食べ物への警戒心が強い愛犬「福」 喜んで食べるおやつとは

干し芋づくり。さつまいもも大好物
干し芋づくり。さつまいもも大好物

 月刊誌『天然生活』『ESSE』で編集長をつとめ、数多くのヒット書籍をつくり続けている編集者の小林孝延さんは、困り顔の元保護犬「福」と暮らしています。元野犬で、とにかく警戒心が強い福。食べ物に対しても、やっぱり警戒心が強いのだそうです。

食べ物には釣られない愛犬「福」

 今回は、うちの元保護犬福のおやつ事情について書いてみたいと思います。

 なかなか心を開かず、お散歩にもいきたがらない福でしたが、そんな苦労の根元にあったのは「容易に食べ物に釣られない性格」にありました。

 とーさんは、インスタグラムなどに日々作るお弁当の写真をアップしているのですが、そこに映り込む福をみて、多くの飼い主さんたちから「そんな近くに食べ物おいて食べないのですか?」というようなお声をよくいただきます。そうなんです、食べないんです。きっと本当は食べたいのだと思うのですが、そう簡単に手(いや口?)は出しません。

おべんとうには手をだしません!
おべんとうには手をだしません!

 これは単に命令に従順、ということではなく、食べ物に対してものすごく警戒心が強いのです。

 外で出会った人が「はい、ふくちゃんおやつだよ。どーぞ」と、せっかくお近づきの印に差し出してくださったものにも目もくれず、本当に感じ悪い対応をします。くださったみなさん、ごめんなさい…。

 なので、おやつを餌にだれかと仲良くなったり、おやつを餌に行動を制御するのが極めて難しかったのです。

 うーん、プロのトレーナーさんならきっと上手なコツをご存じなのでしょうが…あわれな犬ビギナーのとーさんには悩みの種でした。

ささみや砂肝で手作りおやつ

 どんなおやつをあげたら福は喜んでたべてくれるかなあ…。

 そんなこともきっかけにあり、福が比較的喜んで食べるささみや砂肝を使ってジャーキー風のおやつを手作りするようになりました。きっと市販のもののほうが栄養バランスが考えられていたり、様々なメリットがあるとは思うのですがね…。

とーさんが釣ったサーモンのアラをジャーキーに。これも福のおやつ
とーさんが釣ったサーモンのアラをジャーキーに。これも福のおやつ

 作り方といっても、自己流でたいして難しいことはしてないのですが、ざっと説明します。

作り方
1)鍋に水をはり、買ってきたささみ(または砂肝)をゆでる。
2)ゆで上がったら、水気を取り、オーブントースターに入れる。
3)温度調整ができる機種なら一番低温(わが家は120°c)で1時間程度しっかりと水分が飛ぶまで加熱する。温度調整ができないタイプの場合はオーブンの扉をあけたまま、ささみにアルミ箔をかけて加熱するとよい。
4)冷ましたら保存袋に乾燥剤とともに入れる。

 特に塩は加えてませんが、2週間以上もちます(使う素材や環境によって差があるのでご注意を)。当初は保存性を考慮して、下処理に脱水シートを使って、ささみの水分を抜いてから作ったり、いろいろ試してみたのですが、これが今のところ一番早くて簡単ではないかという結論に至っています。サーモンやマグロのアラなど魚の場合は面倒でも脱水シートに包んで1日置いて、水分を抜いてから低温のオーブンで加熱してください。

 福の場合はこれを刻んでおやつにしたり、フードのトッピングにしたり。きっと市販のほうがおいしいと思うのだけど、とーさんの苦労を知ってか知らずか、喜んで食べてくれてます。

大好きすぎて般若の顔に

 さてさて、そんな福ですが、以前、唯一、信じられないくらい大好きなおやつに出会いました。それは獲れたての鹿の骨です。岡山に暮らす友人が、狩猟で仕留めた鹿の後ろ脚を一本送ってくれて(豪快すぎる!!)、その骨を与えてみたところ、今まで見たことのない強烈な反応を示したのです。

鹿の骨をむさぼり食う福
鹿の骨をむさぼり食う福

 骨を抱え一心不乱にむさぼる福!!鼻の上にシワを寄せ、あらんかぎりの欲望を犬歯に込めて。時のたつのも忘れてかじり続けました。その様子をちょっとのぞき込もうものなら、般若のような形相で威嚇!!君はオオカミだったのか!!そう思わずにはいられないくらいの様子でした。あまりの反応に驚いて、この骨はお友達のワンコたちにもプレゼントしました!

 残念ながらそうそう簡単に獲れたてフレッシュな鹿骨が手に入ることはありませんので、今度出会えるのはいつの日か…という感じですが、またいつか思う存分、福に骨をかじらせてあげたいと思うとーさんなのでありました。

◆小林さんが発行人を務める月刊誌『天然生活』のサイトはこちら

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小林 孝延
編集者・文筆家。出版社在籍中は『天然生活』『ESSE』の元編集長、『ハニオ日記』石田ゆり子著ほか、ライフスタイル系の雑誌・書籍を多数手がける。2023年10月に著書『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』(鳴風舎)を刊行

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この連載について
とーさんの保護犬日記
困り顔の元保護犬「福」の「とーさん」になった編集者の小林孝延さんが、いとおしくも前途多難な保護犬ライフを語ります。
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