からっぽのケージにぽっかりあいた心の穴 庭で保護した親子猫、旅立ちの日
月刊誌『天然生活』『ESSE』で編集長をつとめ、数多くのヒット作をつくり続けている編集者の小林孝延さんこと「とーさん」は、困り顔の元保護犬「福」と元野良猫の「とも」「もえ」と暮らしています。
7回(第1回はこちらから)にわたってお届けした猫親子保護顛末記、ずいぶんと長くなってしまいましたが今回が最終回です。あ、この連載「とーさんの保護犬日記」はまだ続きます(たぶん)。
愛情に包まれて
まずは見てほしいんです、これが保護された「マミコ」、「くろいこちゃん」、「しましまちゃん」の現在の姿。
あのガリガリにやせっぽちで、目ヤニがついてしょぼしょぼだった猫たちが、いまはこうしてふくふくと、ちょっと太り過ぎ?っていうくらい。日々、たっぷりのごはんと愛情に囲まれて育っています。
野良時間が長かったのでまだまだ人馴れには時間がかかるものの、それでも背中や頭をなでると気持ちよさそうに「なでていいよ」って顔をするそう。3匹一緒に迎えてくれる飼い主さんが見つかってほんとうによかった、心からそう思っています。
飼い主さんの決定理由
複数名乗りをあげてくださった飼い主さん候補の中で、今回、秋田の方に決めたのにはいくつかの理由がありました。
まずは、事前のアンケートに書いてくださったどうぶつたちとの関わり。そこには深い愛情とやさしいまなざしがあふれていました。しかも、いかにこれまで自分がすぐれた飼い主であったか、というアピールではなく、過去に保護猫とかかわったときに思い通りにいかなかったことに対する気持ちや経験が、包み隠さず正直に記されていたのです。
飼育条件も整っていました。今回一番難しいなと思ったのが先住さんとの同居問題でした。みなさんやはり猫愛あふれる方々なので先住さんがいるケースが多く、先住さんにかかるストレスは一番の課題でした。
今回の飼い主さんもお住まいの家に先住さんがいるとのことでしたが、近々、すぐお隣の実家に引っ越すことが決まっているという好条件。先住さんはお嬢さんが引き続き面倒を見て、自身は猫親子と実家住まいをすると。そのお嬢さんも猫好きで、保証人にもなってくださるとのことでした。
唯一の懸念点は秋田県在住なので、東京に暮らす僕がそうそう猫たちの状況を見に行くことができないということでした。
しかしこれも、実際にこれまで何度も譲渡を経験している友達に相談すると「心配しなくても大丈夫。実際、近所に住んでる人に譲渡したとしても、そうそう見に行くことはないよ。万が一、なにか対処が必要な事態が起きたとしても、それはこばへん(ぼくのこと)が駆けつけて解決するような問題であるケースはほとんどないから。むしろこばへんが行ってもなんの役にもたたないよ」と。確かに……。
それからオンラインで何度も話を聞き、お嬢さんとも面談し、人柄も含めて文句なしだと判断するに至りました。
からっぽのケージ
いよいよ引き渡しの当日。飼い主さんはご家族みんなでかっこいいデリバンに乗って登場!家族みんなが猫親子を歓迎してくれていることがひしひしと伝わってきて泣けました。
でも猫たちをケージからペットキャリーに移すときは、泣いてる余裕なんかなくて、すったもんだの大格闘。引っかかれて流血しながらやっとこさだったので、ほっとしたという気持ちの方が強かったかな。
みんなをお見送りして、からっぽになったでっかいケージを見て、はじめてぽっかりとあいた心の穴にさみしさの風が吹き抜けたとーさんなのでありました。
みんな幸せにね!!
(次回は3月18日公開予定です)
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