まさかの陽性!コロナで自宅療養 愛猫2匹との付き合い方や備えておくべきもの

2匹の猫
「早くよくなれ」療養中、足元で抱き合っていた愛猫たち

 先日、コロナに感染して、自宅療養をしました。私は一人暮らしで、2匹の猫と暮らしています。ベッドでずっと寝ていると、猫たちがいつも以上に甘えてきたのですが、この時期はベタベタしない方がいいのかな、咳やくしゃみも猫にかからないようにしなきゃ……といろいろ気になりました。療養を振り返り、猫のことや備えるべきものなどを改めて考えてみました。獣医師にも自宅療養中の猫との付き合い方などを聞いてみました。

(末尾に写真特集があります)

まさかの陽性に慌てる

 1月後半の朝、起きると喉と鼻に違和感がありました。熱は37.5℃くらいですが、鼻水のほか、風邪の時と違う(胸の奥の方からの)深い咳が出る感じでした。

 念のため、近くの総合病院にPCR検査にいくことにしました。混んでいて検査まで3時間。

 その日は土曜だったのですが、「すぐに検査結果が出ないので、それまで家で待機して」と言われ、まっすぐ帰りました。ワクチンも2度打っていたし、“シロ”だろう(であってほしい)と思いました。私は一人暮らしなので、とにかく猫のことが気になりました。

黒猫
ふとんに入ってじっと寄り添ってくれたイヌオ

 そして月曜、病院の医師から連絡があり……「陽性です」の言葉。

 思わず「えー!」と叫んでしまいました。マスクはもちろん、手洗いもうがいも気を付けていたし、外出は少なめにし、仕事もリモートに切り替えていたので、ショック。たった一度だけ、(ほぼ2年ぶりに)知人と会食したのですが、その時に感染したのだと思います。

 でも幸い軽症で、その日から自宅療養となりました。

 猫をどこかに預けたりしなくてよいので、ほっとしました。

なぜか猫が甘えてくる

 自宅療養中の健康管理は、保健所の指示に従って自分でします。病院から陽性を告げられた日の午後、厚生労働省の新型コロナに関する管理システムから連絡があり、その翌日、保健所から(熱、呼吸状態、意識レベルなど)健康状態を問われる連絡がきました。

 療養は発症翌日から10日です。私は検査をした日の午後から、頭痛とだるさで倒れこむように寝こんでいました。

 鼻がぐずぐず、くしゃみに咳。ベッド周りはすぐにティシュの山。その山をかき分けて、愛猫のイヌオとはっぴーが「どしたの~?」というようにやってきます。

 甘えん坊の4歳のはっぴーは、私の体の上にどかっと乗って、いつも以上に派手にべろべろと顔をなめてきます。

キジトラ猫
無邪気な感じで添い寝してくれた、はっぴー

 いや、まずいまずい、猫にも新型コロナが感染する(症状は出ないがうつることがある)と以前、耳にしたことがあります。私は独り身だし、心細くてこんな時こそ猫とくっつきたいけど、アツいキスを優しく拒否しました。

 うとうとしていると、今度は腕に重みを感じました。今度は18歳のイヌオです。最近は私のふとんに入ってこなかったのに、珍しくぴたりとくっついているのです。

 昔、インフルエンザで寝込んだ時も、イヌオが静かに寄り添い、ナースのように心配そうに顔をのぞき込んでくれたのを思い出しました。

 私の異変に気付いてそれぞれ心配してくれている……なんて可愛いのだろう。ついこちらから濃密な?鼻チューをしたくなりますが、ぐっとこらえました。

災害用にストックしたフードを出す

 家族と同居していないので、そのあたりは気が楽でしたが、10日間、ひとりきりで自宅療養は長いです。その間、もちろん外に出られません。

 まあ猫のフードはまとめて買ってあったので安心だ……と思ったら、はっぴーのフードが残り少ないではないですか。

 うちの2匹はそれぞれ違うものを食べていて、イヌオは療法食の腎臓対策フードで、これは病院経由で薬とともに途絶えないように買っています。はっぴーの方は、最近、(尿路結石対策の)療法食から一般の肥満防止用に替えて、好きなのを探りながらペットショップで直接選んでいて、まさにもう買わなきゃというところでした。(と思いつつ、療養に入ってしまったのです)。

 その時、そういえば、と気づきました。災害用のフードストックが別にあったのです。

 ネットで注文しつつ、届くまでの間にあげるため、災害用に買っておいたフードを棚から引っ張り出しました。まさかコロナになってそのフードを開けるとは思いませんでしたが、これも「緊急時」には違いありません。

 やっぱり猫のフードは、普段のおやつも含め、日ごろから“多めに”用意しておくべきだと、つくづく思いました。

 私自身の食事については、保健所から電話をもらった時、「都からの配食を希望しますか?」と聞かれ、はい、と答えていました。しかしこいっこうに届きません。私が療養したあたりから爆発的に感染者も増えたので、きっと手が回らないのでしょう。

 初めの1、2日は下痢もあって食欲がなく、家にあったミネラルウォーターを飲んだり、レトルトのおかゆを食べていました。

 コロナのことは、仕事関係者、近所の家族、ふだん薬を処方してもらっている主治医、それに(心配させるといけないので)ごくわずかな猫友に伝えていたのですが、そのひとりが、お見舞いといって差し入れを送ってくれました。

食料
友人からのお見舞品をのぞくはっぴー。「僕のは?」

 それが都の配食より先に届いたのですが、バナナやポンカン、フルーツジュース、食パン、のどあめ、お菓子などが入っていました。のどあめやフルーツが助かりましたが、何よりもうれしかったのが、同封されたメッセージでした。

「不安、絶望、そんな時、猫さんが心の支えになりますね。イヌオちゃんたちのため、心折れずがんばって!主治医の先生も、ご姉弟も、ご友人も私もいます。具合悪くなった時に、ひとりではない、孤独ではないですからね!」

 孤独ではない、この猫友の言葉が支えになりました。

 本当に、猫たちのためにも早く元気にならねば、と思ったものです。

感染した飼い主のせきや唾液に注意を

 結局、私の自宅療養は、10日間プラス3日で終わりました。頭が痛すぎて、市販の解熱剤を飲んでしまったのですが、薬で熱が下がったのかわからないからと、療養日数が伸びたのです。

 外に出てよいことになり、まず向かったのは動物病院。少なくなったイヌオの薬やインスリンの注射器を買いにいきました。

 その時、先生に「もしまたコロナに感染して、入院したら、イヌオたちを預かってもらえますか?」と聞いたら、答えは「ノー」でした。

 イヌオがかかっている動物病院では、コロナに感染した飼い主のペットは預からず、「東京都に連絡して、その指示に従って、都の用意した動物収容施設に預かってもらってください」とのことでした。

 イヌオが高齢化していく中、今後ますます、コロナに気を付けたいと思いました。もし預けるとしたら姉の家がいいと思いましたが、毎日2度のインスリンを考えると、獣医さんがいる施設でないと難しそうです……。

2匹の猫
療養中も仲良しな2匹の姿に癒やされました

 ところで、飼い主が陽性になった時、どうすべきかが気になっていたので、いつもアドバイスをいただく苅谷動物病院グループ総院長の白井活光先生に、改めて聞いてみました。
まずは自宅療養になった時、普段通りにペットに接してよいのかどうかを……。

「接し方は普通でいいと思いますが、でも口や鼻をなめさせる、咳をかけるなど、感染者の唾液(だえき)、鼻息を動物が“直接”吸い込むような接触は避けるべきと思います」

 猫からのベロベロなめや、こちらからの鼻チューを避けたのは、正解だったわけです。(風邪やインフルエンザの時も、あまりしないほうがいいですよね)。

ペットが免疫力を上げる?

 白井先生は続けます。

「実際にこれだけの感染者がいて、その方の猫や犬が感染したと思われる事例の報告は聞いていません。検査をしたら陽性だったというのは確かあるようですが、まれだと思います。それでも、念のため、ご自宅でもマスクをしたほうがいいと思います。あと、感染が気になるからと動物をアルコール消毒しない方がいいでしょう。次亜塩素酸水で拭くほうが安全ですね」

 白井先生の病院でも、基本的にはペットの飼い主さんが感染した時には動物は預からず、でも「どうしようもない時のみ」例外的に預かることにしているそうです。

「過去に1件、犬を隔離入院室でお預かりしたことがあるくらいで、意外にお預かり依頼は少ないのです。これは僕の私見ですが……動物と過ごしている方の重症化は少ないのかもしれません。注意深い人が多いのか、はたまた動物のお陰で免疫力が高いのか……」

 先生のおっしゃった「免疫力」という言葉にはっとしました。

 私は昨秋からイヌオの夜鳴きなどでとにかく寝不足で、耳鳴りやめまいなど自律神経の症状が出ていました。それで、ワクチンを打っていてもコロナに感染したのかもしれません。それでも、いとしい猫と一緒にいる癒やしの効果で、重症化は免れたのかも。

 現在、イヌオの夜鳴きは減ってきて(早朝一度になって)いますが、睡眠をうまく取って、今後も病気にならないように気を付けたいと思います。

【関連記事】コロナの影響で愛猫の療法食が手に入らない! さあ困った…代替品探しに大わらわ

藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は19歳の黒猫イヌオと、5歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この連載について
ねこ飼い日記
古い魚屋の天井が崩れ、落ちてきた子猫「はっぴー」。その成長と、引き取った筆者との生活ぶりを同時進行でつづっています。
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