犬種や年齢は関係ない 預かりボランティア体験から見えた犬の魅力とは?
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第32回は「預かりボランティア体験から見えた犬の魅力」についてお伝えしていきます。
目が悪くても大丈夫
2018年11月11日に来た預かり犬のミニチュアシュナウザーのニハチは、ほとんどほえない犬でした。10歳を超えた老犬ですが、特におとなしいわけではありません。目が悪いために見つけるのに時間がかかりますが、私を探してはドカドカと歩き回るような子で、場所がわかると私のそばでドカっと座って寝てしまうのです。
空間はしっかり把握しているのですが、ニハチのそばから私が離れると再び探して歩き回り、他の人にぶつかることもありました。ニハチの頭は石が入っていそうなほど硬く、シュナウザー特有の短髪のカットのせいもあると思うのですが、夫はニハチの頭が足やスネに当たるとものすごく痛いといつも言っていました。
ニハチはいつも首を振り回しては、何かを探していました。そして、頭をブルブルと大きく振るその勢いでよろけるのです。もうその姿が滑稽で、見ていると本当に吹き出してしまいます。本犬はいたって真面目、その学者のような風貌(ふうぼう)からは想像もできない笑える行動で、いつも周りを笑顔にしてくれました。
元気が取りえ
獣医さんの心配をよそに、ニハチはとても元気に毎日の散歩をしていました。ただ、ちょっと体が硬くぎこちないので、事務所にある3段の階段の下に降りると、上がって来られないことがありました。でもそれも、慣れてしまえば特に問題はなくなりました。
ちょっと話がそれますが、私の祖父母は時期こそ違いますが、105歳まで元気で自分の家で暮らし、最後は数日間病院に入院して亡くなりました。隣の家に住む母がちょっと介護をしていましたが、祖父母は100歳まで2階建ての家の2階で寝ていました。
いつも家族と話しているのですが、それが元気の秘訣かもしれません。あまり過保護にしないというのがウチの実家の考え方で、両親も後期高齢者に入っていますが、いまだに2階に上がって寝ています。
そんなこともあり、ニハチも制約なくダイニングも事務所も自由に行き来させていたからか、とても活発に動き回れるようになりました。毎日朝晩15分の散歩と事務所の中での歩行で、ニハチはウチにきてからどんどん元気になっていきました。
いろんな犬を預かる楽しさ
預かりボランティアを始めて以来、私は何匹もの犬を預かる機会がありましたが、その中で唯一の条件は、スタッフや他の犬をかんでしまうような凶暴な子は選択しないということでした。
じつは私自身、もともといろんな犬には興味がなく、預かりさんをするまでは、いつか黒いラブラドルレトリバーを飼いたいと思っていたんです。ところがその考えは、預かりさんをすることで変わっていきました。
最初に預かった福島県の被災犬のタケは、ものすごく美しい犬でした。しかし、その後に預かったココは老犬で、柴犬ではありましたが、毛はボサボサで体も痩せすぎていました。同じく柴犬のチョコもガリガリで、黒い毛が白髪になりグレーになっていました。しかし、どの子もその存在自体がかわいいことに気づき、みんなが心を癒やしてくれました。
彼らが亡くなった後も、同じような老犬を見かけるとつい声をかけてしまったり、目で追いかけて心の中で「がんばれ〜」と声をかけるようになっていました。
ニハチは人懐っこくておとなしく飼いやすい犬なのに、なぜ前の飼い主は手放さなければならなかったのかとつい考えてしまいますが、一方ではそのことに感謝すべきだなぁと思わされることも。「こんなに可愛いニハチに出会わせてくれてありがとう」と言いたくなるのです。
預かりさんを始めてから犬のかわいさに犬種や年齢は関係ないと気づき、次々にやってくる犬たちがいとおしくてたまりません。
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