愛猫の要求鳴き「ニャー!」vs 1歳娘の「どうちたの?」攻撃、勝ったのは…!?

 我が家に猫らがやってきて9年経ち、娘が産まれてからは、もうすぐ2年が経とうとしています。 

 ビビりのキジトラ猫「モモ」はともかく、サビ猫の「あんず」は人懐こい猫なので、すぐに娘と仲良くなるだろうと思っていましたが……。仲良くなる気配はいまだにありません(悲)。

 娘が赤ちゃんの頃は、初めての育児でいっぱいいっぱいになった私は娘にかかりきりだったため、2匹には淋しい思いをさせてしまいました。娘に嫉妬するのも無理はありません。

 最近は私にも多少の余裕が生まれ、かつ昨年の反省もあり、あんずをなでたり抱っこしたり、あんずの大好きな粘着テープでの毛づくろいも毎日しています。

 あんずを存分にかわいがっていれば、あんずも娘と和解してくれるのではないか……という下心もあります。

 そんな下心を見抜いているのかいないのか、あんずは相変わらず娘には冷たい素振り。娘はあんずのことを認識したときからずっと、片思いの状態です。

キジ猫「もも」とサビ猫「あんず」にちょっかいを出す女の子
くつろぐ2匹にちょっかいを出す娘

「ニャー!」要求vs「どうちたの?」攻撃

 近頃、おしゃべりが達者になってきた1歳の娘は、あんずによく話しかけています。あんずが「ニャー!」と私に対して要求鳴きをしていると、娘はあんずと同じ高さまで低い姿勢をとります。そして……

「どうちたの?」

 と語りかけます。

 娘がそう聞きたくなる気持ちもわかります。あんずは、何かを訴えかけるかのように鳴いているのですから。娘は、徐々に大人の言うことが分かってきたのだから、猫の言うことも分かるようになるのではないか、と考えているフシがあるんです。

 そんな娘に対してあんずは「あのね、さっきもオヤツ食べたけど、もっとオヤツが欲しいのよ~。ママにお願いしてよ」などと答えるわけもなく、「あんたに用はない!」とばかりに娘から逃げるのみ。

 そんなあんずの気持ちも、少しは分かるのです。娘は、猫に対して「どうしたの?」と聞けるようになった自分に酔いしれているのか、あんずを追い回して何度も語りかけるしつこさを持っています。

 あんずに目線を合わせて「どうちたの?」。あんずが逃げると追いかけ、体勢を変えて「どうちたの? どうちたの?」と、止まぬ「どうちたの」攻撃。しかも、常に表情は満面の笑みです。

 そのしつこさにあんずはたまらず鳴くのをやめて、娘が追ってこられないベビーゲートの外へ逃げ出します。

 あんずにとっては、ちょっと前までの娘は、何もできずに泣くか、床に転がっているだけだった存在。それが、飼い主のように人語を操るようになり、自分に対して慈悲をかけてくるまでになったことへの戸惑いもあると思います。

 ベビーゲートの外でふぅ、と一息つくあんずに、柵の外から「どうちたの?」と娘。逃げられてもなお、攻撃の手をゆるめません。

サビ猫「あんず」と女の子
ベビーゲートの外に逃げるあんず。それでも「どうちたの?」は続く…

 そんな娘にあんずは睨みをきかせますが、娘にはまったく通じません。根負けしたあんずが、2度目のオヤツ要求鳴き攻撃をやめてくれることもあるので、娘のどうちたの攻撃に助かることもたまにはあります。

 あの、自らの欲望のためには諦めない心を持つあんずが、娘の攻撃に負けるなんて、1歳児の破壊力たるや、おそるべしです。

「あんちゃん、どーじょ!」不服そうなあんず

 もちろん、あんずにオヤツをあげていなかった場合は、要求されればすぐにオヤツをあげています。

 娘が猫に関心が向いているときであれば、「これ、あんちゃんにあげてね」とオヤツ(ニボシか乾燥ササミ)を渡します。すると、娘は大喜びで「あんちゃん、どーじょ!」と言って床にオヤツを置きます。

 するとあんずは、私の手から欲しいようで、どこか不満げに「ニャー…」と鳴きます。そして「でも、食べるけどね」みたいなスタンスでむしゃむしゃ……。

女の子からおやつをもらうサビ猫「あんず」
「あんちゃん、どーじょ!」一見、平和なようですが…

 娘は猫の役に立ったという達成感か、その場で奇声をあげて足踏みダンスをしたりするので、あんずも落ちついて食べていられません。

 娘に「ねこちゃんがびっくりしちゃうでしょ」と何度注意しても、1歳児の感情の爆発は、なかなかコントロールがききません。

攻撃の夜は、たっぷり甘やかす

“どうちたの攻撃”は、今までに2回ほど起きた出来事なのですが、そんなことがあった夜は、あんずは少しだけ荒れます。

 娘を寝かしつけて寝室からリビングに戻ると、「あんたがオヤツくれないから、娘に追いかけられたじゃないか!」とばかりに、「ニャー! ニャー!!」と何かを訴えながら私を追いかけてくるので、私は再びオヤツをあげ、存分に撫でまわしたり、ブラッシングをしたりしてあんずを甘やかします。

 するとあんずは「もう、仕方ないんだから」と思っているかどうかは分からないけれど、満足そうにゴロゴロ言って、私の膝で眠りにつきます。

サビ猫「あんず」
娘から逃れ、一息つくあんず

 9歳の猫に、人間の姉のような役割をさせているのは申し訳ない気もするし、一方でいい加減にあんずも娘のことを認めてやってほしいなぁ……とも思います。

 娘は猫にオヤツをあげたり遊んだりしたいし、あんずも人間と遊びたいわけだから、お互いの気持ちさえ合えば楽しい生活が待っているはずなのに……気持ちの問題なので、そううまくはいきませんね。

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安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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