病気予防やストレス軽減のために 犬猫を飼うなら不妊・去勢を

(写真は本文と関係ありません)
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  • :子犬を飼い始めました。雌ですが、不妊手術の必要はありますか?
    :山根 子犬を産ませるつもりがないのであれば、不妊手術はしたほうがいいでしょう。理由は四つあります。

     一つは、発情にともなう様々な問題行動を防ぐため。もう一つは、様々な病気の予防のため。三つ目は、発情期に犬にかかるストレスをなくすためです。

     そして最後に、これ以上は飼えないのに子犬を産ませてしまい、結果として飼育放棄、殺処分される不幸な命をいたずらに増やさないようにするためです。いずれも、猫にも共通する話です。
  • :不幸な命を増やさないというのは、その通りですね。
    :山根 鳥取県で動物保護施設「人と動物の未来センター アミティエ」を運営しているのですが、そこに保護されてくる犬や猫の不妊・去勢をするときには「人間の勝手で申し訳ない」という思いも抱きます。でも、捨てられ、殺される命を増やさないこと、病気の発生予防のためにはやはり大切だと考え、手術をしています。
  • :手術をしようと思います。どんな病気が予防できますか?
    :山根 雌であれば、将来的に子宮蓄膿(ちくのう)症や乳腺腫瘍(しゅよう)などの病気を防げます。雄であれば、前立腺がんや前立腺肥大、また精巣(睾丸(こうがん))などの病気が防げます。

     なお雄の場合、潜在精巣(陰睾)であることがわかれば、必ず去勢手術をするようにしましょう。潜在精巣であるかどうかは生後数カ月くらいで診断ができます。放っておくと、加齢とともに腫瘍化する可能性が高いです。
  • :手術はいつごろ行うのがいいでしょうか?
    :山根 雌であれば、可能ならば最初のヒート(発情)の前に行う方が、様々な病気の発生をおさえるのに効果的であるとされています。一般的には、雄雌ともに生後6~10 カ月未満くらいをめどに、1歳になる前までに手術するのがいいでしょう。

     ただ雄猫の場合、急ぎすぎない方がいいです。性成熟前に去勢すると、尿路結石等により尿道閉塞(へいそく)を起こしやすくなります。文献によっては早期の去勢は関係ないとするものもありますが、獣医師としての経験的にはやはり、早すぎる去勢はおすすめできません。いずれにしてもかかりつけの獣医師とよく相談をしながら手術を受けるようにしてください。

(朝日新聞タブロイド「sippo」(2016年10月発行)掲載)

 


イヌ・ネコ ペットのためのQ&A

監修: 山根義久
編著: 公益財団法人動物臨床医学研究所
発行: パイ インターナショナル

山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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