臆病な元野犬のお見合い失敗 親心が芽生えもらわれなくていいとも思ったが譲渡決定!
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。第24回は「臆病ドーちゃんのお見合い」をお伝えしていきます。
元野犬のドーちゃん 臆病さは相変わらず
子犬のドーはどんどん大きくなってスクスク育っていきました。困ったのは、どんどん臆病になってしまったことです。食が細く好きなものでもそっちのけで、怖いときはケージに戻って行ってしまいます。
ある日は、天井に映る水のゆらゆら揺れる反射光を怖がるほどだし、友達が来れば尻尾をまいて大きな声でワンワンとほえるのです。
散歩も相変わらず、私には見えないほど遠くにいる犬を見つけてはほえ、匂いや音にも敏感すぎて全てに反応してしまうのでした。
お見合いは決まったけれど
預かりボランティアは譲渡会に参加することが通常の譲渡先探しの方法なのですが、SNSなどを通じて、友人や知人から問い合わせをもらうことも少なくありません。
ある日、「黒い犬を探している」という方を友人から紹介してもらい、公園でお見合いしました。ご夫妻で来た希望者さんはとってもゆったりしたすてきな方たちで、こんな方だったらドーちゃんでもゆったり暮らせるのでは?と淡い期待に胸を躍らせました。
しかし私のそんな思いとは裏腹に、ドーは(公園で会ったのがよくなかったのですが)、落ち着きはないし、ワンワンほえるし、全くその方たちの近くに寄れないような状態に。希望者さんたちは、ドーを見てすごく気に入ってくれたのですが「初めて犬を飼うのでちょっと難しそうですね……」と言って帰っていきました。
またある日は、友人が子供を連れて見に来てくれました。やはり、子供との追いかけっこになってしまい、ドーは嫌そうに逃げてケージに戻ってしまいました。友人は「可愛いけどね~慣れるのかなぁ」と言って帰っていきました。
ドーはというと、ほっとした様子で友人が帰るなりケージから出てきました。
三度目の正直
残念ながら2件のお見合いは失敗に終わりましたが、ドーは正規の譲渡会で親子連れの家族に気に入られて、すぐにトライアルが決まったのです!
ちなみに私の考えていたドーの3つの譲渡条件は全てクリアしていました。
1)家から道路が見えない →見えない!
2)落ち着いた感じの人 →お子さんはみんな20歳オーバー
3)先住犬なし →なし!
この譲渡条件は、犬の性質上どうしても無理な環境というものがあるので、お世話をしていたボランティアから譲渡会やトライアル時に希望者さんに伝えることができます。
比較的、小さな犬は譲渡されやすく、通常は1カ月~半年で譲渡先が決まることが多いのですが、なかには1週間くらいのスピード譲渡の子もいます。10kg超えの犬はなかなかもらい手が少なく、預かりボランティア宅やシェルターに長くいる子もいます。
ドーのトライアルが決まったのは、うちに来てから11カ月が経ったころ。思ったより長くいましたが、トライアルの2週間後にきっちり、希望者さんは正式譲渡の手続きに来てくれました。
かわいい子犬時代からの預かりボランティアは、ついつい親のような気持ちになってしまいます。ドーには、可愛さ余って「もらわれなくてもいいよ~」なんて声をかけていましたが、とうとうお別れの日です。
すでに譲渡先が決まった姉妹犬のシャーのときもそうでしたが、2週間ぶりに会ったドーはすっかり新しい家族になじんでいました。でももともとの挙動不審は健在で、緊張していたのか、私に気がつかなかったのです。
それはとても悲しい出来事でしたが、その瞬間あきらめがついたのできっぱり気持ちの整理がつきました。
次回は「次にやってきたのは猟犬!?」の話をしたいと思います。
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