本当に静かになるの? 分離不満で鳴き続ける保護犬、解決策は「そばにいてあげる」
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第26回は「この犬、本当に静かになるの?」をお伝えしていきます。
この犬、本当に静かになるの?
前回、預かりボランティアとして新たに迎え入れた「ベリオ」(推定10歳、中型犬)が分離“不満”だったことについて書きました。ベリオは私と離れると、昼夜問わず、ご飯を食べていようが、夜中だろうが、ずっとほえていたのです。
相談したドッグトレーナーからは、ベリオは分離不満だから不満を解消するために、私のそばにいさせること、それから楽しいこと(お散歩やおやつ、ご飯など)は、別の人が担当するようにと指導がありました。
トレーニングから帰ってきた日から、ためしに仕事用のデスクの足元にベリオのベッドを敷いてみました。すると驚いたことに、あれだけ鳴きやまなかったベリオが、ベッドで寝始めたのです。
私がトイレや昼ごはんなどで席をはずすときには、ストーカーのように付いてくるのですが、デスクにいる間はずっと足元で寝ているのです。
そう、ベリオはずっと鳴きっぱなしだったので休む暇がなかったのです。ようやく私のそばにいられて、安心して寝られるようになったというわけです。それならばと、私が長時間いる場所にマットを増やしてみようとトライしてみました。
キッチンやダイニング兼打ち合わせ室など私が座るすぐそばにマットを敷いてみると、予想通りベリオは一緒に付いてきて、パタっと倒れるように横になりました。
鳴きっぱなしの犬が静かになった!
ベリオは「落ち着いて寝ている」というよりは、「ヘトヘトだから寝られるならどこでもいい」という感じでした。可哀想に。疲れているけれども“鳴く”しかなく、休むことができなかったのです。
ベッドやマットをそばに置いてもしばらくは物音ですぐに起きてしまいましたが、私がいることを確認すると目を閉じ、ベリオはまだまだゆっくり眠りにつくには時間がかかりそうでした。
1日中鳴きっぱなしだったベリオが、仕事の間は静かになり、そのうち、私が外出すると自分のベッドに戻って静かにできるようにもなりました。
夜は、私は寝室のある2階へ上がるため、ベリオを1階のケージに入れなければならず、そうするとまた鳴き出すので、私は毎日耳栓をして寝ていました。ただ、確実に鳴く時間は減っていったのです。
トレーニング本を読んでもわからない問題行動の直し方だなぁと、感心するしかありませんでした。
そもそも猟犬って?
「ベリオは猟犬だったかもしれない」と保護団体から聞き、預かったのですが、そもそも猟犬なんているの?と驚きました。
今でも日本には猟師がいます。そう言われてみると、ジビエも増えすぎたニホンジカも、猟師が一定の決められた期間に猟をするんだと思い出しました。
当然その時に活躍するのが猟犬ですが、若くて猟に向いた犬でないと務まらないそうで、役に立たない犬や役目の終わった犬は山に捨てられたり、動物愛護センターに持ち込まれることがあるそうです。
それじゃあ物と一緒じゃないか!と驚きました。日本の猟犬の現状を知り、とても衝撃を受けたのです。
次回は「あんなにほえていたベリオ、これなら譲渡されるかも!?」の話をしたいと思います。
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