「川島なお美動物愛護賞」を経て気持ちを新たに みんなをつなぐ懸け橋となりたい
前回予告させていただいたとおり、今回は、9月24日に開催された「川島なお美動物愛護賞」授与式について、です。
授与式前日は台風だった
静岡県を中心に、各地に甚大な被害をもたらした台風15号が東京を通過していった日の前日、なお美さんの地元、名古屋で『アップ!』(メ~テレ)に出演していて、17時過ぎ、あぁ、これなら19時前に自宅に戻れると思っていた私。しかし雨はどんどん強くなり、結果、長時間、東海道新幹線の中に閉じ込められ、「運転再開の見込みはない」とのアナウンスが。小田原駅で下車できるよう尽力してくださった職員の方のおかげで、まだ動いていた在来線(東海道線)を使って東京駅へ……帰宅したのは24時過ぎでした。
これでも私はついていたほうで、同じ番組に出演していて、坂上忍さんの犬猫保護ハウス『さかがみ家』のスタッフの1人でもある野々村真さんは、浜松駅で長時間停車した結果、車中泊になってしまったと聞きました。
受賞を喜んでくださった『保護猫カフェ ひだまり号』さん
実は「川島なお美動物愛護賞」で、今回、「ワンダフルパートニャーズ賞」を受けてくださった『保護猫カフェ ひだまり号』のオーナー、祖父江吉修さん、昌子さんご夫妻も東海道新幹線を利用することができず、車で授与式会場に来てくださいました。たいへんなご負担をかけてしまったのですが、実は受賞するきっかけを作ってくれたのは、なお美さんのご主人でパティシエの鎧塚俊彦さん。SNSで『保護猫カフェ ひだまり号』さんの存在を以前から知っていた鎧塚さんが今年6月、名古屋でのお仕事の帰りがけにアポなしで訪ねられたのです。
昌子さんは9年前、23歳の息子さんを亡くされ、曰く「真っ暗なトンネルに入り込んで3年半ほど引きこもっていた私を救い出してくれた1匹の赤ちゃん猫との出会いがきっかけで」保護猫活動をスタート。今回の受賞を「名誉あること」と、とても喜んでくださいました。
映画制作現場にも動物愛護の精神が
同じく「ワンダフルパートニャーズ賞」を受賞された、映画『ハウ』の監督・犬童一心さんは、「川島なお美さんの気持ちをしっかり受け止めて活動していきます」とおっしゃり、昔は、映像の現場でひどい目に遭うことも多かった動物たちが、いまでは「仲間として扱われていることを身をもって感じている」と。『ハウ』でも、犬の撮影シーンはカメラを2台使用しているそうで、その理由は、1回で撮影を終わらせるようにするため。ドッグトレーナーの方から「監督、(撮影を続けるのは)もう無理だよ」と言われたら、すぐに撮影を止めることや、そのことを撮影現場のスタッフさんたちも「もう無理なんだ」と普通に思えるようになったことを、「ものすごく大きな変化。動物愛護に関わっている方たちの思いが社会を少しずつ変え、それが撮影現場にも届いている」と話してくださいました。
飼い主の高齢化という社会問題の話も
一般社団法人『the VOICE』の代表理事、有動敦胡さんは、「動物愛護には、他の保護団体や獣医師さんの横のつながりが重要」とおっしゃり、「亡くなられたお年寄りが残した犬や猫がものすごく多い。とても私たちの団体で手を出せる数ではありません」と、社会問題にもなっている独居老人のペットについて言及。「皆さんが興味をもってくださることがとても大事」と話されていました。
そして、『パナソニック株式会社』次亜塩素酸空間除菌脱臭機ジアイーノ マーケティングチームの田頭裕子さんは、「行政や保護団体だけでなく民間企業にも何かできるんじゃないか」との思いがあったそうで、全国の保護団体へのジアイーノの寄贈や、昨年から実施している譲渡会や保護犬保護猫応援プロジェクトについて説明。「継続的に、犬や猫の命を救っていく活動を皆様と共に推進していきたい」と、力強くコメントされていました。
大賞は坂上忍さん率いる『さかがみ家』
今年、大賞にあたる「川島なお美賞」を受賞されたのはsippoでもおなじみの『さかがみ家』でした。当日は坂上忍さんが登壇してくださり、最初は受賞を躊躇(ちゅうちょ)したという正直なお気持ちから、強い決意までを最後は涙を浮かべながら話してくださいました。
印象的だったのは、「動物愛護にまつわるさまざまなことが進んでいるようでいまいち進んでいない。停滞しているような状況が歯がゆい」という言葉。さらには「僕は本当に何の取りえもないんですが、やろうと決めたら腹をくくるぐらいしかできません。だから死ぬ気で金を稼いで、その金を動物たちのためにキレイに使って、保護犬や保護猫のお世話をしている人たちに対して、全うな対価を支払うところまで行きつかないと意味がない。みんながつながっていけたら、何かができると信じて精進していきたいと思います」と……。
最後は、私たちがずっと使わせてもらっている「飼いとげよう。」のスローガンと共に、川島なお美さんが写るポスターに目をやり、「なお美さんに褒めてもらえるように、がんばっていきます」と言い、こらえきれずに泣いてしまった坂上さん。若い頃、なお美さんにごちそうになったり、遊びに連れて行ってもらったりしたことを思い出してしまったそうです。
気持ちを新たに
この日、司会をさせていただいていた私は、坂上さんが涙する前から、何度も泣きそうになるのをこらえていました。
受賞者の皆さんのコメントや、用意いただいたVTRの内容があまりにも素晴らしく、動物愛護活動の末席にいる私でさえも、日々の苦労や揺るぎない思いがビシビシ伝わってきたからです。
鎧塚俊彦さんもごあいさつで「『動物愛護委員会』という看板をたてたり、愛犬家、愛猫家を自負したりはしているものの、今回の受賞者の皆さんの活動と比べたら微々たるものだと思うのです」とおっしゃっていました。
ただ、今回、賞を受けてくださった方たちが『名誉なこと』と言ってくださったこと。そして、横のつながりの大切さを異口同音に訴えられたことを胸に、今後も、川島なお美さんが私たちに託してくれた『川島なお美動物愛護賞』を守っていこうと、動物愛護委員会の湯川れい子委員長以下、心に誓いました。
さらに私たちは、10月末、3年ぶりにやっと開催できる「オープンカレッジ エンジン01 in 岐阜」で、動物愛護に関する講義を1コマ、もつ予定。委員会メンバーで記したリレーエッセイも冊子にまとまりました。
皆様との“横のつながり”の懸け橋の一つになれたらと気持ちを新たにしました。これからもよろしくお願いいたします。
(次回は11月8日公開予定です)
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