「猫が飼いたい」娘が七夕の短冊に書いて願った1週間後 庭で4匹の子猫を保護した

子猫
テンテンは食欲旺盛で一番元気だった

 我が家には、2匹の兄弟猫がいる。母親は、近所の野良猫だ。彼らがやってきたのは、2013年7月。当時5歳の娘が、七夕の短冊に「ねこがかいたい」と書いた1週間後だった。

(末尾に写真特集があります)

未熟児の子猫

 それは日曜日の朝だった。庭の芝生の上に、ネズミの死体があり、たくさんのアリがたかっていた。よく見るとわずかに動いている。シロクロの子猫だった。

 シロクロの他に、庭のすみにサビが1匹、自宅に隣接する歩道の植え込みにキジシロが2匹、計4匹を見つけた。近所の動物病院に連れて行くと「へその緒がまだ濡れている。生まれたばかりでしかも未熟児ですね、50gしかない。どんなに上手に面倒をみても全滅する可能性もあります。どうしますか?」と聞かれた。

4匹の子猫
保護して12日目。授乳後に寝る4匹

「4匹全部、うちで面倒をみます」と伝えると、世話の仕方を丁寧に教えてくれた。そして、女性獣医師が男性獣医師に向かって「先生、いいですよね?」と聞くと男性獣医師が「そうだね」と。この動物病院は若いご夫婦で経営されていて、診察中はお互いを「先生」と呼んでいた。

 会話の意味をはかりかねながら、会計をしようとすると「お金はいりません。悪いのは去勢、避妊もせずに外飼いをする人、保護した高野さんは悪くありません。この子たちを助けようとする高野さんを応援します。いつでも相談にきてください」と言われた。

 獣医師になりたいと考えていたことがあるので、学費が高いことは知っている。開業時に莫大な設備投資もかかってもいるだろう。「保護したのはこちらの判断なので、お支払いします」と食い下がると、「では、ご自宅に古いタオルがあったらいただけませんか?感染防止のためにタオルがたくさん必要なんです」と。家中のタオルをかき集めた。

未熟児4匹に3時間ごとにミルク

 未熟児4匹の世話は大変だった。3時間ごとに授乳と排せつ補助をするのだけれど、シロクロとサビは弱く、ミルクを飲むのも下手だった。粉ミルクのメーカーを変え、哺乳瓶の乳首に細工をしたり、スポイトを使ったり、試行錯誤を重ねた。

 時間がかかるので、途中でミルクを温め直したりし、1gでも余計に飲んでくれると、夫婦で喜び合った。飲んだミルクの量や排せつの状況もすべて記録し、定期的に獣医師のアドバイスを受けた。

お風呂に入る子猫
うまれてはじめてお風呂に入るテンテン

 ちょうど仕事も忙しい時期で、妻とシフトを組んで世話をしたけれど、私が帯状疱疹を発症。我々が子猫たちにかかりきりになったことで、娘が赤ちゃん返りをするなど、妻も過労で限界だった。その様子を見た獣医師が「一時的にうちで預かりますよ」と数日預かってくれ、非常に助かった。その後、体調を崩したシロクロとサビは入院もしたが、すべて無料だった。

 懸命に面倒をみたけれど、シロクロは1カ月持たず、入院中に亡くなった。連絡を受けて病院に行くと、小さな紙箱にお花と一緒に寝かされていた。涙が止まらなかった。同じく入院中のサビも状態はよくなかったが、自宅で面倒をみることにした。数日後、サビは私の手のひらの中で、眠るように力尽きた。2匹とも庭に埋葬してあり、たまに手を合わせている。

 残ったキジシロ兄弟は順調に育った。当初、新しい飼い主を探そうと考えていたが、2匹とも我が家で飼うことにした。娘が兄猫を「ソラ」、弟猫は「テンテン」と名付けた。「私が七夕にお願いしたからうちにきたんだよ」と自慢げだった。

キャットタワーに登る子猫
キャットタワーに登るソラ

 獣医師に「我が家で飼うことにしたので、お金をとってください」と伝えると「じゃあ、お祝いとして検査までは無料で」と言う。本当にいい獣医師に巡り合えた。

 獣医師だけでなく、猫を飼っている会社の同僚や友人たちのフォローもありがたかった。飼い主探しをしてくれたり、古タオルを集めてくれたり、猫砂などの用品アドバイスも。猫飼いコミュニティーの温かさを知った。

「人間の助けが必要」

 その6年後の2019年、また子猫を4匹保護した。カラスに狙われていたが、親猫の姿はみえず、餌食になるのは時間の問題だった。11歳になっていた娘が「獣医の先生が、野良猫は野生動物じゃない。人間の助けが必要と言ってた。私が面倒みるから助けよう」。成長がうれしかった。

「また拾っちゃいましたか」と獣医師夫妻は笑った。今回は、150gある健康優良児で、ごくごくミルクを飲んだ。「健康な子猫の世話は、こんなに楽なのか」と思った。

子猫
6年ぶりに保護した子猫たち。首輪の色で管理した

 今回は娘も戦力となり、獣医師夫妻の力を借りることなく育てた。この4匹は、Facebookで引き取り先を募集して、2匹ずつ二家族に引き取られていった。それぞれ兄弟で楽しく暮らしている。

 もう猫のいない人生は考えられないが、我が家ではもともと犬を飼う予定だった。娘が小学生になったら、保護犬を引き取るつもりだったのだ。紆余曲折の末、我が家に保護犬がやってきて、キジシロ兄弟と楽しく暮らしているのだけれど、その話はいずれまた。

高野健一
CNET、ZDNet 、CNN.co.jp、TechRepublic、鉄道コムを運営する、朝日インタラクティブ代表取締役社長。保護猫2匹、保護犬1匹、たくさんのカメ他と暮らしています。尊敬する人はムツゴロウさん。

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