犬の8歳は高齢期、病気に注意 ゆったりとした時間を楽しんで

(写真は本文と関係ありません)
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  • :飼い犬の顔に、白髪が目につくようになりました。8歳ですが、もうシニアなのでしょうか?
    :山根 犬や猫も老化します。研究者によって見解はまちまちですが、犬の場合、おおむね7、8歳から高齢期に入るとされています。なお一般的に、大型犬のほうが成長が遅くて平均寿命は短く、小型犬のほうが成長は早くて平均寿命は長いです。いずれにせよ8歳であれば、老化が始まっていると考えていいでしょう。
  • :老化はどのように表れますか?
    :山根 人間と同じです。白髪もそうですし、毛づやが悪くなり、皮膚の弾力がなくなってきます。また筋力が衰えだすので、活発さがなくなってくるでしょう。目や耳の機能も低下します。
  • :高齢期に入ったということは、病気にも注意したほうがいいですね。
    :山根 普段からよく観察することが大切です。まず外見でわかる病気が、白内障や歯周病。普段の行動からは、股関節形成不全や椎間板(ついかんばん)ヘルニアなどが進行していることに気付けます。

     また糖尿病であれば多飲多尿が見られたり、急激に痩せたりします。不妊・去勢手術をしていない場合には、雄は前立腺肥大、雌は子宮蓄膿(ちくのう)症などの可能性が高まります。これらの病気も、排尿や体調の変化をよく見ていれば気付くことができるでしょう。

     寿命が延びて長生きになったために、認知症になる犬も増えてきています。空中の一点を見つめていたり、不適切な場所でオシッコをしたり、夜鳴きをしたりするなら、認知症を疑ってみましょう。普段の食生活や飼い主の関わり方によって、症状の進行を抑えたり、薬で改善が見られたりすることもあります。
  • :飼い主の責任がますます重くなる気がします。
    :山根 犬が7、8歳になるということは、飼い主もそのぶん年を重ねたということです。犬も人もお互いに落ち着いて、ゆったりとした時間を過ごせるようになります。そうした日々を心ゆくまで楽しんでほしいと思います。

     ただ病気によっては、犬も寝たきりになることがあります。そうなれば褥瘡(じょくそう)を作らないようにするなど、介護が必要になります。たいへんな負担だと思いますが、ともに歩んだ日々を振り返りつつ、最後の時間を充実させるように考えてください。その時間が、飼い主さんに「心の準備」もさせてくれるはずです。
山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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