くろは躊躇なくちかづいてきてぺろぺろとちゅーるをなめました。その様子をひっそりと下がって眺めているしろ。

ちゅーるに興味津々。ほしい、でもちょっとこわい

 じつはこの2匹とっても賢くて、どんなにおなかが空いていても、しろとくろが一緒に食べることはないのです。片方がたべているときは、背後に下がってもう1匹が不審なことがないか?あたりをうかがっているのです。なんと用心深い!

 でも、こうして手から餌をたべるくらいなら、案外人馴れが早いかも??そう思ってちょっとだけ触ろうと、ちゅーるをもった手をさっと動かすと、蜘蛛の子を散らすように、しろとくろは逃げていきました。

 ちょっと焦りすぎかな…今度はもっとじっくりやろう。

家でくつろぐ子猫「くろ」

 11月下旬。もうずいぶんと夜は寒いです。そこで、リビングの窓を開けっぱなしにして、かりかりを入れた器を家の中に置くことにしました。するとこれまたなんの躊躇もなく、とことこと家の中に入ってくるではないですか。

 とことこと。きょろきょろ。とことこ。しろよりひとまわり小さくてまだ子猫のあどけなさが残るくろは興味津々。家の中に福がいてもおかまいなし!そのうち、ごろごろ寝転んだり、居眠りしたり。ときには猫じゃらしにも反応して、まるで自分の家のようにくつろぎ放題です。

 でも、このときも、しろは家の出入りぐち付近でじっと様子をうかがっています。なかなか一緒にくつろいではくれません。手ごわいな。

 初めて子猫を見る福は、困惑の表情です。ただでさえ普段から「困り顔」の福が、いっそうの困り顔。額にはまるで小林の「小」の字のようなしわがよっています。

「とーさん、この子たちなんとかしてよ」

 そんな声が聞こえてきそうでした。

意外と大丈夫???愛犬「福」との静かな初対面の様子

とっておきの家を用意

 それから、毎日のように、くろとしろは夜になるとやってきては、交互にご飯を食べて、遊んで、またどこかへ帰っていく。そんな日々をすごしました。

 ここまでの第一段階は成功です。つぎに計画は第2段階に進みます。つぎなるプランはケージを設置してその中にかりかりを置いて、ケージの中は安全な場所だよ!と認識させる計画です。くろしろ同時に家に招き入れてくつろがせるのが目的です。

 そこで大型の2段ケージと、すこしでも快適な場所になるようにペット用のホットカーペットを購入。さらにトイレも用意。おいしくてぬくぬくのとっておきの家を用意しました。

やっと2匹で入った!

 しかし、さすがに見慣れぬ大きなケージに違和感を感じたのか、なかなか最初は中にはいってくれませんでした。そこで、大きなリネンをケージにかぶせて安心感を与えることにしました。でもそうすると、仮に2匹が中にはいったとしても、中の様子が見れない…それは悔しすぎる!!!見たい!!

 ということで布をかけて、留守番ドッグカメラを設置。ケージの内部をスマホで遠隔監視できるようにしました。

 入ってくれるでしょうか…

 ゴクリ…

1匹が出口付近を確保して様子をうかがっているうちに、もう1匹が中に。あったかくておいしいものがあるよ!

 やはり、1匹が中をうかがって、もう1匹は逃げ道を確保したまま様子をうかがっています。そして、今度は選手交代。2匹が入れ替わってケージの中をチェック!!なんて賢いんでしょうね。

ついに辛抱たまらん、とばかりに2匹ともケージに入ってきたよ!!

 そしてついに!!!やっと2匹でケージの中に入った!!!!

 おいしくてぬくぬくの環境の勝利です。やったーーー。

すっかりくつろぐ、しろとくろ。寒くて危険な外よりもとーさんの家が快適でしょ?

 ということで続きは次回へ。

◆小林さんが発行人を務める月刊誌『天然生活』のサイトはこちら

【関連記事】ベランダに現れた2匹のハチワレ子猫 保護する?悩み迷う日々

(次回は7月18日に公開予定です)

小林 孝延
福井県出身。編集者。月刊誌「天然生活」創刊編集長、「ESSE」編集長を経て現在は(株)扶桑社執行役員兼編集局長。

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この特集について
とーさんの保護犬日記
困り顔の元保護犬「福」の「とーさん」になった編集者の小林孝延さんが、いとおしくも前途多難な保護犬ライフを語ります。
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