「ダメ犬」レッテルから脱出! 暴れんぼうチワワの個性を受け入れたら変化が訪れた
かんで、暴れ、首輪をつけられないチワワの子犬。スクールではトレーナーのいうことを全く聞かず、「ダメ犬」のレッテルを貼られてしまう。その一部始終を聞いて、UG DOGSアトラスタワー中目黒店(以下UG)の高橋信行店長は……。
激アツ店長、中目黒の駅前で叫ぶ。
「みんな違ってみんないい。愛犬の個性を受け入れて!」
パピー教室での挫折、チワワに対する誤解
パピー教室でトレーナーの言うことをまるで聞かず、怒りを買い「ダメ犬」のレッテルを貼られてしまったチワワのらんちゃん。その顛末(てんまつ)を聞いた高橋店長は、思わず泣いてしまったという。
「らんちゃんのような聡明(そうめい)で気の強い子犬がないがしろにされたことがガマンならなかった。まだ月齢4カ月の子犬と初めて犬を育てるお母さんに一体何を求めているのか?」と憤り、こう続ける。「チワワは、トレーナーなどプロの間でも誤解されやすい犬種かもしれません」。小さくてかわいい見た目で、トイプードルなどと同じように思われがちだが、気が強く自分をしっかり持っていて、人に対しても好き嫌いがはっきりしている。
らんちゃんほどひどいことを言われないまでも、パピークラスや幼稚園に参加し、自分の犬だけが走り回ったりほかの子に「遊ぼう!」と強めに誘ったりして、リードをつけられ子犬の輪に入れてもらえない……。「UGに来る強い子犬あるある」だ。
「傷ついた飼い主さんが『うちの子はダメ犬なのか、バカなんじゃないか』と悩む姿を見ると、悲しくなってしまう。人間だっていろんな性格や個性の人がいるように、犬だって1匹1匹違うんです。みんなと同じじゃなくていい。違うからおもしろいしかわいい。強くて元気で何が悪い? そこを受け入れた上で、一緒に暮らしていく上でのルールをきちんと教え、人間も変わるべきところは変わる。プロはそのアドバイスをするためにいる。僕もハッキリものを言いますが、否定して投げ出すなんてプロの風上にも置けない」
納得できなければトレーナーや幼稚園を変えて
らんちゃんが顔や首周りを触られることが苦手と聞き、店長がやってみることに。当然らんちゃんは嫌がって暴れたが、店長は動じず、落ち着いてゆっくりつけていく。結果、らんちゃんは店長のことをかまずに首輪をつけることができた。
「店長が『はいはい〜』と笑っていたんです。その姿にものすごくホッとしました」とお母さん。店長は「僕はチワワが大好きだし、さらにらんちゃんのような強いチワワンは僕の好みですから」とニッコリ。そしてこう語る。「自分の犬に合わない、何か違うと感じたときには、異なるアプローチをするトレーナーや幼稚園などを探すことも検討してほしい」
これまでの連載でも、コーギーのまめくん、ミニチュアシュナウザーのダリルくん、トイプードルのミロくんなど、最初のトレーナーや幼稚園でうまくいかず、むしろ悪化し、犬も飼い主も深く傷ついたケースは少なくない。「病院や医者のセカンドオピニオンと同じで、納得できなければ他を探す。子犬の時期はとても短い。そこはちゅうちょしないでほしい」。店長はそこまで問題がないと思えばおうちから通いやすい通園型の幼稚園を勧めることもあるし、「自分のもとで1週間では厳しい」と判断すれば長期間預かる先輩のトレーナーを紹介している。
さて、らんちゃんの社会化お泊まりが始まった。同期のハイパートイプーと激しく遊びまくった。ごはん前のフセ、マテは完璧。お散歩も店長やUGのスタッフとは問題なく歩けた。ところがお迎えの日。お母さんがリードを持つとうまく歩けない。「『らんちゃんばかりを見ない。まっすぐ前を向いて、遠慮せずにお母さんのペースで歩いてください』と店長から厳しく指導されました」
犬との暮らし、どこまでトレーニングする?
おうちに戻ってきたらんちゃん。首輪はつけられるようにはなったものの、「激変」とまではいかなかった。店長からは「成長とともに警戒心が芽生えてきたら、さらにほえるようになるかもしれない。チワワらしく好き嫌いもますますはっきりしていくでしょう。でも、それがチワワだし、それがらんちゃん。受け入れて楽しく暮らしてください」と告げられたという。
しかし、お母さんは当初「受け入れる、という意味がよくわからなかった」と振り返る。店長の予想どおり、らんちゃんはお散歩に出ると、警戒心からか、出会う犬、バイクにほえまくった。そのたびにお母さんは「すみません、すみません」と周りに平謝り。お散歩が苦痛に感じるように。店長に相談すると意外な答えが返ってきたという。
「そんなに世間に対して萎縮しなくてもいいのでは?」
その意図を店長はこう説明する。
「ご家族が望むなら、ほえをやめさせるためのアドバイスはできます。基礎トレーニングも含めてやるべきことをかなりしっかりとやる必要がありますが、それを実践するのは一緒に暮らすご家族。らんちゃんのおうちではおそらくお母さんが担うことになる。でも正直、やさしいお母さんがそこまで徹底するのはしんどいんじゃないかな、と。だったらお母さんがらんちゃんを受け入れ、周りに対して申し訳ないという気持ちを少し手放せばいい。そう考えたのです」
店長の言葉に、お母さんはハッとしたという。
「らんのことを否定的に捉えてばかりいたと気づきました。犬を嫌がりそうな人がいたら避けて、もしらんがほえてしまったら明るく笑顔で謝ればいい。せっかくうちの子になってくれたのだから、一緒にもっと楽しく過ごそう――。そう考えるようになったら、お散歩がすごく楽しくなったのです」
一緒に笑顔で普通に暮らす
自身のまじめさが自分を追い詰めていたのだろう。らんちゃんのことを受け入れ、物事を前向き考えられるようになったことで「いろんなことが楽になりました」とお母さんは笑顔を見せ、こう語る。
「本当にちょっとずつですが、かんだりほえたりも以前に比べたら減ってはいます。周りからしたら変わってないように見えるかもしれないけど、家族だからわずかな変化がわかるし、その成長がとてもうれしい」
らんちゃんは今年4歳を迎えた。息子さんは大学に入学、この春から自宅を離れ下宿生活に。「私たちと離れることは平気だけど、『らんと離れるのがさみしい』って言っています」とお母さん。当初飼うことに乗り気でなかったお父さんは、今ではらんちゃんにメロメロだ。
「ご家族みなさんから、らんちゃんがかわいくて仕方ない! というあふれる愛が伝わってきます。僕も大好きだけど」と店長は目を細め、こう語った。
「ほかの子と比べたり、ましてや『うちの子はダメ犬なんじゃないか』などと思う必要はありません。やるべきことをやった上で、それでもうまくいかないなら次の手を考えればいい。ゴールは『一緒に笑顔で普通に暮らせること』。『普通』はおうちによってそれぞれです。愛犬の個性を受け入れ、家族で折り合いをつけながら、十数年というかけがえのない時間を笑顔で過ごしてほしい。それが僕の願いです」
- UG DOGS アトラスタワー中目黒店
- 住所:東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー106
TEL:03-5708-5592
営業時間:11:00~20:00(年中無休)
公式サイト:https://anm.ugpet.jp/ - 店長ブログ:https://www.ugpet.com/blog/anm/
※カウンセリングは電話、対面とも要予約。HPや高橋さんのブログをチェックした上で問い合わせを。UGでは基本的に保護犬を預かる活動はしていません。
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