ペット可賃貸物件の探し方 18kgの愛犬を連れて引っ越し、理想の部屋に出会うまで

甲斐犬
かわいい子犬と一緒に新居へ引っ越すはずだったが……

 ペットを連れて賃貸物件へ引っ越すとき、飼い主さんの頭を悩ませるのがペット可のお部屋探しです。10年以上前、筆者の私は18kgの犬と住める部屋がなかなか見つからなくて苦労しました。不動産会社に足を運んでも、犬の体重を伝えた瞬間に断られたり、超高額家賃の1件しかないと言われたり……。

 今は賃貸の中でもペット可やペット相談可の物件が増えてきましたね。「Yahoo!不動産」を調べてみると、東京都内の賃貸物件は36万6731件、そのうちペット相談が5万6948件(2021年1月)。15.5%の物件で相談には応じてくれる状況です。とはいえ物件探しに苦労している方もいるのでは?私が紆余曲折を経て理想のお部屋を見つけるまでの体験談をお伝えします!

(末尾に写真特集があります)

迎えた子犬は破壊魔だった!

 実家に住んでいた10年以上前、一人暮らしに向けて「番犬になる甲斐犬を飼おう」と思い立った私。犬と並行して住まいを探し始めました。ところがお部屋探しサイトを初めて見たとき、ペットと暮らせる物件が少ないことにびっくりしました。

 正確な数は覚えていないのですが、希望の条件に「ペット相談可」とチェックを入れるだけで候補の物件が数十分の一に減ってしまうほど。地域、日当たり、駅からの距離、セキュリティー、築年数……などの条件も入れると選択肢がありません。

子犬
迎えたころは4〜5kgのちびっ子

 どうしようかと思っているとき、子犬と出会いました。住まいは根気よく探すことにして、先に犬を迎えることに。ここで焦らなかったのは大正解!なぜかというとジュウザと名づけたこの子犬は、部屋を破壊するのが趣味だったから。実家なら両親に笑ってごまかせますが、賃貸物件では大問題になります。

 破壊魔の子犬は生後6カ月で12kgを超え、10カ月のころには一時的に19kgまで達しました。ブリーダーから「大きくなっても14〜15kg」と聞いていたのに……。予想外だけど、元気に育ってくれてホッとしました。でも子犬を迎える前に引っ越していたら、破壊と体重でトラブルになっていたかもしれません。本当に焦らなくてよかった。

「僕にだけは本当のことを言って」

 犬の世話としつけで目まぐるしい毎日の中で、空いた時間にお部屋探し。「ペット相談可」を条件にしただけで物件数が激減することがわかったので、犬を優先に考えて希望の条件を3つに絞ることにしました。

(1)日当たりがよい
 私が仕事で出かけるので、部屋で一番長く過ごすのは犬。日なたぼっこができるようにしたい。

(2)ベランダがある
 犬がベランダへ出て気分転換ができるようにしたい。外が見えるフェンスのベランダがベスト。なるべく広いほうがいい(※犬によってはベランダに出入りさせるとほえやすくなるので注意)。

(3)床はフローリング
 犬が滑りにくい床材を部屋全面に敷くつもりだったので、通気性の問題を考えると畳よりフローリングのほうが衛生的。

イスに乗る犬
私のデスクチェアは犬のおもちゃになった

 不動産屋さんも「これだけ条件を絞ればお部屋が見つかる」と太鼓判。ところがネックになったのはやはり犬の大きさ。多くの物件は10kg以下という制限があり、ジュウザの体重を伝えた途端、断られてしまいます。ペット相談可の物件=18kgの犬が入居可の物件ではなかった……。不動産屋さんに「犬を実家に置いていくべきだ」と説得されたこともありました。

 あちらこちらで断られすぎてやけになり、お部屋探しの後半には犬のサイズを聞かれるたびに「チワワより大きい」と伝えていました。もちろん冗談で。「僕にだけは本当のことを言って」と、不動産屋さんに別れ話のようなセリフを言われてしまったこともありました。

理想の物件にひょっこり出会う

 ジュウザの体重のほかにちょっと困ったのは、不動産屋さんが「女性に人気の部屋」をすすめること。私は犬にとって住み心地がよい部屋を希望していたのですが、バス・トイレ別やオートロック、エレベーター、ウォシュレット付きトイレ、展望がよい、デザイナーズマンション……など、希望とは違うこれじゃないお部屋ばかり。犬を優先して部屋を決める人が少なかったからかもしれません。

 物件を探し始めて1年が経ち、お部屋探しサイトでチェックした物件は100件以上。内見したいと思った部屋はそれでも10件以下でした。そのうちの一つを仲介する不動産屋さんを訪ねたら、「もっといい部屋を見つけました!」と声を弾ませて別の物件を紹介してくれました。

 窓が大きくてベランダも広い南向きの1DK。しかも希望の条件からやむを得ずはずした低層マンションです。不動産屋さんまで「奇跡だ」と言うほど好条件。しかもペットの体重制限なし。翌日朝一番に内見して、即決!

ベッドの上に乗る犬
今も住み続けている部屋。緑が多い周辺の環境も気に入っている

 今まで見つからなかったのが不思議でしたが、家主の都合で賃貸を中断していたとか。不動産屋さんが探したときにちょうど入居者の募集を再開したので、ひょっこりと出てきたわけですね。物件探しは焦らないことやタイミングが大切!しかもジュウザの破壊も成長も収まっていたので、引っ越しにはベストな時期でした。

犬のストレスを減らしたい!連休に引っ越し

 賃貸借契約の手続きをしたのは2月。仕事の都合で引っ越せるのは4月の連休でしたが、住まなくても2カ月分の家賃を払おうと思いました。契約を迷っているうちに満室になったら大変!入居前の時間に滑りにくい床材を敷いたり、家具や家電をそろえたりとゆっくり準備できたので、引っ越し当日は楽ちんでした。

 引っ越しをする場合は、長めの連休や休暇のときがおすすめです。「犬は人につき、猫は家につく」といわれますが、環境の変化にストレスを感じる犬もいます。引っ越し直後に新居でペットを留守番させるより、数日でも家族と一緒に過ごしたほうが安心できると思います。

おなかを出す犬
犬用のベッドに見向きもせず、私のベッドをへそ天で占領

 ところが私の心配をよそに、ジュウザは実家の部屋より広い新居がすっかり気に入った様子。笑顔で部屋をチェックした後、私のベッドを占領してくつろいでいました。おおらかというか図太いというか……。

 連休が明けて仕事に出かけたものの、留守番をしているジュウザが心配で昼休みにこっそり戻ると、ベッドでいびきをかいている!拍子抜けしましたが、犬にとって快適なお部屋に引っ越せたことを実感。もちろん私にとっても心地よい住まいです。

 それから10年以上経ち、同じ部屋で2代目の愛犬、サウザーと暮らしています。今ではこの地域もすっかり気に入って、さまざまな散歩コースやペット同伴可の店を見つけて楽しく暮らしています。長い物件探しを経て、お部屋探しサイトで間取りをチェックするのが趣味の一つになりました。ときどき気になる物件も見つかるけど、まだまだ引っ越す気にはなれません!

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金子志緒
ライター・編集者。レコード会社と出版社勤務を経てフリーランスになり、動物に関する記事、雑誌、書籍の制作を手がける。愛玩動物飼養管理士1級、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のサウザーと暮らす。www.shimashimaoffice.work

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