神社で倒れていた首に大けがした子猫 「金太郎」と名付けられ、健康優良児に成長

茶白猫
「金太郎、ここにあり!というキメ顔」とYさん(Yさん提供)

 神社に住み着いた猫が子猫を生んでいた。近所に住んでいたYさんは立ち寄るたびに様子を見ていたが、あるとき子猫が首に大けがを負って倒れているのを見つけて……。最初に「チビ」と名付けた子猫が「金太郎」に変わり、14年目の現在までの思い出を紹介する。

(末尾に写真特集があります)

首に大けがした子猫

 東京都に住むYさんは、ウォーキングで立ち寄っていた神社でよく人に慣れていた若い猫を見かけた。

「まだ1歳くらいなのにおなかが大きいなと思っていたら、しばらくして2匹の子猫を連れて現れるようになったんです。保護しようか迷いながら気になって様子を見に行っていきました」

 Yさんは以前犬を飼っていたこともあり、もともと動物好き。野良猫もよく保護していたが、神社の猫は地域猫としてかわいがられていたので、このまま見守るべきかと迷ったのも理由の一つだ。

子猫の写真
動物病院で治療を受けていたころ(Yさん提供)

「いつものように神社に立ち寄ったら、茶トラの子猫が首に大けがをして倒れていたんです。母猫が心配してそばに付き添っていましたが、自然に治る傷ではないと思って、保護してそのまま動物病院に連れて行きました」

 生後2カ月近いのに体重が500gしかなく、栄養失調にもなっていて、獣医師に「助けられないかもしれない」と言われたほど危険な状態。ひとまず入院することになった。

「動物病院で名前を聞かれて困ったので、とっさに『チビ』と名付けました」

名前はチビ改め、金太郎!

 幸いにも入院の翌日には回復する兆しが見えたので、Yさんはチビを引き取って通院に切り替え、自分のセーターでベッドを作ったり段ボールで囲ったりしてチビを世話することに。それから1週間が経ち、命も危ぶまれたチビは元気を取り戻した。子猫らしい活発さも出てきたのでYさんは一安心。

 経過観察のために動物病院に行ったときに、新たな飼い主を探して譲渡する方法を動物病院の院長に相談したところ、「自分で飼ったらいいじゃないですか。かわいいんだから」とすすめられ、Yさんは子猫を引き取ることに決めた。

茶白猫
首のけがも成長して目立たなくなった(Yさん提供)

「チビの世話しているうちに思い入れも出てきたこともあって、院長先生に後押ししてもらってよかったですね。迎えることに決めてから名前をちゃんと考えようと思いました。診察券も仮名のチビだったので(笑)」

 ホワホワの金色がかった茶色を見て、「金茶→きんちゃ→きんちゃん→金太郎」と命名。日本猫らしい名前をつけたかったのでぴったりだ。

すくすく育った健康優良児

 小さくてきゃしゃだった金太郎は、Yさんの手厚い世話のおかげで急成長。ひょろっとしていた顔や体もがっちりしてきて、3歳をすぎるころには体重が4.8kgに。名前のとおりの健康優良児に育った。

「全然チビじゃなくなったので、改名しておいたよかったと思いました(笑)。太っているわけではなく、もともと骨太のようです。13歳の今までずっと4.8kgをキープしているのが自慢です」

茶白猫
平たい丸顔がチャームポイント(Yさん提供)

 金太郎は子猫のころから通院していたからか、動物病院やキャリーバッグに苦手意識はない。

「10歳のときに引っ越したんですが、新居にもすぐになじみました。特に意識したつもりはなかったけど、社会化ができていたのかもしれませんね」

 気まぐれでそっけない猫もいるが、金太郎は内弁慶の甘えん坊。Yさんにくっついてひなたぼっこを楽しむ。「気づくとホットカーペットで同じ格好で寝ていることもあるんですよ」と、飼い主に似るのは犬だけではないようだ。

ワイルドなしぐさや表情も魅力

 平たい丸顔が愛嬌(あいきょう)たっぷりの金太郎だが、ワイルドな一面もある。

「普段はのんびりしていますが、羊毛フェルトのぬいぐるみや抜け毛で作った毛玉ボールで遊ぶのが好きですね。ベランダに入ってきたヤモリやセミでハンティングごっこをしていることもありました」

 好奇心も旺盛で部屋とベランダのすみずみまで日課のパトロールを欠かさない。最近は隣の猫が遊びに来て2匹で見回っているので、「ニャンニャン警備隊」と呼んでいる。「隊長は金太郎です」と笑うYさん。

段ボールと猫
Yさんが手作りした段ボールのトンネル(Yさん提供)

 探検ごっこを楽しめるように段ボールで手作りしたトンネルや市販のキャットハウスを用意。爪とぎやかじり跡でボロボロになったが、金太郎が気に入っているので補修しながら7年近く使っている。

12歳で吸収病巣と診断された

 子猫のころの大けがを除いて、けがや病気とは無縁の健康優良児。12歳になったときに健康診断で歯ぐきが少し赤くなっていることを指摘され、歯科専門の獣医師に診てもらうことをすすめられた。

 自宅で改めて確認すると歯ぐきの根元の赤みが広がって口臭もしていたので、歯科のある動物病院を受診した。検査の結果、歯が骨に吸収されてしまう吸収病巣とわかり、6本も抜歯することに。

「3時間に及ぶ手術の後、金太郎は翌日にはケロッとしていました。たくましい! 立ち会った私のほうが疲れてしまったくらいです(笑)。歯みがきをしていたので口は健康だと思っていたんですが、吸収病巣になる猫は意外と多いそうです。食欲に変化がなく特別に痛がっている様子も見られない場合、見逃されることが多いと聞きました。健康診断のときに口の中までしっかり診てもらうことが大事ですね」

毎年の誕生日に記念撮影

 今年14歳を迎えるが、シニアとは思えない無邪気な表情を見せてくれる。体調に問題はないが、若いころに比べて寝ている時間が増えてきた。

茶白猫
「おだてるとポーズを決めてくれます」とYさん。腹巻きは手作り!(Yさん提供)

「笑えるしぐさや表情が減ってきたのがちょっと寂しいけど、あまり動かない分、写真が撮りやすくて助かっています。毎年の誕生日に記念撮影は欠かしません。プレゼントのおもちゃをそろえて『愉快な仲間たち』と呼んでます。13歳の誕生日にはうっかり寝てしまって、翌朝出勤前にあわててセッティングしました」

「猫と暮らしたいと思っている方には、ぜひ保護猫を迎えてほしいですね」とYさん。縁があって出会った金太郎と、これからも一緒に穏やかな日々を重ねていきたいと笑顔を浮かべた。

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金子志緒
ライター・編集者。レコード会社と出版社勤務を経てフリーランスになり、動物に関する記事、雑誌、書籍の制作を手がける。愛玩動物飼養管理士1級、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のサウザーと暮らす。www.shimashimaoffice.work

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