猫は2歳娘の“お姉ちゃん”になれるのか? ちょっと難しそうな我が家の事情

 時に、穏やかな対決(?)を繰り広げている、我が家のサビ猫「あんず」と、2歳になったばかりの娘。娘にとって、猫たちはどんな存在なのだろう……と思うことがあります。

 私としては「姉のように」接してほしい……。しかし、当たり前ですけれど、どう転んでも、あんずは「姉」にはならないと、確信し始めている今日このごろです。

「お姉ちゃん」と教え込んでみたものの……

 娘が生まれたての頃、娘を抱っこして猫に近づけて「ホラ、お姉ちゃんだよー」など声をかけていた私。猫らには、「お姉ちゃんになったんだから、優しくしてあげて」など言っていました。

 しかし、猫らは赤ちゃんの娘に、姉のように世話を焼いたり、遊んであげたり、ちょっかいをかけたり……なんてことはありませんでした。

サビ猫「あんず」とキジ猫「モモ」
涼しくなり、狭いベッドでくっついて寝るようになりました

 娘に激しくやきもちを焼いていたサビ猫「あんず」はともかく、ビビりのキジトラ猫「モモ」は赤ちゃんの頃の娘には興味津々で、よくニオイを嗅いだり、そばで休んだりしていたので、もしや姉になってくれるのでは?と期待していました。

 しかし今思えば、赤ちゃんが発するニオイが好きだったか、「これ、獲物なのかしら?」と、日々確認していたか、自分より目下の者が来たことへの興味だけだった気がしています(悲)。赤ちゃんじゃなくなった娘には、明らかに興味を失い、完全に無視していますから……。

 一方娘は、猫を認識し始めてから、名前を呼んでみたり、おやつをあげたり、おもちゃをけしかけてみたりと、仲良くなるために色々と試していますが、猫らとの距離は一向に縮まりません。

サビ猫「あんず」ににぼしをあげる娘
おやつで仲良くなると思っていましたが……

“先輩”の猫を敬ってほしい

 なぜ、猫に姉のようになってほしいかというと、娘に猫を敬ってほしいという気持ちが第一にあります。猫らは我が家に来てもう9年の古株。2年前にやってきた娘のほうが後輩なわけですから、人間だからといって、デカい態度をとっているのもどうかと思うわけです。

 二つめの理由は、娘は一人っ子で両親は高齢、情けないですが甘やかされて育つことが確定しています。家庭では何でも好き放題に生活できるというのも……ということで、優先権は猫にあり、娘は一歩引いて、猫を尊重しながら、人間関係や社会を学んでほしいのです。猫に人間関係を教わる、というのも難しそうな話ですが。

 三つ目の理由は単純です。よく書籍化されているような犬や猫などのペットと暮らす子どもたちって、「きょうだいみたいに」仲良く過ごしていますよね。ペットにも子どもにも愛情を注いでいれば、そんな生活が当たり前なんじゃないか、という気持ちがあるのです。

猫の爪とぎで、ぬいぐるみの爪(?)をとがせる娘とサビ猫「あんず」
猫の爪とぎで、ぬいぐるみの爪(?)をとがせる娘とあんず

猫を叱るマネをする娘

 しかし……。娘は、あんずを尊敬するどころか、私のマネをして、あんずを叱ったりするようになってしまいました。

 あんずはいたずら好きで、登ってはいけない、入ってはいけないとわかっている場所に侵入して、私の反応を試すことがあります。特に、ゴハンを食べた後など、少しハイになっているときにいたずらをして、わざと怒られて走り回って楽しむのです。

「コラッ! あんず!」

 そんなときは、間髪入れずに大声を出すのがコツです。すると、あんずは見つかっちゃった~みたいな感じでおどけて「ニャー!」と逃げ出します。そんな私たちを見た娘が、私のマネをするようになってしまったのです。

「コリャ、あんじゅぅ~!♪」

 そう言って笑いながら、あんずを叱るマネをします。いやいや、娘に猫を叱ってほしくはないのですよ……。本人に叱っている意識はあまりないとは思いますが、一緒になって叱ったら、あんずがかわいそう……。“先輩”あんずのプライドにも関わる問題です。

 なので、今度あんずがいたずらをしたら、そっと近づいて「あんちゃん、ダメよお」とささやこうと毎回思っているのですが、9年間反射神経で続けている行動を変えることは難しく、「コラ!」と、つい言ってしまうんです。まずは自分の行動から変えなければ……。

ボーっとするサビ猫「あんず」
ボーっとするあんず

成長した娘に理解してもらおう

 娘が猫を姉のように思えないのも、当たり前なんですよね。一緒に遊んだり眠ったりすれば、深い関わりの中で愛情が生まれ、尊敬にもつながることでしょうが、何せ今は、狭い家の中でほぼ関わりなく生活していますからね……。

 娘にとっての我が家の猫は、動物園のヒツジや散歩中のペットたちと同じ、単なる“動物”。外で見かける犬や猫のことや、動物園のミーアキャットのことも「カワイイ~」とか言っているので、ほぼ同じ感情なのだと思います。

 猫が娘に歩み寄る気配は今のところありませんが、もう少しは仲良くなってほしい。でも、猫に無理強いはしたくない。

 猫と娘が姉妹のようになる、というのは、いつの日か叶うのでしょうか。もし叶わなくても、家族には違いないので、もう少し成長した娘に、我が家の猫との複雑(?)な関係性を理解してもらうしかないでしょうね。

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安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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