お泊まり先でおりこうな猫「ぽんた」 元気な「ほな-」にホロリ

 ぽんたが慢性腎臓病と診断され、余命は長くて2年程度と宣告されたとき、「不要不急の旅行はやめよう」と考えていた。しかし治療の効果もあり、想像していたよりずっとぽんたが元気に過ごしてくれたおかげで、その必要はなかった。

(末尾に写真特集があります)

 出張や旅行で家を留守にする際、ぽんたは通っている動物病院のペットホテルに預けている。

 はじめてぽんたに「お泊まり」を体験させたのは、野良生活を送っていたぽんたを保護した日だった。今思えば、外で自由に動き回っていた猫を、病気でもないのに病院の狭いケージ内に何日も閉じ込めることなど、よく平気でできたと思う。

 犬や猫にとって、知らない場所に預けられることは大きなストレスになる。フードや水をとらなくなったり、排泄をしなくなったり、不安になって暴れたりと、体調に異変をきたすこともあることは、知識として持っていた。だが実際に動物を飼ったことがなかったため、切実には感じられなかったのだ。

 幸いにも、病院でのぽんたは初日こそ緊張していたようだが、2日目にはきちんと食事も排泄もし、世話をしてくれる看護師さんや先生の手に頭をこすりつけ、「くつろいで過ごしていた」と聞いた。

 

「この家具の上は夏でもひんやり涼しくて、おなかを付けていると気持ちがいいんだ」(小林写函撮影)
「この家具の上は夏でもひんやり涼しくて、おなかを付けていると気持ちがいいんだ」(小林写函撮影)

 一般的に犬は「飼い主がいちばん」だという。飼い主が一緒であれば、外出や旅行は比較的苦にならないらしい。逆に飼い主と離れることで分離不安症になる場合もあるという。実際、高速道路のパーキングエリアにはドッグランもあるし、犬同伴で泊まれる宿泊施設も存在する。犬は、家族の一員として旅行には連れ出しやすい存在なのだろう。

  一方猫は、「おうちがいちばん」。旅行や外出することは苦手で、飼い主が不在でも、慣れた空間で過ごすほうを好む。フードと水、トイレを用意し、室温の管理に気をつけておけば1泊程度の留守番は問題ない。たとえ飼い主が一緒でも、移動そのものが猫にとってはストレスになると、飼育書などには書いてあった。

「この扇風機、どこのメーカーなの」(小林写函撮影)
「この扇風機、どこのメーカーなの」(小林写函撮影)

 ぽんたを引き取ってから、実際に猫を飼っている知り合いに、外泊の際はどうしているのかを聞いてみた。

  親戚や知人に食事の時間にだけ来てもらい面倒をみてもらう人、親戚や知人の家に預ける人、ペットシッターに頼む人、ペットホテルを利用する人。なかには「家族全員での旅行にはでかけない」という人もいた。

 意外だったのは、実家や別荘など、猫の受け入れ体制が整っている滞在先の場合は連れていく、というケースが結構あったことだ。猫の性格にもよるのだろうが「飼い主が一緒であればまったく問題はない」と飼い主たちは口をそろえる。「犬は人につき、猫は家につく」というが、今時の飼い猫は人にもつくようだ。

  それでも、持病のあるぽんたは、やはり病院に預けるのが安心だろうと私は判断した。体調に変化があった場合にも、すぐに適切な処置をしてもらえるからだ。ぽんたが、病院でもストレスなく過ごせる猫だとわかっていることもあった。

  それでも毎回、預けるときは後ろ髪をひかれる。

 出張や旅行先でも「今頃ぽんたはどうしているか」と気になる。帰宅して引き取りに行き、看護師さんから「とっても、とってもおりこうでしたよ!」と言われ、キャリーバッグの中で「ほなー」と元気に鳴くぽんたと再会するときは涙が出そうになる。

「日焼け止めのクリームなんかいらないんだ」(小林写函撮影)
「日焼け止めのクリームなんかいらないんだ」(小林写函撮影)

 さらに、家では一度に少量ずつしかフードを口にせず、こちらは1日に何回も給餌をしてやっと必要カロリーを摂取させているというのに、病院では朝晩2回の食事で、毎回給餌された量をペロリと平らげるというのだから驚く。また、食べ飽きたのか、家では見向きもしなくなっていたメーカーのフードも問題なく口にするらしい。

 試しに、家に戻ってからフードを山盛りにしてぽんたの前に置くが、やはり食べ残す。別メーカーのフードを出してみても、匂いをかぐだけで口はつけない。

「おうちでは、いろいろすることがあるけれど、病院では暇だから。食べる以外ないのかもしれませんね」

 という看護師さんの話に、なるほどと思うのだった。

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(次回は9月6日に公開予定です)

宮脇灯子
フリーランス編集ライター。出版社で料理書の編集に携わったのち、東京とパリの製菓学校でフランス菓子を学ぶ。現在は製菓やテーブルコーディネート、フラワーデザイン、ワインに関する記事の執筆、書籍の編集を手がける。東京都出身。成城大学文芸学部卒。

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この特集について
猫はニャーとは鳴かない
ペットは大の苦手。そんな筆者が、ひょんなことから中年のハチワレ猫と出会った。飼い主になるまでと、なってからの奮闘記。
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